高温ガス炉って何?

なぜ必要なのか

高温ガス炉(次世代革新炉)
×水素がひらく未来

地球温暖化を防ぐために、世界中で二酸化炭素(CO₂)の排出を減らす努力が続けられています。その中で、次世代エネルギーとして注目されるのが水素であり、水素を作る最も効率的な手段のひとつが、次世代の原子力技術、高温ガス炉です。

  • 日本が直面するエネルギーの課題

    2050年のカーボンニュートラル実現

    2050年のカーボンニュートラル実現という国際公約達成に向け、日本政府はグリーントランスフォーメーション(GX)基本方針を策定しました。

    日本の産業・社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換する動きが加速しています。

    日本の温室効果ガス排出量のグラフ:2013年度の実績14億800万tに対し、2030年度目標は約7億6000万t(46%削減)、2050年度目標は実質ゼロを目指します。

    解説カーボンニュートラル

    2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることです。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを指します。

    2023年度の日本の一次エネルギー供給構成図。石油36%、石炭24%、LNG21%で化石燃料が計81%を占め、再エネ等11%、原子力・水力が各4%と続きます。化石燃料への高依存が示されており、出典は資源エネルギー庁「総合エネルギー統計(2023)」です。

    エネルギー自給率の低さと化石燃料への依存

    日本が利用するエネルギーは石油・石炭・天然ガス(LNG)といった化石燃料が全体の80%以上を占めています。
    これらはCO₂を多く排出するだけでなく、そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。
    国際情勢が不安定になれば、私たちの生活を直撃しかねないというリスクも抱えているのです。

    主要な分野でのCO₂大幅削減

    我が国のCO₂排出量内訳(2023)によれば、運輸・産業の分野だけで国内CO₂排出量の約43%を占めており、これらの分野で大幅な排出削減が求められます。例えば運輸においてはCO₂を排出しない燃料へのシフト、製鉄業では鉄鉱石を純粋な鉄にする過程で発生するCO₂の削減などがあげられます。

    我が国のCO2排出量内訳(2023年度)の円グラフと解説。排出量の割合は、発電所や製油所といったエネルギー転換部門が41%で最大、次いで産業部門24.7%、運輸部門18.5%です。そのほか業務その他部門5.1%、家庭部門4.7%、工業プロセス3.9%、廃棄物2.7%、その他0.2%です。
  • “水素”の可能性と課題

    水素は、利用する時にCO₂を出さず、水から作ることができ、貯めておくこともできるため、
    クリーンエネルギーとして使用できます。

    しかし、水素を作るには大きな課題があります。

    • 製造時にCO₂が出る: 現在の主な製造方法(メタン水蒸気改質法)では、化石燃料を使っているため、製造過程でCO₂が発生します。
    • コストが高い: CO₂を排出せずに、常温の水を電気分解して製造する方法もありますが、大量の電気が必要でコストが高くなります。

    CO₂を排出せず、安く、大量に水素を作りたい。

    この難題を解決する手段のひとつとして期待できるのが、高温ガス炉です。

    POINT

    カーボンニュートラル
    達成に向けてのカギ高温ガス炉×水素

  • 高温ガス炉とは?

    高温ガス炉は、優れた安全性を有し、950℃の高温熱を取り出せる次世代の原子炉です。
    この熱を利用することでCO₂を排出せず、大量に水素を安定供給できる、最も効率的な手段のひとつとして注目されています。

  • エネルギーの未来を担う高温ガス炉

    GX基本方針には高温ガス炉の実証炉開発を進めることが明記されています。
    これは研究段階から、社会実装を見据えた実証・開発段階に入ったことを意味します。

    日本のエネルギー問題、ひいてはグローバルな地球温暖化問題を解決する手立てのひとつとして、高効率で大量の水素を生産できる高温ガス炉は、エネルギーの未来を担う存在です。

    高温ガス炉を活用した、水素・熱・電気の供給ネットワークのイメージ図 高温ガス炉を活用した、水素・熱・電気の供給ネットワークのイメージ図
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    解説GX基本方針

    日本政府は、「GX実現に向けた基本方針」(2023.2 閣議決定)のなかで以下のように明記しています。
    『エネルギー基本計画を踏まえて原子力を活用していくため、原子力の安全性向上を目指し、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む。(抜粋)』
    この方針のもと、次世代革新炉である高温ガス炉は、社会実装を見据えた開発・実証を進めています。