用語解説
- 1) 高速実験炉「常陽」
- 「常陽」は国内初の高速増殖炉の実験炉として1977年に運転を開始した。2003年からは高速増殖炉サイクル開発を加速するために照射性能を向上させた高度化炉心(Mark-V炉心)での運転を開始し、我が国における高速増殖炉サイクル実用化研究開発のみならず、世界的な高速炉技術開発への貢献が期待されている。
なお、実験炉とは原子炉開発において、設計、建設、運転及び各種試験を通じ、原子炉の実用化に必要な各種データを得るための原子炉である。「もんじゅ」等、大型化に係る技術的な課題並びに経済性に関するデータを得ることを目的として作られた原子炉は、原型炉と呼ばれている。
- 2) 計測線付実験装置
- 照射試料である被覆管等の材料を、一定温度で照射する実験設備。今回使用したのは、計測線付実験装置(温度制御型材料照射装置)の2号機で、MARICO-2(マリコ2号機)(MARICO:Material Testing Rig with Temperature Control)と称している。
本装置は全長が約11mあり、下から試料部、保持部、駆動部で構成されている。試料部は照射試料が装填され、炉心に挿入される部分である。保持部は炉心上部機構内にあり、試料部を保持するための爪(フィンガ)や、照射試験終了後に試料部を切り離すための切離機構がある。駆動部は試料部を上下に移動させるためのものである。
- 3) 回転プラグ
- 回転プラグは原子炉容器の蓋の役割を果たしているもので、「常陽」では、独立に回転する大回転プラグと小回転プラグが約500mm偏心して設置されている。大小それぞれの回転プラグの回転角度を組み合わせることにより、炉心及び炉内ラックの任意の位置に燃料交換機を移動させる仕組みとなっている。
- 4) ハンドリングヘッド
- 計測線付実験装置の試料部の上端にある外径φ78 mm×内径φ56 mm×長さ195 mmの円筒形状の部品で、試料部の移送等を行う際には、この部分をつかむ。
- 5) 炉内ラック
- 燃料集合体等の原子炉内での一時的な貯蔵や冷却、材料の照射試験等を行う設備。炉心と同心の円周上に配置され、燃料集合体等を入れるポットを収納できる構造となっている。
- 6) 炉心上部機構
- 高速炉の原子炉容器の回転プラグから炉心上部に吊り下げられ、遮へい部、胴、整流板、熱電対支持物等で構成される。制御棒の所定位置への支持、燃料集合体出口での冷却材温度検出などの機能を持つ。
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