透明性向上研究
イラクにおける未申告の核物質及び原子力活動が発覚した1990年代初頭から、原子力利用の透明性の議論が世界的に活発になりました。原子力機構は1995年から、主に米国との協力により透明性に関する研究開発を実施してきました。
1) 透明性とは?
原子力平和利用の分野における「透明性」は、様々な場で議論されてきましたが、原子力機構では「安全性、セキュリティ、核物質の適切な管理について、すべての利害関係者が独立して評価できるよう、情報を提供する協力プロセス」という米国サンディア国立研究所が提案した定義に基づいて研究を行っています。
2) 研究の概要
原子力機構の透明性研究は、核不拡散専門家間の自発的な情報共有によって、国際社会及び地域内における信頼醸成と透明性向上を図るとともに、IAEAの保障措置制度を補完することを目的・意義としています。図1にあるように、原子力機構では主に以下の4カテゴリにおいて透明性研究が行われてきました。2011年からはサンディア国立研究所と共同で、アジア太平洋地域における透明性向上のための情報共有フレームワーク構築に関する研究を実施しています。
- 透明性概念研究
- 常陽における遠隔監視技術の開発と地域協力・透明性への利用
- アジアにおける原子力透明性向上 信頼醸成プロジェクト(CSCAP(Council for Security Cooperation in the Asia Pacific:アジア太平洋安全保障協力会議)への協力)
- 透明性向上のための情報共有フレームワークの構築
3) ワークショップ
原子力機構は透明性研究に関し、以下のワークショップを開催しました。
- アジア太平洋地域における核不拡散協力のための透明性技術に関するワークショップ(2008.02.20~22)
- 「情報共有フレームワークの開発」に関する透明性ワークショップ(2011.12.01~02)