核物質の輸送
輸送の安全性について
核燃料サイクルの途中で、ウラン等の核物質は形や性質が変わるため、それぞれの形や性質に最も適した輸送容器に入れ、主に陸上輸送又は海上輸送されます。

図1 核燃料サイクル
安全な核物質の輸送を確保するために、国際的な基準・関係法令に基づき、輸送容器の安全性確認や輸送事故訓練等の安全対策を行っています。
輸送容器は、その中に収納される核物質の放射能量等の大きさにより、IP型、L型、A型、B型に区分されます。
放射能量等が大きな核物質を収納するB型輸送容器は、一般の試験条件に加え、より厳しい特別の試験条件のもと、技術基準の適合性を確認し、安全性を担保しています。

輸送容器の試験条件

核物質の輸送事故訓練風景
教育訓練については、核物質の輸送中に事故が発生した場合、速やかに初期活動(通報連絡、消火活動、負傷者の救出等)が行えるよう定期的に実施しています。
輸送の核セキュリティについて
核物質の不法移転(盗取)や妨害破壊行為に対する輸送中の物理的防護については、国際原子力機関(IAEA)から以下のような勧告やその具体的な実施指針が示され(適宜改正)、それを国内関係法令に取り込み、輸送の都度適合性が確認され、核セキュリティを高めています。
- 「核物質及び原子力施設の物理的防護に関する核セキュリティ勧告」
(INFCIRC/225/Rev.5) - 「内部脅威者の脅威に対する予防及び防護措置(実施指針)
(NS008) - 「輸送時の物理的防護(実施指針)」
(NSS0026-G)、等

特に内部脅威対策を強化すべく「輸送における個人の信頼性確認制度」が導入され、 2020年4月から施行されています。
本制度は、核物質の輸送に携わる者に対し、公的身分証・パスポートによる経歴等自己申告の確認、アルコール及び薬物の依存確認等の適性検査及び面接による信頼性の合否判定を必須とし、輸送に係る情報漏えい又は妨害破壊行為等の内部脅威リスクの最小化を図っています。