ホーム > 技術開発成果の紹介 > 成果と知的基盤技術 > 分析・計測 > 放射線管理関連における技術開発 > 放射線計測及び校正技術の開発

各種中性子線量計の応答特性解析

背景・目的pageTop

一般に、中性子線量計のエネルギーレスポンスは、γ線用線量計ほど良好ではありません。また、測定管理対象となる作業場の中性子エネルギーも幅広い分布を持ち、かつ、その分布は作業場により大きく異なっています。このため、線量計のレスポンスと作業場の中性子エネルギースペクトルを把握し、線量計の指示値と真の線量当量との差異を明らかにすることが重要です。そこで、各種のレムカウンタ及び個人線量計を、様々な作業場のスペクトル下で使用した場合の指示値と真の線量当量との差異について定量的に調べるとともに、差異を小さくするための適切な校正条件について検討しました。

評価方法pageTop

中性子線量計の指示値Mは、作業場のスペクトルΦ(E)、線量換算係数h(E)、線量計のレスポンスR(E)及び校正場の中性子エネルギースペクトルΦREF (E) (以下、校正場のスペクトルと呼ぶ)の4つの要素より、以下の式で評価されます。

右辺の積分項は線量計の計数値です。Kは校正定数で、次の式で示されます。

一方、作業場における真の線量当量Hは

で与えられます。 ここでは、(1)、(2)式に含まれる4つの要素を含むデータベースを作成し、様々な中性子作業場における線量計の指示値と真の線量当量との比M/Hについて評価しました。

結果と考察pageTop

表1に、レムカウンタA~F及び個人線量計G~Jを252Cf線源、241Am-Be線源、D2O減速252Cf線源を用いて校正を行った場合、M/Hが、ファクター2の範囲にある割合、1以下(過小評価)になる割合及び1~2の範囲にある割合をそれぞれまとめました。 その結果、252Cf線源を用いて校正した線量計を、様々なスペクトルを有する作業場において使用した場合、指示値と真の線量当量との比が1~2の範囲にあるのは、代表的なレムカウンタで23~77%、各種個人線量計で9~82%程度でした。指示値と真の線量当量との比が1よりずれる主な原因は、中速中性子に対するレムカウンタのレスポンスが理想よりも高いためです(図1)。しかし、こうした特性は技術的に直ちに克服されるものではありません。そこで、校正方法を工夫し、指示値と真の線量当量との比を1に近づける努力もなされています。


図1:様々な中性子作業場における線量計の指示値と真の線量当量との比M/H


図2:中性子に対するレスポンスの計算値と実測値との比較

参考文献pageTop

  • 三枝他: RADIOISOTOPES, 51 (1), 26- 33 (2002).
  • J. Saegusa et al.: Nucl. Instr. Meth., A516 (1), 193-202 (2004).
  • 前のページへ戻る
  • ページの先頭へ
Copyright(C) Japan Atomic Energy Agency. All Rights Reserved.