【概要】
本年5月19日、米国オバマ大統領はアラブ首長国連邦(UAE)との原子力平和利用協力協定案(米国/UAE協定)を承認し、審議に付すため議会に上程した。本協定案は、ブッシュ政権下でアブドラUAE外相とライス米国務長官(当時)が署名した協定ではなく、UAEによる濃縮、再処理の放棄を規定した第7条を追加することにより内容を変更した上で、Otaiba駐米UAE大使とSteinberg米国務副長官により5月21日に改めて署名されたものである点において極めて異例である。
この第7条のように、協定の一方の当事国による機微な施設及び技術の放棄が、法的拘束力ある義務として協定の中で規定されることは、米国と他国との原子力協力協定の中では初めであり、国務省はこれを「米国が交渉した協定の中で最も強い核不拡散条件(the strongest nonproliferation condition)」と評している。
ブッシュ前大統領は、原子力新興国に対する協力のアプローチとして「信頼できる核燃料の供給(核燃料の安定供給)」+「使用済燃料の引取り」の保証を掲げていた。政権は代わったが、今回の米国/UAE協定は、濃縮、再処理の放棄を法的義務として位置づけるとともに、その代替として長期間に渡り核燃料の安定供給を保証し、使用済燃料の英・仏国での再処理もしくは貯蔵のための再移転に包括同意を与えることにより使用済燃料のUAEからの移転を保証しており、その点において、機微技術の拡散防止(核不拡散)を前提とした原子力新興国への協力という、ブッシュ政権以来の米国の政策を二国間協定の形で具現化したものといえる。
※詳細は添付参照
【概要】
本年5月19日、米国オバマ大統領はアラブ首長国連邦(UAE)との原子力平和利用協力協定案(米国/UAE協定)を承認し、審議に付すため議会に上程した。本協定案は、ブッシュ政権下でアブドラUAE外相とライス米国務長官(当時)が署名した協定ではなく、UAEによる濃縮、再処理の放棄を規定した第7条を追加することにより内容を変更した上で、Otaiba駐米UAE大使とSteinberg米国務副長官により5月21日に改めて署名されたものである点において極めて異例である。
この第7条のように、協定の一方の当事国による機微な施設及び技術の放棄が、法的拘束力ある義務として協定の中で規定されることは、米国と他国との原子力協力協定の中では初めであり、国務省はこれを「米国が交渉した協定の中で最も強い核不拡散条件(the strongest nonproliferation condition)」と評している。
ブッシュ前大統領は、原子力新興国に対する協力のアプローチとして「信頼できる核燃料の供給(核燃料の安定供給)」+「使用済燃料の引取り」の保証を掲げていた。政権は代わったが、今回の米国/UAE協定は、濃縮、再処理の放棄を法的義務として位置づけるとともに、その代替として長期間に渡り核燃料の安定供給を保証し、使用済燃料の英・仏国での再処理もしくは貯蔵のための再移転に包括同意を与えることにより使用済燃料のUAEからの移転を保証しており、その点において、機微技術の拡散防止(核不拡散)を前提とした原子力新興国への協力という、ブッシュ政権以来の米国の政策を二国間協定の形で具現化したものといえる。
※詳細は添付参照
【解説:政策調査室 田崎】