ヘリウム-3代替中性子検出器の開発
世界的な供給不足にあるヘリウム3(He-3)ガスを使う汎用中性子検出器に代わる(ZnS/10B2O3セラミックシンチレータによる)高効率中性子検出器の開発と、それを使う保障措置非破壊測定(NDA)装置の開発実証をJ-PARCセンター、原子力基礎工学研究センター、再処理技術開発センターの連携で進めています。
中性子検出器に使われるHe-3ガスは、(2001年9月11日のテロ以後)米国の国土安全保障省が国境、港湾等での核物質探知の目的で大量の中性子検知器を使用したこと等でその在庫が減少し、2010年頃から主たる供給国の米国が核セキュリティ、保障措置分野等He-3代替中性子検出技術において対応が可能な分野の供給を減らしてゆく方針が出されました。この米国の方針を受け、IAEAでは2011年3月末に世界の中性子研究者、中性子検出器開発者等を集めたワークショップを開催し、参加各国の開発協力を要請しました。
本技術開発では、それまでJ-PARCセンターで開発を進めてきたZnS/10B2O3セラミックシンチレータをベースにしました、中性子検出器ユニット及び信号処理回路系の試作開発を進めてきています。
それと同時に、試作開発した中性子検出器ユニットを使用した保障措置検認用のNDA装置の技術実証機の開発を進めています。基礎実証機に期待されるIAEAからの主要件に、現在使用しているHe-3利用NDA装置から大きく形状、寸法が変わらないことが挙げられています。技術実証用NDA装置の開発目標として、この要件を(可能な限り)実現することにしています。

今後、開発・製作した代替技術実証NDA装置とHe-3利用NDA装置との比較試験等を実施する予定です。