5日、オーストラリアのダウナー外相は、声明を発し、2006年4月3日に署名された、「豪中原子力平和利用協力協定」(以下、「原子力協力協定」)、「豪中核物質移転協定」(以下、「核物質移転協定」)の2協定に関し、両国は、1月4日に、北京における外交文書の交換により、批准手続きを終了したと発表した。両協定はそれぞれの協定の規定に従い、30日後に発効する予定。
通常、原子力協力協定は、核物質の移転も含めて、1本の協定として締結されるのが一般的であるが、本協定は、協力の範囲、形態等、協力に関する一般原則及び核物質以外の物質(重水素、重水及び両当事者の合意により指定される核物質以外の物質と定義されている。)、装置、構成品、技術の移転に関して定めた原子力協力協定と、核物質の移転のみについて定めた核物質移転協定の2本だてになっている。オーストラリア議会の「条約に関する合同常設委員会」注1が本条約の批准にあたり、まとめた報告書によれば、このような方式を採用したのは、中国政府内の責任の分担を反映させることを意図した、中国政府からの要請によるものとされる。ただし、それぞれの協定の条項により、一方の協定が終了した場合、他方の協定も終了することとされていることに鑑みれば、両協定は一体として運用されるものと考えられる。
また同報告書によれば、協定の下で想定される協力として、シドニーにある研究炉「OPAL」を利用した協力などもあげられているが、本協定の締結の最大の意義は、中国の原子炉向けのオーストラリア産ウランの輸出が可能となることであろう。AP通信の報道によれば、中国へのウランの輸出は来月にも開始される可能性があるとされている。
尚、同報告書によれば、協定の内容については、オーストラリアがこれまで核兵器国との間で締結した原子力協力協定の内容と同等以上のものとされている。協定の主な内容については以下を参照。
以下の通り、広範囲に及ぶ協力が可能
オーストラリアに関しては、1974年7月10日に、NPTに基づき、オーストラリアとIAEAとの間で締結された保障措置協定が適用
中国に関しては、1988年9月20日に、中国とIAEAとの間で締結された保障措置協定が適用
注1)条約の批准にあたり、当該条約がオーストラリアの国益に沿うものかどうかを評価する役割を担う。
通常、原子力協力協定は、核物質の移転も含めて、1本の協定として締結されるのが一般的であるが、本協定は、協力の範囲、形態等、協力に関する一般原則及び核物質以外の物質(重水素、重水及び両当事者の合意により指定される核物質以外の物質と定義されている。)、装置、構成品、技術の移転に関して定めた原子力協力協定と、核物質の移転のみについて定めた核物質移転協定の2本だてになっている。オーストラリア議会の「条約に関する合同常設委員会」注1が本条約の批准にあたり、まとめた報告書によれば、このような方式を採用したのは、中国政府内の責任の分担を反映させることを意図した、中国政府からの要請によるものとされる。ただし、それぞれの協定の条項により、一方の協定が終了した場合、他方の協定も終了することとされていることに鑑みれば、両協定は一体として運用されるものと考えられる。
また同報告書によれば、協定の下で想定される協力として、シドニーにある研究炉「OPAL」を利用した協力などもあげられているが、本協定の締結の最大の意義は、中国の原子炉向けのオーストラリア産ウランの輸出が可能となることであろう。AP通信の報道によれば、中国へのウランの輸出は来月にも開始される可能性があるとされている。
尚、同報告書によれば、協定の内容については、オーストラリアがこれまで核兵器国との間で締結した原子力協力協定の内容と同等以上のものとされている。協定の主な内容については以下を参照。
以下の通り、広範囲に及ぶ協力が可能
オーストラリアに関しては、1974年7月10日に、NPTに基づき、オーストラリアとIAEAとの間で締結された保障措置協定が適用
中国に関しては、1988年9月20日に、中国とIAEAとの間で締結された保障措置協定が適用
注1)条約の批准にあたり、当該条約がオーストラリアの国益に沿うものかどうかを評価する役割を担う。
(参考)
【報告:政策調査室 山村】