オーバーパックは、「少なくとも1000年間は地中に流れる地下水とガラス固化体を接触させない」って教えてもらったけど、1000年経ったら放射性物質が地上に出てきちゃうの?
1000年は、あくまでオーバーパックの設計上の話じゃ。人工バリアはもっと十分な余裕を見ているし、それに天然バリアもあるのじゃよ。
天然バリアって何?
天然バリアは、地下深くの岩盤が持っている放射性物質を閉じ込める機能のことじゃ。
地下深くは、酸素がほとんどないから人工バリアで使われている金属への影響も少ない。それに、地下水の流れは地上と比べてとても遅くて、1年間で平均わずか数ミリメートルくらいなんじゃよ。
地層処分のシステムは天然バリアと人工バリアを組み合わせた多重バリアシステム
つまり、1000年経ったらどうなるの?
ガラス固化体の放射能は1000年後までに大きく下がって、その後も緩やかに減少していくのじゃ。また地下深くの地下水の動きは非常に遅くて、岩盤には地下水に溶けている物質をくっつける能力もあるのじゃ。
人間が暮らす地上に達するまでには、ほとんどの放射能が失われると科学的にシミュレーションされているのじゃよ。
そうなんだ~。幌延深地層研究センターでは、それを確かめるために実証試験をしているんだね。あともう一つ疑問があって、なんで地下水を調べているの?
地下水を調べるのは、とっても大事なのじゃ! 地下水には物質を溶かす性質があるじゃろ? つまり、放射性物質が漏れたら溶けて流されてしまう。だから、地下水の流れや化学的な性質などを調べることがとても重要になるんじゃよ。
ゆめ地創館に展示されている幌延の地下で採取した100万年以上前の化石海水
なるほど~。あと、地層処分って日本だけなの?
高レベル放射性廃棄物を自分の国で地層処分していくのは国際的な共通認識なんじゃ。状況は国によって変わるけれど、世界各国で進められているよ。もう地層処分場の建設が始まっている国もあるし、候補地に研究施設を建てている国もあるのじゃ。