高温ガス炉って何?

安全性が高い理由

“自然に冷える”で
安全を守り抜く

「原子力」と聞くと気になるのは安全性。高温ガス炉の大きな特徴は、これまでの原子炉と異なる
極めて高い安全性にあります。

「もしも冷却機能が停止したら?」「電源が喪失したら?」そのような緊急事態であっても、高温ガス炉は物理現象により自然に原子炉が冷え、安全な状態に静定する設計が成立します。これを専門用語で固有の安全性と呼びます。

高い安全性を誇る3つのポイントを解説します。

  1. 01.超高温でも放射性物質を逃さない0.9mmの粒

    高温ガス炉の燃料は、従来の軽水炉で用いられている金属管に入った燃料棒とは全く異なる形状をしています。

    直径0.9mmの小さな黒い粒。これが燃料の正体です。この粒(=被覆燃料粒子)は、ウランを核として、その周りを炭素や炭化ケイ素といったセラミックス素材で四重にコーティングしています。

    このセラミックスのコーティングは非常に熱に強く、1,600℃という高温になっても放射性物質を中に閉じ込めたまま、壊れることがありません。

    被覆燃料粒子の構造図。全体の直径は約1mm、中心にある燃料核の直径は約0.6mmです。燃料核の外側は4層の被覆層で包まれて、内側から順に「低密度熱分解炭素」、その外側に「高密度熱分解炭素」、さらに「炭化ケイ素」、最外層に再び「高密度熱分解炭素」が配置されます。

    被覆燃料粒子を加熱した実験では、2,000℃でも被覆がほぼ破損しないことを確認しました。

    万が一の事故で炉内の温度が上がっても、燃料自体が頑丈なカプセルとなって放射性物質を外に出さない仕組みになっているのです。

  2. 02.熱に強くて熱を逃がす黒鉛

    燃料を入れる原子炉の炉心、いわゆる心臓部は、黒鉛を使用します。原子炉に用いられる
    黒鉛(等方性黒鉛)は非常に優れた特性を持っています。

    原子炉の炉心部品。六角柱の燃料ブロックの中に、燃料棒を収めて使用する様子を説明する写真。
    • 熱に強い
      耐熱温度は2,500℃もあり、1,600℃の高温でも溶けることがありません。
    • 熱をためて、逃がす
      黒鉛を用いた炉心は出力密度に対して熱容量が大きいため、急激な温度上昇を防ぎます。また、熱を伝えやすいため、原子炉容器の外へ熱をスムーズに逃がすことができます。

    従来の金属製の炉心と違い、黒鉛でできた炉心は「溶ける」という概念そのものが当てはまらないほど、熱に対してタフな構造なのです。

    解説等方性黒鉛

    等方性黒鉛は、最新の等方性プレス技術により、黒鉛ブロック全方向に等方的な特性を持たせた黒鉛です。等方性黒鉛は、3次元的に均一な特性を有しているため、原子力産業の他、半導体分野や太陽電池、LED等の製造装置の一般工業用部材として広く使用されています。このような等方性黒鉛は、高密度、高純度であり、燃料として用いられる石炭や木炭とは全く異なる難燃性の材料です。

  3. 03.爆発を起こさない冷却材

    原子炉から熱を取り出すために循環させる冷却材には、ヘリウムガスを使用します。従来の原子炉で冷却材として使われる水(軽水)は、高温になると水蒸気になり、その水蒸気と燃料被覆管の化学反応による水素の発生が、水素爆発の原因になることがありました。

    しかし、ヘリウムガスには以下の特徴があります。

    • 化学反応を起こさない
      燃えたり爆発したりしません。
    • 高温でも安定している
      どんなに高温になっても気体のままで、燃料や周囲の材料と反応しません。

    ※現在は、新規制基準に対応した対策が施されています。

    原子炉容器内の炉心を冷やすイメージ図

POINT

だから、高温ガス炉は自然の法則だけで
炉心溶融(メルトダウン)
防ぐことができる