地質環境の長期安定性に関する研究
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FAQ
Q.活断層はどのような分布をしているのですか?
A. 活断層は日本列島のいたる所にある訳ではなく、その分布は偏っています。
活断層の分布は偏っています。活断層が密集する地域もありますが、全く活断層が認められない地域もあります。

○活断層の分布の偏在性
活断層の分布の偏在性を、単位面積あたりの活断層の累積長さでみてみましょう。下の図は、10km四方のグリッドを5km間隔で移動させ、グリッド内に分布する陸上の活断層の長さの密度(km/km2)を調べ、各グリッド中心点に値をプロットした後、等値線を作成したものです(200万分の1活断層図編纂ワーキンググループ(1999)の推定活断層を含むデータを使用)。おおまかに見ると盛岡-白河低地帯以西の東北日本内帯や、中央構造線以北の西南日本内帯では、分布密度が相対的に高いです。一方、東北日本外帯や西南日本外帯は、分布密度が低いです。詳しく見ると東北日本内帯や西南日本内帯にも、広い範囲で活断層が存在しない地域があります。特に活断層が集中している地域は、敦賀-鳴門海峡-伊勢湾に囲まれた地域、糸魚川-静岡構造線以西の飛騨-木曽-美濃地域などです。

○活断層のタイプの地域性
活断層のタイプには、岩盤が引っ張られて片方が相対的にずれ落ちる正断層、圧縮されて片方がのし上がる逆断層と、岩盤が横にずれる横ずれ断層(動く方向により右横ずれと左横ずれの2タイプ)の4タイプがあります。日本列島には、主に逆断層と横ずれ断層が分布します。逆断層は、東北日本、中部地方、近畿地方北部に分布します。中部地方以西には、主な横ずれ断層が分布します。正断層は、中九州火山地域に分布します。このような活断層のタイプの地域性は、日本列島が置かれている応力場と、受け止めている地殻の物性や地質構造が、東北日本と西南日本で異なっているためと考えられています。こうした応力場は、日本列島周辺のプレートシステムによって生み出されています。

[文献]
活断層マップワーキンググループ(1999):日本の活断層詳細GISマップからわかること,月刊地球,21, pp. 687-693.
200万分の1活断層図編纂ワーキンググループ(2000):200万分の1活断層分布図.活断層研究, 19.
核燃料サイクル開発機構(1999):わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-地層処分研究開発第2次とりまとめ-分冊1わが国の地質環境.
野原 壯,郡谷順英,今泉俊文(2000):活断層GISデータを用いた地殻の歪速度の推定.活断層研究, 19.
http://www.jaea.go.jp/04/tisou/houkokusyo/dai2jitoimatome.html pdf版,p. 70-79.
関連図書
中田高,今泉俊文編(2002)活断層詳細デジタルマップ,東大出版会.