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原子炉/燃料集合体等の材料健全性確認

燃料集合体や使用済燃料プール、原子炉の圧力容器/格納容器に用いられている様々な金属材料は、事故時に注入された海水と放射線との複合作用により、腐食損傷や強度低下などの影響を受けている可能性があるため、今後の廃止措置作業に向けて、それら金属材料の健全性を確認する必要があります。

原子炉/燃料集合体等の長期的な健全性を評価pageTop

◎ 目的

福島原発の廃止措置計画(中長期ロードマップ)においては、燃料集合体を使用済燃料プールから取り出し、共用プールにて長期保管を行う計画となっています。しかしながら、それぞれのプールや燃料集合体に用いられている金属材料は、海水成分と放射線との複合環境中で腐食や劣化が加速する可能性があり、燃料集合体の取り出し作業時や共用プールでの長期保管時の安全性を担保するために、その健全性を確認する必要があります。

また、原子炉の圧力容器や格納容器に用いられている金属材料についても、同様の複合環境中で劣化損傷が進行する可能性があるため、燃料デブリ取り出しまでの期間における腐食・劣化を評価・予測し、圧力容器/格納容器の長期的な健全性を確認する必要があります。

◎ 技術開発

使用済燃料プール及び燃料集合体に用いられている金属材料については、プールの水質及び放射線を模擬した環境において、ステンレス鋼、ジルカロイ等に腐食が発生する条件やその進行速度を評価しています。また、福島第一原発4号機の使用済燃料プールから取り出した未使用燃料集合体の部材を採取し、腐食や劣化の状態を確認します。これらの情報から、燃料集合体の取り出し時や共用プールでの長期保管時の健全性を評価します。

圧力容器/格納容器に用いられている金属材料についても同様に、それぞれの容器内の水質、温度、放射線量等を模擬した環境において、ステンレス鋼、低合金鋼、炭素鋼等に腐食が発生する条件や進行速度を評価するとともに、腐食抑制策(防錆剤や窒素封入等)の効果を検証し、今後の長期的な健全性を確認します。

さらに、これらに関連した基礎研究として、海水成分を含む水が放射線により分解される際の生成物(水素、過酸化水素など)を計算により予測する手法を開発し、腐食の原因究明や上記実験の条件設定等に役立てています。

◎ 技術開発を行なっている施設等

・ホット試験施設

事故時に注入された海水成分と放射線の影響
事故時に注入された海水成分と放射線の影響

福島原発4号機の使用済燃料プールからとりだした
福島原発4号機の使用済燃料プールからとりだした
未使用燃料集合体の健全性を評価する部材

原子炉容器鋼材のガンマ線照射下における海水中腐食試験
原子炉容器鋼材のガンマ線照射下における海水中腐食試験

この技術開発は廃止措置等に向けた中長期ロードマップのうち、以下の課題解決に貢献しています。

  • ・(1-1) 使用済燃料プールから取り出した燃料集合体他の長期健全性評価
  • ・(2-⑧-8) 圧力容器/格納容器の健全性評価技術の開発
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