STAGE1 地球誕生と放射線

約137億年前、ビッグバンによって宇宙が誕生し、膨張し、冷えながら、種々の元素を作り出していった。生み出された元素の中には放射性元素も数多く存在していた。元素たちは冷えて固まり、多くの星を生み出していき、ついに今から46 億年前に地球を生み出すことになる。
地球が磁場を持ち、バンアレン帯が有害な宇宙線をさえぎるようになると、宇宙線が届かない深海で誕生した生命が陸上へ進出していく。このステージでは、宇宙の誕生までさかのぼり壮大なスケールで宇宙や地球、そして生命の誕生と放射線との密接な関わりを探る。

放射線が生命に与える影響とは

放射線は、生命に悪影響を及ぼす場合があります。放射線が物質を構成している原子にぶつかると、電子が放射線のエネルギーを受けて外に飛び出し、残された原子はプラスに帯電します。この作用を電離といいます。
この電離が細胞に直接的に起こり、DNAと呼ばれる遺伝子を傷つけたり、あるいは水分子などで起こった電離によって活性酸素が発生して間接的にDNAを傷つけたりすることで、細胞の機能低下や細胞分裂の遅れなどの悪影響を及ぼします。

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放射線によるDNA損傷の多くは水分子から生じた活性酸素による間接的な影響によるものですが、この活性酸素によるDNAの損傷は、紫外線や飲酒、喫煙、運動など、さまざまな要因によって日常的に起こっています。生体には損傷を受けたDNAを修復する機能も備わっていますので、多少のDNA損傷は影響として表面化しませんが、一度に大量の放射線を浴びると、DNAの修復が間に合わず、がんや白血病などの原因となって人体に悪影響を及ぼすことがあります。

参考資料

原子力百科事典ATOMICA
Newtonプレス・ウェブ
矢沢サイエンスオフィス編『正しく知る放射能』