1_5_9 地温の深度分布
達成目標

地下施設の建設に先立って,地下空洞周辺の力学・水理状態把握のための基礎的な情報として,地温に関するデータを収集し,次段階以降の調査や解析のための基礎的な情報として整理することを目標とします。

方法・ノウハウ

①データセット:

地温の深度分布については,物理検層データのうち,温度検層の結果から得られます。

②データの解釈:

取得した情報を全国平均値(3℃/100m)と比較することにより,地温勾配の特徴を把握することができます。

ローカルスケール領域における調査において,利用可能なボーリング孔が存在する場合は,温度検層により取得される温度分布データから,地温勾配を算出することが可能です。また,ローカルスケール規模での地下の温度環境(地温勾配)は,火山地帯のように局所的な熱源が無い限り,ローカルスケール程度の範囲で1本のボーリング孔での温度検層により把握することが可能です。

東濃地域における実施例

広域地下水流動研究で掘削されたボーリング孔において温度検層を行いました。その結果,東濃地域のローカルスケール領域における地温勾配は2℃/100m程度であり,深度1,000m付近での岩盤温度は30~37℃程度であることがわかりました(図1)。地温勾配は火山地帯を除いた全国平均が3℃/100mであることから,東濃地域のローカルスケール領域における地温勾配は全国平均よりも若干低めの値であることが確認されました。

DH-3~9号孔の深度0での平均地温は14℃,深度1,000mでの平均地温は32度ほどに直線的に上昇している。
図1 ボーリング調査による温度検層の結果1)
  1. 太田久仁雄,佐藤稔紀,竹内真司,岩月輝希,天野健治,三枝博光,松岡稔幸,尾上博則 (2005):東濃地域における地上からの地質環境の調査・評価技術,核燃料サイクル開発機構,JNC TN7400 2005-023,373p.

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