(別添)
平成21年7月22日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
大洗研究開発センター

高速実験炉「常陽」における計測線付実験装置との干渉による
回転プラグ燃料交換機能の一部阻害に係る法令報告(最終報)について

1. 経緯

高速実験炉「常陽」1)では、計測線付実験装置2)(以下「MARICO-2」という。)との干渉による回転プラグ3)燃料交換機能の一部阻害に関して、平成19年11月9日及び平成20年9月1日に原子炉等規制法に基づく報告書等を提出し、原子炉内の観察状況等について報告しました(同日プレス発表)。その後、観察結果の分析等を行い、原因究明、脱落部品の影響評価等について検討を進めてきました。これらの結果について、本日、原子炉等規制法に基づく報告書(最終報)等を、文部科学省、茨城県及び関係市町村へ提出いたしました。

2. 原因

観察の結果、MARICO-2試料部のハンドリングヘッド4)が保持部と接続された状態であることが判明しており、MARICO-2試料部の切離不能及びこれを検知できなかったことが、炉内ラック5)上にMARICO-2試料部が突き出た原因です。

試料部の切離不能の発生要因について調査した結果、切離機構に設計不備があり、さらに、切離機構の検証が不十分であったため、試料部を確実に切り離すことが不可能であったことを確認しました。

また、試料部の切り離しは、装置を吊り上げ、切離作業前後の重量差により確認することとしていましたが、装置を吊り上げる際に、シリコンゴム製のシールパッキン部における摩擦力の付加状況が切離作業前後で異なり、MARICO-2試料部重量に相当する見かけ上の重量差が生じ、試料部が切り離されたと判断できる状況に至ったことが、試料部の切離不能を確認できなかった要因であることを確認しました。

3. 外れた固定ピンによる影響

原子炉容器内の観察の結果、MARICO-2試料部のハンドリングヘッドとラッパ管を接続していた固定ピン6本(概略寸法:直径6mm、長さ13mm)が外れていることを確認しています。

このため、固定ピンの原子炉容器内での挙動を評価した結果、固定ピンは原子炉容器から流れ出ないこと、また、燃料集合体等の冷却材流路を閉塞することはなく、燃料集合体等の健全性に影響がないことを確認しました。

4. 再発防止策、今後の予定

今後、計測線付実験装置を使用する場合には、切離機構の設計の見直しとモックアップ試験等による検証作業を実施するとともに、確実に切り離しが確認できる手法を導入します。

また、「常陽」の再起動に向け、炉心上部機構6)の交換、MARICO-2の撤去に係る機器の設計・製作等を進めていきます。

以上


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