核不拡散ニュース No.0082 2008.02.01
<インドとの民生原子力協力に関するその後の動き>
1. 仏印共同声明
フランスのサルコジ大統領は、2008年1月25-26日、インドを訪問した。1月25日に発表された共同声明では、仏印両国が様々な分野で協力の拡大を目指すべきことが述べられているが、特に民生原子力協力について言及した部分を紹介する。
声明では、まず、原子力の果たす役割に関する理解を共有するとともに、大量破壊兵器の不拡散に関し、両国は共通の懸念を抱いているとしつつ、フランスは、不拡散に関する、インドの長期にわたる継続的な貢献を評価するとしている。
また、基礎・応用研究から、原子炉、燃料供給、管理に至るまでの、全ての民生原子力協力のベースとなる仏印二国間原子力協力協定の交渉を完了させた旨が述べられており、フランスは、インドとIAEA間の保障措置協定の締結促進、インドが参加可能な形で国際原子力協力枠組みの調整を支持するとしている。
この他の合意事項として、原子力分野の科学者の交流の促進、訓練の枠組みの構築、原子力安全研究の実施、規制機関間の対話の強化があげられている。今回のサルコジ大統領の訪印にあたって、フランス原子力庁(CEA)とインド原子力省(DAE)の間で、フランス・カダラッシュに建設中のジュールホロビッツ炉注1プロジェクトへのDAEの参加に関する協定が締結された。
注1)軽水炉の材料試験用の研究炉
(情報ソース)
2. 英印共同声明
2008年1月21日、インドのシン首相と英国のブラウン首相との間で首脳会談が行われ、共同声明が発表された。民生原子力協力については、(1)英国は、NSGガイドラインの特例措置の適用を含め、米印間の原子力協力合意を支持すること、(2)両国は、先進原子力技術保有国として、民生原子力協力を促進すること、(3)核不拡散に関する強いコミットメントに沿った形で、英印二国間協定の締結に向けて作業を実施すること、(5)両国の科学者の間の研究分野での協力を促進することなどが述べられている。
(情報ソース)
<米-トルコ原子力協力協定案の米国議会への提出>
2008年1月23日、米大統領府は、原子力法第123条(b)、(d)の規定に従って、米-トルコ間の原子力協力協定案を議会に提出する旨の22日付けの議会宛大統領の通知を公表した。
同通知によれば、クリントン政権時代の2000年7月26日に署名された同協定について、署名直後のトルコ企業による核拡散活動への関与発覚から、これまで議会への提出を見送っていたが、核拡散活動に対するトルコ政府の措置をレビューした結果、課題は解決され、議会のレビューを受ける条件が整ったものと政府は判断したと述べている。さらに、同通知において、本協定の発効は、トルコの核不拡散政策の継続に強いインセンティブをもたらすとともに、米国の原子力産業界がトルコに対し原子力関連の輸出を行うにあたって、法的な枠組みを提供するものであると述べている。
また、米大統領は、22日、同協定の履行は、米国の防衛と安全保障を促進するものであり、これらに不合理なリスクをもたらすものではないとする決定を行った。
(情報ソース)
仏印共同声明では、民生原子力協力に関する部分が全体の1/4程度の分量を占めており、両国にとって同分野の協力が最優先事項の一つであることが窺われる。2005年9月12日の共同声明において、両国は二国間原子力協力協定の締結交渉を開始することに合意したが、同協定の交渉が完了したことで、協力の実現に向けて前進が図られた。ただし、インドとIAEA間の保障措置協定の締結、NSGの場におけるインドに対する特例措置の承認が前提となっているのは、米印原子力協力と同様である。
一方、英印共同声明でも、民生原子力協力に関し、1パラグラフが割かれているが、仏印共同声明に較べれば、その位置づけは低い。また、英印原子力協力協定の締結交渉は今後開始されることになり、米仏両国に較べて遅れた段階にある。これは、英国自身の原子力産業の状況から、当面、原子力関連のインドへの輸出など、両国間の具体的な協力が考えにくいことによるものであろう。
仏印共同声明では、民生原子力協力に関する部分が全体の1/4程度の分量を占めており、両国にとって同分野の協力が最優先事項の一つであることが窺われる。2005年9月12日の共同声明において、両国は二国間原子力協力協定の締結交渉を開始することに合意したが、同協定の交渉が完了したことで、協力の実現に向けて前進が図られた。ただし、インドとIAEA間の保障措置協定の締結、NSGの場におけるインドに対する特例措置の承認が前提となっているのは、米印原子力協力と同様である。
一方、英印共同声明でも、民生原子力協力に関し、1パラグラフが割かれているが、仏印共同声明に較べれば、その位置づけは低い。また、英印原子力協力協定の締結交渉は今後開始されることになり、米仏両国に較べて遅れた段階にある。これは、英国自身の原子力産業の状況から、当面、原子力関連のインドへの輸出など、両国間の具体的な協力が考えにくいことによるものであろう。
【報告:政策調査室 山村】