地質環境の長期安定性に関する研究
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FAQ
Q.隆起・沈降に地域性はありますか?
A.隆起・沈降のパターンは地域によって異なっていますが、規則性が認められます。
海岸部の隆起・沈降パターンは、場所によって異なっており、タイプA(小波長の曲動)、タイプB(小規模な傾動地塊)、タイプC(大波長の緩やかな曲動)、タイプD(内陸への傾動)、に分類することができます(図1)。 隆起速度はタイプDで非常に大きく、タイプCで小さい傾向があります。
各年代(横軸)の段丘高度から推定される平均隆起速度(縦軸)の分布を表す。
核燃料サイクル開発機構(1999)による
タイプAの小波長の曲動は、波長20~30 kmの活褶曲によって引き起こされていると考えられます。タイプBの小規模な傾動地塊は、断層で切断された小規模な地塊(長さ10~30 km)が傾動している地塊で、能登半島、佐渡島、若狭湾周辺が相当します。タイプAとタイプBの地域の隆起速度は、数m~10 m/万年程度です(図1)。
タイプCの大波長の緩やかな曲動は、北上山地や阿武隈山地などの地域でみられ、緩やかな(波長100 km以上)の曲隆によって引き起こされていると考えられます。タイプCの地域の隆起速度は、概ね4 m/万年以下と小さな値を示します(図1,2)。
タイプDの内陸への傾動は、海岸に沿った幅30~50 kmの帯状の傾動で、プレート境界で生じる巨大地震に伴う隆起によって引き起こされたものと考えられています。このタイプの変動は、南関東から四国までの沿岸域でみられます。このタイプの変動は他のタイプの変動に比べて隆起速度が大きく、十数m/万年に達する所もあります(図1,3)。

核燃料サイクル開発機構(1999)による図 熱源(マグマ溜まり)のモデル

核燃料サイクル開発機構(1999)
[文献]
核燃料サイクル開発機構(1999):わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-地層処分研究開発第2次取りまとめ- 分冊1 わが国の地質環境,サイクル機構技術資料,JNC TN1400 99-021,p.II-118-125.
小池一之,町田 洋編(1999):日本の海成段丘アトラス,東京大学出版会,105p