設備及び核物質ではない資材であって、第2条a.(ix)の規定に従ってその輸出入についての報告を行う必要がある特定の設備及び資材の一覧表
1 原子炉及びその設備
1.1 組立ての完了した原子炉
制御された自己維持的核分裂反応を維持する運転能力を有する原子炉(ゼロ出力炉を除く。ゼロ出力炉とは、設計上の最大プルトニウム生成量が年間100グラムを超えない炉をいう。)
注釈
「原子炉」には、基本的に、原子炉容器の内装物、原子炉容器に直接設置する付属品、炉心内における出力の水準を制御する設備及び、通常の作動に際して、炉心の一次冷却材を収容し、これと直接接触し又はこれを制御する部品を含む。
「原子炉」とは、年間100グラムを著しく超える量のプルトニウムを生成するように改造することが合理的に可能であるような原子炉を除外するものではない。
高い出力水準で持続的運転のために設計した原子炉は、そのプルトニウム生成量のいかんを問わず、「ゼロ出力炉」とはされない。
1.2 原子炉圧力容器
1.1に規定する原子炉の炉心を格納するために特に設計し又は製作し、かつ、一次冷却材の運転圧力に耐えることのできる金属容器の完成品又は主要工作部品
注釈
原子炉圧力容器の上ぶたは、1.2に規定する主要な工作部品とする。
炉心その他の内装物のための支持柱及び支持板、制御棒案内管、熱遮へい体、調節板、炉心格子板、拡散板等の原子炉内装物は、通常、原子炉供給者によって供給される。一定の場合には、圧力容器自体が、その構造上内装物を支持するように工作されることがある。原子炉内装物は、原子炉の運転の安全性及び信頼性を確保する上で極めて重要であり、したがって、原子炉供給者が保証を与え及び責任を引き受ける上でも極めて重要であるので、これらの品目が原子炉自体に係る基本取決めとは別の取決めによって供給されることは、通常の慣行ではない。
固有の機能を有し、特に設計し及び製作し、かつ、重要な、大型の及び高価な原子炉内装物の別途の供給を関心の対象としないとするものではないが、そのような別途の供給が実際に行われる可能性は、前記の事情に照らし、小さいと認められる。
1.3 原子炉燃料交換機
1.1に規定する原子炉について、その運転時における燃料の挿入若しくは取出しのために又はその停止時であって、燃料の目視若しくは燃料への接近が通常不可能な場合等における複雑な燃料交換作業に必要な高度の位置決め若しくは芯出しのために特に設計し又は製作した操作設備
1.4 原子炉制御棒
1.1に規定する原子炉における反応度の制御のために特に設計し又は製作した棒
注釈
「原子炉制御棒」には、中性子を吸収する要素を含むほか、その支持体又は懸架体が別途供給される場合には、当該支持体又は懸架体を含む。
1.5 原子炉圧力管
1.1に規定する原子炉の内部に燃料要素及び一次冷却材を5.1メガパスカル(740ポンド毎平方インチ)を超える運転圧力下において収容するために特に設計し又は製作した管
1.6 ジルコニウム管
ジルコニウム金属若しくはジルコニウム合金の管又はこれらの集合体であって、1.1 に規定する原子炉の内部において使用するために得に設計し又は製作し、かつ、ハフニウムのジルコニウムとの重量比が1対500未満のもの。ただし、いずれかの12箇月の期間における供給量が500キログラムを超える場合に限る。
1.7 一次冷却材用ポンプ
1.1に規定する原子炉における一次冷却材の循環のために特に設計し又は製作したポンプ
注釈
「特に設計し又は製作したポンプ」には、一次冷却材の漏出を阻止するための精巧な又は多重の密封システム、密閉強制ポンプ及び慣性質量システムを利用するポンプを含むことがある。この定義には、NC−1又はこれと同等の基準により認証されたポンプを含む。
2 核物質ではない原子炉用資材
2.1 重水素及び重水
1.1に規定する原子炉において使用する重水素、重水(酸化重水素)及び重水素原子と水素原子との比が1対5,000を超える他の重水素化合物。ただし、いずれかの12箇月の期間において、1の仕向国に対し重水素原子の量につき200キログラムを超えるような供給を行う場所に限る。
2.2 原子炉級黒鉛
ほう素当量100分の5の純度を超える純度及び1.50グラム毎立方センチメートルを超える密度を有する黒鉛であって、1.1 に規定する原子炉において使用するもの。ただし、いずれかの12箇月の期間において、1の仕向国に対し3 X 10 キログラム(30メートル・トン)を超える量の供給を行う場合に4限る。
注釈
原子炉級黒鉛の輸出が原子炉における使用のため行われるものであるかどうかについては、報告を行うに当たって日本国政府が判断する。
3 照射済燃料要素の再処理プラント及び照射済燃料要素の再処理のために特に設計し又は製作した設備
注釈
照射済核燃料の再処理は、高放射性の核分裂生成物及び超ウラン元素から、プルトニウム及びウランを分離する。この分離は、技術的に異なる各種の処理方法により達成可能であるが、ピューレックス法によることが、長期にわたって最も一般的である。ピュ−レックス法には、照射済核燃料を硝酸に溶解し、その後に有機希釈剤と燐酸トリブチルとの混合物を用いた溶媒抽出によりウラン、プルトニウム及び核分裂生成物を相互に分離することを含む。
ピュ−レックス法を利用する再処理施設は、相互に同様の処理機能(照射済燃料要素の切断、燃料の溶解、溶媒抽出及び処理溶液の貯蔵を含む。)を有し、また、硝酸ウランの熱脱硝、硝酸プルトニウムの酸化物又は金属への転換及び核分裂生成物を含む廃液を長期の貯蔵又は処分に適した形状にするための処理の機能を有することもある。ただし、これらの機能を果たす設備の具体的な種類及び配列は、種々の理由(再処理される照射済核燃料の種類及び量、回収された物質についての今後の取扱い並びに安全性及び保守に係る各施設の設計上の方針を含む。)により、施設間で相互に異なることがある。
「照射済燃料要素の再処理プラント」には、通常の作動に際して、照射済燃料並びに核物質及び核分裂生成物の処理における主要な流れと直接接触し、かつ、これらを直接制御する設備及び部品を含む。
再処理工程(プルトニウムの転換及び金属プルトニウムの生産のための完結的システムを含む。)の存在は、幾何学的配置等臨界上の安全確保措置、遮へい等放射線被ばく防止措置及び封じ込め等防毒措置の適用の有無によって判明することがある。
「照射済燃料要素の再処理のために特に設計し又は製作した設備」に該当するとみなされる設備には、次の設備を含む。
3.1 照射済燃料要素切断機
注釈
この設備は、照射済核物質を露出させて溶解するために燃料の被覆を破るものである。レ−ザ等先端技術を用いる設備もあるが、特に設計した金属切断機が最も一般的である。
3に規定する再処理プラントにおいて使用するために、かつ、照射済みの核燃料集合体、核燃料束又は核燃料棒の切断又はせん断を目的として特に設計し又は制作した遠隔操作設備
3.2 溶解タンク
注釈
溶解タンクは、通常、切断された使用済燃料を収容するものである。照射済核物質は、この臨界上安全なタンクにおいて硝酸により溶解し、また、残存する被覆廃材は、再処理工程から排除されることとなる。
小直径、環状又は平板状のタンク等3に規定する再処理プラントにおいて使用するために、かつ、照射済核燃料の溶解を目的として特に設計し又は製作した臨界上安全なタンクであって、高温高腐食性溶液に対する耐性を有し、かつ、遠隔制御による充てん及び保守が可能であるもの
3.3 溶媒抽出装置及び溶媒抽出設備
注釈
溶媒抽出装置は、溶解タンクからの照射済燃料溶液並びにウラン、プルトニウム及び核分裂生成物を分離する有機溶液の双方を収容する。溶媒抽出設備は、通常、保守なしで長期間運転可能であること又は容易に交換可能であること、運転及び制御が単純であること、処理条件の変化に柔軟に対応可能であること等運転上厳格な条件を満たすように設計する。
充てん塔、パルスコラム、ミキサセトラ、遠心接触機等照射済燃料の再処理プラントにおいて使用するために特に設計し又は製作した溶媒抽出装置。溶媒抽出装置は、硝酸の腐食効果に対する耐性を有する必要があり、かつ、通常、低炭素ステンレス鋼、チタン、ジルコニウムその他の高品質の材料を用いて極めて高い基準(特別な溶接法及び検査並びに品質保証及び品質管理の適用を求めるような基準を含む。)により製作する。
3.4 化学的保管・貯蔵槽
注釈
溶媒抽出の過程から、3の主要な処理溶液の流れが生ずる。保管・貯蔵槽は、これらの流れのすべてを更に処理する上でそれぞれ次のとおり使用される。
(a) 純粋な硝酸ウラン溶液は、蒸発により濃縮され、ウラン酸化物に転換される脱硝工程に移送される。このウラン酸化物は核燃料サイクルにおいて再利用される。
(b) 高放射性の核分裂生成物溶液は、通常、蒸発により濃縮され、濃縮液として貯蔵される。この濃縮液は、蒸発により減容され、貯蔵又は処分に適した形状に転換されることがある。
(c) 純粋な硝酸プルトニウム溶液は、濃縮され、次の工程に移送されるまでの間貯蔵される。特に、プルトニウム溶液用の保管・貯蔵槽は、溶液の濃度及び形状の変化から臨界上の問題が生ずることを避けるように設計する。
照射済燃料の再処理プラントにおいて使用するために特に設計し又は製作した保管・貯蔵槽。保管・貯蔵槽は、硝酸の腐食効果に対する耐性を有する必要があり、かつ、通常、低炭素ステンレス鋼、チタン、ジルコニウムその他の高品質の材料を用いて製作する。保管・貯蔵槽は、遠隔制御による操作及び保守が可能であるように設計することがあり、また、臨界を制御するため次の特性を有することがある。
(1) 最低2パ−セントのほう素当量を有する外壁又は内部構造
(2) 円筒形の槽については、内径が最大175mm(7インチ)
(3) 平板状又は環状の槽については、隔壁間の幅が最大75mm(3インチ)
3.5 硝酸プルトニウムのプルトニウム酸化物への転換システム
注釈
大部分の再処理施設においては、最終工程として硝酸プルトニウム溶液の二酸化プルトニウムへの転換が行われる。この工程における主要な機能としては、処理される溶液の貯蔵及び調整、沈殿及び固体と液体の分離、か焼、プルトニウム酸化物の取扱い、換気、廃棄物の管理並びに工程の制御がある。
硝酸プルトニウムをプルトニウム酸化物に転換するために、かつ、臨界上の安全、放射線の影響の防止及び最大限の防毒について特段の対応が確保されるように特に設計し又は製作した完結的システム
3.6 プルトニウム酸化物からの金属プルトニウム生産システム
注釈
再処理施設と関連し得るこの工程には、高腐食性のふっ化水素を通常用いて二酸化プルトニウムをフッ化し、フッ化プルトニウムを生成することを含む。フッ化プルトニウムは、その後高純度の金属カルシウムを用いて還元され、金属プルトニウムとフッ化カルシウムのくずとになる。この工程における主要な機能としては、貴金属を加工し又は貴金属により内張りした設備等を用いるフッ化、セラミック製るつぼ等を用いる金属への還元、くずの回収、金属プルトニウムの取扱い、換気、廃棄物の管理及び工程の制御がある。
金属プルトニウムを生産するために、かつ、臨界上の安全、放射線の影響の防止及び最大限の防毒について特段の対応が確保されるように特に設計し又は製作した完結的システム
4 燃料要素の加工プラント
「燃料要素の加工プラント」には、次の設備を含む。
(a) 通常の作動に際して、加工工程にある核物質と直接接触し若しくは直接処理し又は加工工程を制御する設備
(b) 被覆内に核物質を密封する設備
5 ウラン同位元素の分離プラント及びウラン同位元素の分離のために特に設計し又は製作した設備であって分析機器以外のもの
「ウラン同位元素の分離のために特に設計し又は製作した設備であって分析機器以外のもの」に該当するとみなされる設備には、次の設備を含む。
5.1 ガス遠心分離機及び特に設計し又は製作したその部分品
注釈
ガス遠心分離機は、通常、直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの薄壁の円筒であって、真空内におかれ、かつ、300メートル毎秒以上の周速で垂直軸を中心に回転するものから成る。高速度の回転を可能とするため、回転部分品の材料は、密度比で高い強度を有する必要があり、また、回転部分品及びその部品は、回転の揺れを最小にするために極めて小さい公差により製作する必要がある。ウラン濃縮用ガス遠心分離機は、他の遠心分離機と異なり、回転する円盤状の調節板並びに六フッ化ウランガスの供給及び抽出のための固定された、かつ、最低3の独立した流路(そのうち2の流路が回転部分の軸から周に通ずる抜出管に接続する。)を構成する配管を回転部分の内部に有することを特徴とする。また、ウラン濃縮用ガス遠心分離機内の真空部分には、回転せず、かつ、特に設計されるが、特殊でない材料を用いて容易に製造可能な多くの重要な部品がある。遠心分離施設は、これらの部品を大量に必要とするため、その供給量から、これらの部品の最終用途について重要な示唆が得られることがある。
5.1.1 回転部分品
- (a) 回転部分の完成品
- 注釈に掲げる密度比で高い強度を有する1又は2以上の材料を用いて製造した薄壁の円筒又はそのような円筒を相互に接続したもの。円筒を相互に接続する場合には、5.1.1 (c)に規定する伸縮継手又はリングによる。回転部分は、その最終的な形態において、5.1.1 の(d)及び(e)に規定する内部の調節板及び端栓を取り付けることとなる。一部のみを組み立てた回転部分を完成品として引き渡すこともある。
- (b) 回転胴
- 外壁の厚さが12ミリメートル(0.5インチ)以下で直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの特に設計し又は製作した薄壁の円筒であって、注釈に掲げる密度比で高い強度を有する1又は2以上の材料を用いて製造したもの
- (c) リング又は伸縮継手
- 回転胴を部分的に指示し又は複数の回転胴を接続するために特に設計し又は製作した部品。伸縮継手とは、外壁の厚さが3ミリメートル(0.12インチ)以下で直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの短い伸縮可能な円筒であって、注釈に掲げる密度比で高い強度を有する1の材料を用いて製造したものである。
- (d) 調節板
- 分離用の空間から抜出用の空間を隔離するため及び、一定の場合には、回転胴内の分離用の空間における六フッ化ウランガスの循環を促進するために遠心分離機の回転胴の内側に取付けるように特に設計し又は製作した直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの円盤状の部品であって、注釈に掲げる密度比で高い強度を有する一の材料を用いて製造したもの
- (e) 上部端栓及び下部端栓
- 回転胴の両端に取り付け六フッ化ウランを回転胴内に封入するため並びに、一定の場合には、上部端栓については上部軸受の一部を支え、保持し又は構成し、また、下部端栓については電動機及び下部軸受の回転要素を構成するように特に設計し又は製作した直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの円盤状の部品であって、注釈に掲げる密度比で高い強度を有する1の材料を用いて製造したもの
注釈
遠心分離機の回転部分品には、次の材料を用いるものとする。
- (a)
- 2.05×10 ニュートン毎平方メートル(30万ポンド毎平方インチ) 9以上の最大引張強さを有するマルエ−ジング鋼
- (b)
- 0.46×10 ニュートン毎平方メートル(6万7千ポンド毎平方イン9チ)以上の最大引張強さを有するアルミニウム合金
- (c)
- 複合的な構造における使用に適した繊維材であって12.3×10 メー6トル以上の比モジュラス及び0.3×10 メートル以上の比最大引張強さ6を有するもの。比モジュラス(比弾性率)とは、ニュートン毎平方メートルで表わすヤング率をニュートン毎立方メートルで表す比重量で除したものをいう。比最大引張強さとは、ニュートン毎平方メートルによる最大引張強さをニュートン毎立方メートルによる比重量で除したものをいう。
5.1.2 固定部分品
- (a) 磁気軸受
- 遠心分離機の内容器に懸架する環状磁石及び振動減衰媒体が構成する特に設計し又は製作した軸受部分品。容器は、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料を用いて製造する(5.2.4の次に掲げる注釈参照)。この環状磁石は、5.1.1(e)に規定する上部端栓に取り付ける磁極片又は第2の磁石と対となる。この環状磁石は、外径と内径との比が1.6:1以下であることがあり、また、0.15ヘンリー毎メートル(12万CGS単位)以上の初期透磁率、98.5パーセント以上の残留磁気又は80キロジュール毎立方メートル(10 ガウスエルステッド)を超えるエネルギーの発生能力を有することがある。この環状磁石は、磁石の通常の特性を有することに加え、幾何学上の軸からの磁軸の偏差が0.1ミリメートル(0.004インチ以下)未満の極めて小さい公差内にあり又は特に均質であることを必要条件とする。
- (b) 軸受・振動減衰装置
- 旋回軸と受皿との組立品であって、振動減衰装置に取り付けるよう特に設計し又は製作した軸受。旋回軸は、通常、焼入鋼の軸であり、一方の端は半球形であり及び他方の端はいずれかの方法で5.1.1(e)に規定する下部端栓に取り付けられる。また、旋回軸は、流体軸受用のものであることもある。受皿は、円柱状であり、一方の表面には半球形のくぼみを有する。これらの部品は、しばしば、振動減衰装置とは別個に供給される。
- (c) 分子ポンプ
- 機械加工又は押出成形によるら旋状の溝及び機械加工による孔を内側に有する特に設計し又は製作したシリンダ−。典型的な寸法は、内径が75ミリメートル(0.4インチ)から400ミリメートル(16インチ)まで、壁の厚さが十ミリメートル(0.4インチ)以上及び長さが内径以上である。溝は、典型的には断面が長方形であり、及び深さが2ミリメートル(0.08インチ)以上である。
- (d) 電動機固定子
- 真空において600ヘルツから2,000ヘルツまでの周波数及び50ボルトアンペアから千ボルトアンペアまでの電力の電気により同期運転するための高速かつ多相交流のヒステリシス電動機又は磁気抵抗電動機の環状固定子として特に設計し又は製作した設備。固定子は、多重の巻線と厚さ2.0ミリメートル(0.08インチ)以下の薄い層からなるエネルギー損失の低い鉄心とから構成される。
- (e) 遠心分離機の容器
- ガス遠心分離機の回転部分品を収納するために特に設計し又は製作した容器。この容器は、厚さが30ミリメートル(1.2インチ)までの厳重な円筒形の壁、軸受を取り付けるために精密に機械加工された両端部及び内装物取付用の1又は2以上のフランジから構成される。機械加工された両端部は、相互に平行であり、また、円筒の中心軸に対して0.05度以下の偏差で直角である。容器は、また、複数の回転胴を収納するためにハニカム構造(連接多房構造)であることがある。容器は、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製作され又は保護される。
- (f) 抜出管
- 内径が12ミリメートル(0.5インチ)までの管であって、回転胴内で周回するガスの流れに管の開口部を対抗させること(例えば、回転の放射方向から接線方向に曲がるように管を配置することによって可能となる。)から生ずるピトー管作用により六フッ化ウランガスを抽出するために、かつ、ガス抽出システムの中心に接続することができるよう特に設計し又は製作したもの。この管は、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。
5.2 ガス遠心分離濃縮プラントのために特に設計し又は製作した補助システム、設備及び部分品
注釈
ガス遠心分離濃縮プラントのための補助システム、設備及び部分品とは、遠心分離機を稼働させ又はプラントを制御する上で必要な設備と共に、遠心分離機に六フッ化ウランを供給し、濃縮度を徐々に高めるカスケ−ド(段階的工程)を形成するため個々の遠心分離機を接続し並びに遠心分離機から六フッ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を抽出する上で必要なシステムをいう。
六フッ化ウランは、通常、加熱したオ−トクレ−ブにより固体から蒸発してガス状となり、通気管を経由して遠心分離機に分配される。遠心分離機から抽出した六フッ化ウランの「製品」及び「廃棄材」のガスも、通気管を経由してコ−ルドトラップに移送され、輸送又は貯蔵に適した容器に移されるに先立ち、約203ケルビン(零下70セルシウス度)での冷却により凝縮される。1の濃縮プラントは、カスケ−ドに数千の遠心分離機を配列するため、数千の溶接部と多くの箇所における配置上の同一性とを有し、かつ、全長が数キロメ−トルを超える配管を伴う。設備、部分品及び配管は、極めて高い真空基準及び清浄基準により製作する。
5.2.1 供給システム並びに「製品」及び「廃棄材」回収システム
特に設計し又は製作した処理システム(次の品目を含む。)
- 最大百キロパスカル(15ポンド毎平方インチ)の圧力及び毎時1キログラム以上の割合により六フッ化ウランを遠心分離カスケ−ドに供給するためのオ−トクレ−ブ又は供給装置
- 最大3キロパスカル(0.5ポンド毎平方インチ)の圧力によりカスケ−ドから六フッ化ウランを取り出すためのコ−ルドトラップその他の昇華器。昇華器は、203ケルビン(零下70セルシウス度)まで冷却し、また、343ケルビン(70セルシウス度)まで加熱することができる。
- 六フッ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を容器に移し入れるための装置関連するプラント、設備及び配管は、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料によりすべての部分が製作され又は内張りされ(5.2.4の次に掲げる注釈参照)、かつ、極めて高い真空基準及び清浄基準により製作する。
5.2.2 通気配管システム
カスケードの遠心分離機において六フッ化ウランを取り扱うために特に設計し又は製作した通気配管システム。通常の配管は、一の遠心分離機について3の通気管が接続し、このため、多くの箇所において形状の同一性を有する。この配管は、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料を用いて製造し(5.2.4の次に掲げる注釈参照)、かつ、極めて高い真空基準及び清浄基準により製作する。
5.2.3 六フッ化ウラン質量分析計及びイオン源
供給される六フッ化ウランガス又はその「製品」若しくは「廃棄材」をガスの流れの中から試料として採取することが可能な特に設計し又は製作した磁気又は四重極質量分析計であって、次の特性のすべてを有するもの
- 1
- 原子質量単位が320を超える場合にその2未満の単位差について分解能を有すること。
- 2
- ニクロム若しくはモネルにより製造し苦しくは内張りし又はニッケルによりめっきしたイオン源を有すること。
- 3
- 電子衝撃によりイオン化させるイオン源を有すること。
- 4
- 同位元素の分析に適した捕集システムを有すること。
5.2.4 周波数変換器
5.1.2(d) に規定する電動機固定子に電気を供給するために特に設計し苦しくは製作した周波数変換器(コンバ−タ−又はインバ−タ−と称することもある。)であって次の特性のすべてを有するもの又はその部品、構成品及び部分組立品
- 1
- 出力が多相であって、その周波数が600ヘルツから2,000ヘルツまでであること。
- 2
- 出力周波数の制御の偏差が0.1パーセント未満の高い安定度を有すること。
- 3
- 2パーセント未満の低いひずみ率であること。
- 4
- 変換の効率が80パーセントを超えること。
注釈
5.1及び5.2に掲げる品目は、工程中の六フッ化ウランガスと直接接触し、遠心分離機を直接制御し又は遠心分離機間の及びカスケ−ド間のガスの流れを直接制御する。
六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料には、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル又はニッケルを60パーセント以上含有する合金を含む。
5.3 ガス拡散濃縮のために特に設計し又は製作した部分品
注釈
ガス拡散法によるウランの同位元素の分離における主要な技術的組立品は、特殊な多孔質のガス拡散隔膜、圧縮処理により加熱されたガスを冷却するための熱交換機、密閉弁、制御弁及び配管である。ガス拡散技術が六フッ化ウランを使用する限り、設備、配管及び計測器のガスとのすべての接触面は、六フッ化ウランと接触しても安定している材料を用いて製作する必要がある。ガス拡散施設は、これらの組立品を多数必要とするため、その供給量から、これらの組立品の最終用途について重要な示唆が得られることがある。
5.3.1 ガス拡散隔膜
- (a)
- 孔径が百オングストロームから1,000オングストロームまでであって膜の厚さが5ミリメートル(0.2インチ)以下の、また、管状の場合には、直径が25ミリメートル(1インチ)以下の特に設計し又は製作した薄い多孔質のフィルタ−であって、六フッ化ウランに対し耐食性を有する金属、重合体又はセラミック材を用いて製造したもの
- (b)
- (a)のフィルタ−を製造するために特に生産した化合物又は粉末。この化合物及び粉末には、ニッケル、ニッケルを60パーセント以上含有する合金、酸化アルミニウム又は六フッ化ウランに対し耐食性を有する完全にフッ素化された炭化水素重合体の化合物又は粉末であって、純度が99.9パーセント以上であり、粒径が10ミクロン未満であり、粒径の均一度が高く、かつ、ガス拡散隔膜を製造するために特に生産したものを含む。
5.3.2 拡散筒
口径が50ミリメートル(2インチ)を超える1の流入口及び2の流出口を有し、直径が300ミリメートル(12インチ)を超え、かつ、長さが900ミリメートル(35インチ)を超える密封溶接した円筒形の容器又は同等の大きさの直方体の容器であって、ガス拡散隔膜を収納するために特に設計し又は製作し、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製作され又は内張りされ及び水平方向又は鉛直方向に取り付けるように設計したもの
5.3.3 圧縮機及び送風機
六フッ化ウランの吸気容量が1立方メートル毎分以上の送風機を含む軸流型、遠
心型又は容積型の圧縮機であって、その吐出圧力が最高数100キロパスカル又は100ポンド毎平方インチとなるように特に設計し又は製作し、かつ、自己又は他の適当な出力の電動機によって六フッ化ウランの中において長期間作動可能であるよう設計したもの並びにそのような圧縮機及び送風機の部分組立品。これらの圧縮機及び送風機は、2対1から6対1までの圧力比を有し、かつ、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は内張りされる。
5.3.4 回転軸の密封装置
圧縮機又は送風機の回転子と駆動電動機との接続軸を密封し、六フッ化ウランが充てんされた圧縮機又は送風機の内部への空気の混入に対する信頼性の高い密封を確保するために、かつ、密封材の供給及び排出のための接続部を有するように特に設計し又は製作した密封装置。この密封装置は、通常、緩衝ガスの混入率が1,000立方センチメートル毎分(60立方インチ毎分)未満となるよう設計する。
5.3.5 六フッ化ウラン冷却用熱交換器
特に設計し又は製作した熱交換器であって、六フッ化ウランに対し耐食性を有する金属(ステンレス鋼を除く。)により製造され又は六フッ化ウランに対し耐食性を有する金属(銅を含むがステンレス鋼を除く。)の1により若しくは2以上の組合せにより内張りされ、かつ、100キロパスカル(15ポンド毎平方インチ)の差圧下での漏えい圧力の変化率が1時間について10パスカル(0.0015ポンド毎平方インチ)未満であるもの
5.4 ガス拡散濃縮のために特に設計し又は製作した補助システム、設備及び部分品
注釈
ガス拡散濃縮プラントのための補助システム、設備及び部分品とは、ガス拡散用装置に六フッ化ウランを供給し、濃縮度を徐々に高めるカスケ−ド(段階的工程)を形成するため個々の装置を接続し並びに拡散カスケードから六フッ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を抽出する上で必要なシステムをいう。拡散カスケ−ドは、大きな慣性を有するため、稼働の中断(特に停止)から重大な結果が生じる。したがって、すべての技術的システムを通じた完全かつ恒常的な密封の維持、事故の自動的な防止及びガスの流れの正確な自動制御がガス拡散プラントにおいて重要である。このため、プラントは、特殊な計測、調節及び制御用システムを大量に装備することが必要となる。
六フッ化ウランは、通常、オ−トクレ−ブにより蒸発してガス状となり、シリンダーから通気管を経由してガス拡散用装置に分配される。ガス拡散用装置から抽出した六フッ化ウランの「製品」及び「廃棄材」のガスは、通気管を経由してコ−ルドトラップ又は圧縮装置に移送され、輸送又は貯蔵に適した容器に移されるに先立ち、液化される。1のガス拡散濃縮プラントは、カスケ−ドに多数のガス拡散用装置を配列するため、数千の溶接部と多くの箇所における配置上の同一性とを有し、かつ、全長が数キロメ−トルを超える配管を伴う。設備、部分品及び配管は、極めて高い真空基準及び清浄基準により製作する。
5.4.1 供給システム並びに「製品」及び「廃棄材」回収システム
300キロパスカル(45ポンド毎平方インチ)以下の圧力下において作動可能な特に設計し又は製作した処理システム(次の品目を含む。)
- 六フッ化ウランをガス拡散カスケ−ドに供給するためのオ−トクレ−ブ又は供給システム
- 六フッ化ウランをガス拡散カスケ−ドから取り出すためのコ−ルドトラップその他の昇華器
- カスケ−ドから取り出した六フッ化ウランを圧縮し及び冷却して液化六フッ化ウランにする液化装置
- 六フッ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を容器に移し入れるための装置
5.4.2 通気配管システム
ガス拡散カスケ−ドにおいて六ふっ化ウランを取り扱うために特に設計し又は製作した通気配管システム。通常の配管は、1のガス拡散用装置について2の通気管が接続する。
5.4.3 真空システム
- (a)
- 特に設計し又は製作した大型の真空分岐管その他の真空通気管及び吸引容量が5立方メートル毎分(175立方フィート毎分)以上の真空ポンプ
- (b)
- 六フッ化ウランを含む気体の中において使用するために特に設計した真空ポンプであって、アルミニウム、ニッケル又はニッケルを60パーセント以上含有する合金により製造され又は内張りされたもの。このポンプは、回転型又は容積型の場合があり、また、過フッ化炭化水素の密封材及び部材並びに特殊な作動流体を有することがある。
5.4.4 特殊な遮断弁及び制御弁
直径が40ミリメートルから1,500ミリメートルまで(1.5インチから59インチまで)の手動又は自動の遮断用ベロ−ズ弁及び制御用ベローズ弁であって、ガス拡散濃縮プラントの主要システム及び補助システムに設置するために特に設計し又は製作し、かつ、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料を用いて製造したもの
5.4.5 六フッ化ウラン質量分析計及びイオン源
供給される六フッ化ウランガス又はその「製品」若しくは「廃棄材」をガスの流れの中から試料として採取することが可能な特に設計し又は製作した磁気又は4重極質量分析計であって、次の特性のすべてを有するもの
- 1
- 原子質量単位が320を超える場合にその2未満の単位差について分解能を有すること。
- 2
- ニクロム若しくはモネルにより製造し苦しくは内張りし又はニッケルによりめっきしたイオン源を有すること。
- 3
- 電子衝突によりイオン化させるイオン源を有すること。
- 4
- 同位元素の分析に適した捕集システムを有すること。
注釈
5.3及び5.4に掲げる品目は、工程中の六フッ化ウランガスと直接接触し又はカスケ−ド内のガスの流れを直接制御する。工程中のガスとのすべての接触面は、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は内張りされる。
ガス拡散関連品目に関する5.3及び5.4の適用上、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料には、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウム酸化物、ニッケル、ニッケルを60パーセント以上含有する合金及び六フッ化ウランに対し耐食性を有する完全にふっ化された炭化水素重合体を含む。
5.5 空気動力学濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び部分品
注釈
空気動力学濃縮工程においては、六フッ化ウランガスと軽いガス(水素又はヘリウム)との混合物が圧縮され、分離要素を通過し、その際に曲面壁の幾何学的形状に沿って強い遠心力が生ずることにより、同位元素の分離が達成される。分離用ノズルによる処理及び渦巻管による処理の2の処理方法の開発は、既に成功している。これらの処理における分離段階の主要な部分品には、特殊な分離要素(ノズル又は渦巻管)を収納する円筒形容器、ガス圧縮機及び圧縮熱を取り除くための熱交換機を含む。空気動力学濃縮プラントは、このような分離段階を多数必要とするため、それらの部分品の供給量から、これらの部分品の最終用途について重要な示唆が得られることがある。空気動力学濃縮工程は、六フッ化ウランを使用するため、設備、配管及び器具のガスとのすべての接触面は六フッ化ウランと接触しても安定している材料を用いて製造する必要がある。
注釈
この5.5に掲げる品目は、工程中の六フッ化ウランガスと直接接触し又はカスケ−ド内のガスの流れを直接制御する。工程中のガスとのすべての接触面は、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。空気動力学濃縮関連品目に関するこの5.5の適用上、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料には、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケルを60パーセント以上含有する合金及び六フッ化ウランに対し耐食性を有する完全にフッ化された炭化水素重合体を含む。
5.5.1 分離用ノズル
特に設計し又は製作した分離用ノズル及びその集合体。分離用ノズルは、1ミリメートル未満(通常、0.05ミリメートルから0.1ミリメートルまで)の曲率半径の2の曲面壁に挟まれたスリット状の流路から成り、六フッ化ウランに対し耐食性を有し、かつ、ノズルを通過するガスを2の流れに分離するための鋭角の分流壁を内部に有する。
5.5.2 渦巻管
特に設計し又は製作した渦巻管及びその集合体。この渦巻管は、直径が0.5センチメートルから4センチメートルまでの及び長さと直径との比が20対1以下の円筒形又は円すい形であって、1又は2以上の供給口を接線方向に有し、かつ、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。渦巻管は、一方又は双方の端にノズル状の附属物を有することがある。
注釈
渦巻管に対するガスの供給は、管の一端から、翼板に沿って又は管の周辺の多数の地点から接線方向に行われる。
5.5.3 圧縮機及び送風機
六フッ化ウランガスとキャリヤーガス(水素又はヘリウム)との混合物の吸引容量が2立方メートル毎分以上である特に設計し又は製作した軸流型、遠心型又は容積型の圧縮機又は送風機であって、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
注釈
これらの圧縮機及び送風機は、通常、1・2対1から6対1までの圧力比を有する。
5.5.4 回転軸の密封装置
圧縮機又は送風機の回転子と駆動電動機との接続軸を密封し、六フッ化ウランガスとキャリヤーガスとの混合物が充てんされた圧縮機又は送風機の内部からの工程中のガスの流出又はその内部への空気又はガス状密封材の混入に対する信頼性の高い密封を確保するために、かつ、密封材の供給及び排出のための接続部を有するように特に設計し又は製作した回転軸の密封装置
5.5.5 ガス冷却用熱交換機
特に設計し又は製作した熱交換機であって、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
5.5.6 分離要素の容器
渦巻管又は分離用ノズルを収納するために特に設計し又は製作した分離要素の容器であって、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
注釈
この容器は、直径が300ミリメートルを超え、かつ、長さが900ミリメートルを超える円筒形の容器又は同等の大きさの直方体の容器であることがあり、及び水平方向又は鉛直方向に取り付けるように設計することがある。
5.5.7 供給システム並びに「製品」及び「廃棄材」回収システム
特に設計し又は製作した濃縮プラントのための処理システム又は設備であって、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
(次の品目を含む。)
- (a)
- 六フッ化ウランを濃縮工程に供給するためのオ−トクレ−ブ、オ−ブン又は供給システム
- (b)
- 六フッ化ウランを、その後の加熱及び移送に先立ち、濃縮工程から取り出すためのコ−ルド・トラップその他の昇華器
- (c)
- 六フッ化ウランを濃縮工程から取り出し、圧縮して液体又は固化するための液化又は固化装置
- (d)
- 六フッ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を容器に移し入れるための装置
5.5.8 通気配管システム
空気動力学カスケ−ドにおいて六フッ化ウランを取り扱うために特に設計し又は製作した通気配管システムであって、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの。通常の配管は、単独の又は接続した分離段階ごとに2の通気管が接続する。
5.5.9 真空システム及び真空ポンプ
- (a)
- 吸引容量が5立方メートル毎分以上である特に設計し又は製作した真空システムであって、真空分岐管その他の真空通気管及び真空ポンプから成り、六フッ化ウランを含む気体の中において使用するために設計されたもの
- (b)
- 六フッ化ウランを含む気体の中において使用するために特に設計し又は製作した真空ポンプであって、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの。このポンプは、過フッ化炭化水素の密封材及び特殊な作動流体を有することがある。
5.5.10 特殊遮断弁及び制御弁
直径が40ミリメートルから1,500ミリメートルまでの手動又は自動の遮断用ベロ−ズ弁及び制御用ベローズ弁であって、空気動力学濃縮プラントの主要システム及び補助システムに設置するために特に設計し又は製作し、かつ、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
5.5.11 六フッ化ウラン質量分析計及びイオン源
供給される六フッ化ウランガス又はその「製品」若しくは「廃棄材」をガスの流れの中から試料として採取することが可能な特に設計し又は製作した磁気又は四重極質量分析計であって、次の特性のすべてを有するもの
- 1
- 原子質量単位が320を超える場合にその2未満の単位差について分解能を有すること。
- 2
- ニクロム若しくはモネルにより製造し若しくは内張りし又はニッケルによりめっきしたイオン源を有すること。
- 3
- 電子衝撃によりイオン化させるイオン源を有すること。
- 4
- 同位元素の分析に適した捕集システムを有すること。
5.5.12 六フッ化ウラン・キャリヤーガス分離システム
キャリヤーガス(水素又はヘリウム)から六フッ化ウランを分離するために特に設計し又は製作した処理システム
注釈
このシステムは、キャリヤーガス中の六フッ化ウランの含有量を1含有100万分率以下に減少させるように設計し、及び次の設備を含むことがある。
- (a)
- 零下120セルシウス度以下の温度とすることができる低温熱交換機及び低温分離機
- (b)
- 零下120セルシウス度以下の温度とすることができる低温冷凍装置
- (c)
- キャリヤーガスから六フッ化ウランを分離するための分離用ノズル又は渦巻管装置
- (d)
- 零下20セルシウス度以下の温度とすることができる六フッ化ウラン用コ−ルドトラップ
5.6 化学交換又はイオン交換濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び構成部分品
注釈
ウランの同位元素間の微小な質量差は、同位元素を分離する上で利用可能な小さな変化を化学反応の平衡に引き起こす。液液化学交換及び固液イオン交換の2の処理方法の開発は、既に成功している。
液液化学交換処理においては、相互に混合することのない水相及び有機相の向流的な接触から、数千の段階からなる分離の効果が生ずる。水相及び有機相は、それぞれの塩化ウランを含む塩酸溶液及び塩化ウランを含む抽出溶媒の入った有機溶媒から成る。分離カスケ−ドにおいて使用する接触装置は、ふるい状の板を有するパルスコラム等液液交換コラム又は液体遠心接触機であることがある。各処理過程の両端において化学変換(酸化及び還元)を行い、各端において環流を発生させることが必要となる。工程の流れが特定の金属イオンにより汚染されることを防止することが設計上重要である。したがって、プラスチック(過ふっ化炭化水素重合体を利用したものを含む。)により製造され若しくは内張りされ又はガラスにより内張りされたコラム及び配管が使用される。
固液イオン交換処理においては、非常に早く反応する特殊なイオン交換樹脂又は吸着剤がウランを吸着し又は脱離することにより濃縮が行われる。ウランの塩酸溶液その他の化学物質は、吸着剤の層が充てんされた円筒形の濃縮コラムを通過する。連続的工程においては、還流システムは、吸着剤からウランを脱離して液体の流れの中に戻し、その「製品」及び「廃棄材」を捕集するために必要となる。
このことは、還元及び酸化のための適当な化学物質であって、外部にある別個の経路を通じて再成されるもの又は同位元素の分離コラム内において部分的に再生されることのあるものを利用することによって可能となる。この工程には、高温の濃塩酸溶液が存在するため、特殊な耐食性の材料により設備を製造し又は保護する必要がある。
5.6.1 液液化学交換処理用の液液交換コラム
機械式注入を行う向流型の液液交換コラム(ふるい状の板を有するパルスコラム、往復回転板を有するコラム及び回転式ミキサ−を内部に有するコラム)であって、化学交換処理を利用するウラン濃縮のために特に設計し又は製作したもの。このコラム及びその内装物は、濃塩酸溶液に対する耐食性を要するため、過ふっ化炭化水素重合体等適切なプラスチック材又はガラスにより製造され又は保護される。
コラムにおける物質滞留時間は、30秒以下となるように設計される。
5.6.2 液液化学交換処理用の液液遠心接触機
化学交換処理を利用するウラン濃縮のために特に設計し又は製作した液液遠心接触機。この接触機は、回転を利用して有機相及び水相を分散し、並びに遠心力を利用してこれらの相を分離する。接触機は、濃塩酸溶液に対する耐食性を要するため、過フッ化炭化水素重合体等適当なプラスチック材により製造され若しくは内張りされ又はガラスにより内張りされる。遠心接触機における物質滞留時間は、30秒以下となるように設計される。
5.6.3.液液化学交換処理用のウラン還元システム及び設備
- (a)
- 化学交換処理を利用するウラン濃縮のために、ある原子価のウランを他の原子価のウランに還元するように特に設計し又は製作した電気化学還元用の小室。処理溶液と接触する小室の材料は、濃塩酸溶液に対する耐食性を有する必要がある。
注釈
小室の陰極区画は、ウランが高次の原子価のウランに再び酸化することのないように設計する必要がある。小室は、ウランを陰極区画内に保持するために、特殊な陽イオン交換材料を用いて製作される不浸透性隔膜を有することがある。陰極は、黒鉛等適当な固体電導体から成る。 - (b)
- カスケ−ドの製品取出側の端において有機相の流れから四価のウランを取り出し、酸の濃度を調節し及び電気化学還元用の小室に処理溶液を供給するために特に設計し又は製作したシステム
注釈
このシステムは、四価のウランを有機相の流れから取り出して水溶液に移し入れるための溶媒抽出設備、溶液の水素イオン濃度を調節し及び制御するための蒸発設備その他の設備並びに電気化学還元用の小室に処理溶液を供給するためのポンプその他の移送装置から成る。水相の流れが特定の金属イオンにより汚染されることを防止することが設計上重要である。したがって、このシステムは、工程中の液体の流れとの接触部分については、ガラス、過フッ化炭化水素重合体、硫酸ポリフェニル、ポリエーテルスルホン、樹脂を含浸する黒鉛等適当な材料により製造され又は保護された設備から成る。
5.6.4 液液化学交換処理用の供給溶液生産システム
化学交換処理を利用するウラン同位元素の分離プラントに供給される高純度の塩化ウラン溶液を生産するように特に設計し又は製作したシステム
注釈
このシステムは、精製のための溶解、溶媒抽出又はイオン交換の設備及び六価又は四価のウランを三価のウランに還元するための電解槽から成る。このシステムは、クロム、鉄、バナジウム、モリブデン、その他二価以上の原子価を有する陽イオンの金属等金属不純物の含有100万分率がわずかであるような塩化ウラン溶液を生産する。このシステムにおいて高純度の三価のウランを処理する部分は、ガラス、過フッ化炭化水素重合体、硫酸ポリフェニル並びにポリエーテルスルホンにより内張りし及び樹脂を含浸した黒鉛を含む材料を用いて製造する。
5.6.5 液液化学交換処理用のウラン酸化システム
化学交換処理を利用する濃縮工程においてウラン同位元素の分離カスケードに還流するために三価のウランを四価のウランに酸化するように特に設計し又は製作したシステム
注釈
このシステムには、次の設備を含むことがある。
(a) 同位元素の分離設備から流出した水溶液と塩素及び酸素とを接触させ、その結果生じた四価ウランの「製品」を抽出し、当該「製品」をカスケードの「製品」取出側の端から還流する四価のウランを含まない有機相に移し入れるための設備
(b) 水及び濃塩酸を適当な箇所において工程に再供給することができるように塩酸から水を分離する設備
5.6.6 固液イオン交換処理用の高速反応イオン交換樹脂及び吸着剤
イオン交換処理を利用するウラン濃縮のために特に設計し又は製作した高速反応イオン交換樹脂又は吸着剤(大型網目状の多孔質樹脂、薄膜構造の多孔質の樹脂又は吸着剤で内部支持構造は不活性であるが、表面の被覆に限って活性化学交換基が存在するもの及び他の複合構造の樹脂又は吸着剤で粒子状、繊維状等適当な形状のものを含む。)。これらのイオン交換樹脂及び吸着剤は、粒子の直径が0.2ミリメートル以下であり、かつ、交換コラム内で分解されないように濃塩酸溶液に対する化学的な耐食性及び物理的な強度を有する必要がある。これらの樹脂及び吸着剤は、非常に速いウラン同位元素の交換速度(10秒未満の半交換時間)を達成するように特に設計しており、100セルシウス度から200セルシウス度までの温度において作用することができる。
5.6.7 固液イオン交換処理用のイオン交換コラム
層状に充てんされたイオン交換樹脂及び吸着剤を収納し及び保持するための直径が1,000ミリメートルを超える円筒形のコラムであって、イオン交換処理を利用するウラン濃縮のために特に設計し又は製作したもの。このコラムは、チタン、過フッ化炭化水素プラスチック等濃塩酸溶液に対する耐食性を有する材料により製造され又は保護され、かつ、100セルシウス度から200セルシウス度までの温度及び0.7メガパスカル(絶対値で102ポンド毎平方インチ)を超える圧力の下においても作動することができる。
5.6.8 固液イオン交換処理用のイオン交換還流システム
- (a)
- イオン交換処理を利用するウラン濃縮カスケ一ドにおいて使用する化学還元剤を再生するために特に設計し又は製作した化学又は電気化学還元システム
- (b)
- イオン交換処理を利用するウラン濃縮カスケードにおいて使用する化学酸化剤を再生するために特に設計し又は製作した化学又は電気化学酸化システム
注釈
イオン交換処理を利用する濃縮においては、例えば、還元陽イオンとして三価のチタンを使用することがあり、この場合には還元システムは四価のチタンを還元して三価のチタンを再生する。
また、イオン交換処理を利用する濃縮においては、例えば、酸化剤として三価の鉄を使用することがあり、この場合には酸化システムは二価の鉄を酸化して三価の鉄を再生する。
5.7 レーザーを利用した濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び部分品
注釈
レーザーを利用した濃縮処理の現在のシステムは、ウラン原子の蒸気を媒体とする処理及びウラン化含物の蒸気を媒体とする処理のいずれかに分類される、これらの2の処理についての一般的な用語は、「第1の処理」については、レーザーを利用した原子蒸気の同位体分離(AVLIS又はSILVA)であり、また、「第2の処理」については、レーザーを利用した分子の同位体分離(MLIS又はMOLIS)及びレーザーを利用した同位元素の選択的活牲化による化学反応(CRISLA)である。レーザーを利用した濃縮プラントのためのシステム、設備及び部分品には、(a)選択的光電離を行うため金属ウランの蒸気を供給する装置又は光解離を行い若しくは化学的に活性化するためウラン化合物の蒸気を供給する装置、(b)「第1の処理」については、濃縮された金属ウランを「製品」として及び劣化した金属ウランを「廃棄材」として捕集する装置、また、「第2の処理」については、解離され又は活性化された化合物を「製品」として及び影響を受けなかった物質を「廃棄材」として捕集する装置、(c)ウラン235の核種を選択的に励起するレーザー処理システム並びに(d)供給される物質の生産設備及び「製品」の転換設備を含む。ウランの原子及び化合物が分光学的に複雑であるため、利用可能な種々のレーザー技術を組み合わせることが必要となる場合もある。
注釈
この5.7に掲げる品目の多くは、金属ウランの蒸気若しくは液体又は六フッ化
ウラン若しくは六フッウランと他のガスとの混合物から成る工程中のガスと直接接触する。ウラン又は六フッ化ウランとのすべての接触面は、それぞれウラン又は六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。レーザーを利用した濃縮関連品目に関するこの5.7の適用上、金属ウラン又はウラン合金の蒸気又は液体に対し耐食性を有する材料には、酸化イットリウムにより被覆された黒鉛及びタンタルを含み、また、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料には、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケルを60パーセント以上含有する合金及び六フッ化ウランに対し耐食性を有する完全にフッ化された炭化水素重合体を含む。
5.7.1 AVLIS用のウラン蒸発システム
目標物に対して2.5キロワット毎センチメートルを超える高出力を帯状に又は走査するように与える電子ビーム銃を収納する特に設計し又は製作したウラン蒸発システム
5.7.2 AVLIS用の液状金属ウラン取扱システム
溶融したウラン又はウラン合金用に特に設計し又は製作した液体金属取扱システムであって、るつぼ及びその冷却設備から成るもの
注釈
このシステムにおいて溶融したウラン又はウラン合金と接触するるつぼその他の部分は、適当な耐食性及び耐熱性を有する材料により製造され又は保護される。
適当な材料には、タンタル、酸化イットリウムその他の希土類元素の酸化物により被覆された黒鉛及びそれらの混合物を含む。
5.7.3 AVLIS用の金属ウランの「製品」及び「廃棄材」捕集装置の組立品
液状又は固体状の金属ウラン用に特に設計し又は製作した「製品」及び「廃棄材」捕集装置の組立品
注釈
この組立品の部分品は、金属ウランの蒸気又は液体に対する耐熱性及び耐食性を有する材料(酸化イットリウムにより被覆された黒鉛、タンタル等)により製造され又は保護され、また、管、弁、附属品、溝、供給系、熱交換機及び磁気分離法、静電分離法その他の分離法において使用する捕集板を含むことがある。
5.7.4 AVLIS用の分離室の容器
金属ウランの蒸発装置、電子ビーム銃並びに「製品」及び「廃棄材」捕集装置を収納するために特に設計し又は製作した円筒形又は直方体の容器
注釈
この容器は、電気の供給、水の供給、レーザー・ビームの照射及び真空ポンプの接続のために必要な並びに機器の特性上及び監視上必要な多くの開口部を有する。
また、この容器は、内装部品の更新のため開閉可能な部分を有する。
5.7.5 MLIS用の超音速膨張ノズル
六フッ化ウランガスとキャリヤーガスとの混合物を150ケルビン以下に冷却するために特に設計し又は製作した超音速膨張ノズルであって、六フッ化ウランに対し耐食性を有するもの
5.7.6 MLIS用の五フッ化ウランの「製品」捕集装置
特に設計し又は製作した固体状の五フッ化ウラン「製品」捕集装置。これは、フィルター型、衝突型若しくはサイクロン型捕集装置又はそれらの組合せから成り、五フッ化ウラン及び六フッ化ウランに対し耐食性を有する。
5.7.7 MLIS用の六フッ化ウランガス及びキャリヤーガスの圧縮機
六フッ化ウランの中において長期間作動可能であるよう特に設計し又は製作した六フッ化ウランガスとキャリヤーガスとの混合物の圧縮機。工程中のガスと接触するこの圧縮機の部分品は、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。
5.7.8 MLIS用の回転軸の密封装置
圧縮機の回転子と駆動電動機との接続軸を密封し、六フッ化ウランガスとキャリヤーガスとの混合物が充てんされた圧縮機の内部からの工程中のガスの流出又はその内部への空気又はガス状密封材の混入に対する信頼性の高い密封を確保するために、かつ、密封材の供給及び排出のための接続部を有するように特に設計し又は製作した回転軸の密封装置
5.7.9 MLIS用のフッ化システム
固体状の五フッ化ウランをフッ化して六フッ化ウランガスにするために特に設計し又は製作したシステム
注釈
このシステムは、捕集した粉末状の五フッ化ウランをふっ化して六フッ化ウランにするよう設計する。このようにして生じた六フッ化ウランは、「製品」の容器内に捕集され又はMLIS用設備における追加的な濃縮のために移送される。1のフッ化方法は、「製品」捕集装置に対応し直接「製品」を回収するような同位体分離システム内においてフッ化反応を得るものである。他のフッ化方法は、粉末状の五ふっ化ウランを「製品」捕集装置から取り出し、流動床又はら旋式反応器、燃焼塔等適当なフッ化反応容器に移し入れるものである。双方のフッ化方法において、フッ素その他の適当なフッ化剤の貯蔵及び移送設備並びに六フッ化ウランの捕集及び移送設備が利用される。
5.7.10 MLIS用の六フッ化ウラン質量分析計及びイオン源
供給される六フッ化ウランガス又はその「製品」若しくは「廃棄材」をガスの流れの中から試料として採取することが可能な特に設計し又は製作した磁気又は四重極質量分析計であって、次の特性のすべてを有するもの
- 1
- 原子質量単位が320を超える場合にその2未満の単位差について分解能を有すること。
- 2
- ニクロム若しくはモネルにより製造し若しくは内張りし又はニッケルによりめっきしたイオン源を有すること。
- 3
- 電子衝突によりイオン化させるイオン源を有すること。
- 4
- 同位元素の分析に適した捕集システムを有すること。
5.7.11 MLIS用の供給システム並びに「製品」及び「廃棄材」回収システム
特に設計し又は製作した濃縮プラントのための処理システム又は設備であって、六フッ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
(次の品目を含む。)
- (a)
- 六フッ化ウランを濃縮工程に供給するためのオートクレーブ、オーブン又は供給システム
- (b)
- 六フッ化ウランを、その後の加熱及び移送に先立ち、濃縮工程から取り出すためのコールドトラップその他の昇華器
- (c)
- 六フッ化ウランを濃縮工程から取り出し、圧縮して液化又は固化するための液化又は固化装置
- (d)
- 六フッ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を容器に移し入れるための装置
5.7.12 MLIS用の六フッ化ウラン・キャリヤーガス分離システム
キャリヤーガスから六フッ化ウランを分離するために特に設計し又は製作した処理システム。キャリヤーガスは、窒素、アルゴンその他のガスであることがある。
注釈
このシステムには、次の設備を含むことがある。
- (a)
- 零下120セルシウス度以下の温度とすることができる低温熱交換機及び低温分離機
- (b)
- 零下120セルシウス度以下の温度とすることができる低温冷凍装置
- (c)
- 零下20セルシウス度以下の温度とすることができる六フッ化ウラン用コールドトラッブ。
5.7.13 AVLIS,MLIS及びCRISLA用のレーザー・システム
ウランの同位元素の分離のために特に設計し又は製作したレーザー又はレーザー・システム
注釈
AVLIS用レーザー・システムは、通常、銅蒸気レーザー及び色素レーザーの2のレーザーから成る。MLIS用レーザー・システムは、通常、二酸化炭素レーザー又はエキシマー・レーザー及び光路の両端に可動鏡を有する多重光路光学室から成る。双方のレーザー・システム又はそれぞれのレーザーは、長期問作動するためにスペクトル周波数安定器を必要とする。
5.8 プラズマ分離濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び部分品
注釈
ブラズマ分離工程においては、プラズマ状のウラン・イオンは、ウラン235イオンの共鳴振動数に同調した電場を通過することにより、エネルギーを選択的に吸収し、ら旋状に拡大していく周回軌道を描く。直径が大きな周回軌道に入ったイオンは、ウラン235を濃縮した「製品」を生産するため捕集される。ウラン蒸気の電離から生ずるブラズマは、超伝導磁石を用いて強い磁場を発生させた真空の分離室に封じ込められる。この工程における主要な技術システムには、ウラン・ブラズマ発生システム、超伝導磁石を有する分離室並びに「製品」及び「廃棄材」を捕集するための金属回収システムを含む。
5.8.1 マイクロ波出力源及び空中送波線
イオンの発生又は加速のために特に設計し又は製作したマイクロ波出力源及び空中送波線であって、周波数が30ギガヘルツを超え及びイオン発生用の平均出力が50キロワットを超えるもの
5.8.2 イオン励起コイル
周波数が100キロヘルツを超えるように特に設計し又は製作した高周波イオン励起コイルであって、平均電力が40キロワットを超える電力を取り扱うことができるもの
5.8.3 ウラン・プラズマ発生システム
ウラン・プラズマ発生用に特に設計し又は製作したシステム。このシステムは、目標物に対して2.5キロワット毎センチメートルを超える高出力を帯状に又は走査するように与える電子ビーム銃を収納することがある。
5.8.4 液状金属ウラン取扱システム
溶融したウラン又はウラン合金用に特に設計し又は製作した液体金属取扱システムであって、るつぼ及びその冷却設備から成るもの
注釈
このシステムにおいて溶融したウラン又はウラン合金と接触するるつぼその他の部分は、適当な耐食性及び耐熱性を有する材料により製造され又は保護される。
適当な材料には、タンタル、酸化イットリウムその他の希土類元素の酸化物により被覆された黒鉛及びそれらの混合物を含む。
5.8.5 金属ウランの「製品」及び「廃棄材」捕集装置の組立品
固体状の金属ウラン用に特に設計し又は製作した「製品」及び「廃棄材」捕集装置の組立品。この捕集装置の組立品は、金属ウランの蒸気に対する耐熱性及び耐食性を有する材料(酸化イットリウムにより被覆された黒鉛、タンタル等)により製造され又は保護される。
5.8.6 分離室の容器
プラズマ分離濃縮プラントのために特に設計し又は製作した円筒形の容器であって、ウラン・プラズマ発生装置、高周波コイル並びに「製品」及び「廃棄材」捕集装置を収納するためのもの。
注釈
この容器は、電気の供給及び拡散ポンプの接続のために必要な並びに機器の特性上及び監視上必要な多くの開口部を有する。また、この容器は、内装部品の更新のため開閉可能な部分を有し、かつ、ステンレス鋼等適当な非磁性材料を用いて製造される。
5.9 電磁濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び部分品
注釈
電磁式分離工程においては、四塩化ウランのような塩の電離から生ずる金属ウランのイオンは加速されて磁場を通過し、異なる同位元素のイオンがそれぞれ異なる経路を進むこととなる。電磁式同位体分離装置の主要な部分品には、イオン・ビームの分岐及び同位体分離のための磁場、加速システムを有するイオン源並びに分離されたイオンの捕集システムを含む。この工程の補助システムには、磁極への電力供給システム、イオン源用高圧電力供給システム、真空システム並びに「製品」の回収、部品の洗浄及び部品の再利用のための種々の化学的処理システムを含む。
5.9.1 電磁式同位体分離装置
ウランの同位元素の分離のために特に設計し又は製作した電磁式同位体分離装置並びにその設備及び部分品(次の品目を含む。)
- (a) イオン源
- 特に設計し又は製作した単一過程又は複合過程のウラン・イオン源であって、蒸気源、イオン化装置及びビーム加速器から成り、黒鉛、ステンレス鋼、銅等適当な材料を用いて製造され、かつ、総計が50ミリアンペア以上のイオン・ビームを放出することができるもの
- (b) イオン捕集装置
- 濃縮ウラン及び劣化ウランのイオン・ビームを捕集するために特に設計し又は製作した2以上のスリット及び捕集口を有する捕集板であって、黒鉛、ステンレス鋼等適当な材料を用いて製造されたもの
- (c) 真空容器
- 特に設計し又は製作した電磁式ウラン分離装置用真空容器であって、ステンレス鋼等適当な非磁性材料を用いて製造され、かつ、0.1パスカル以下の圧力の下において使用するように設計したもの
注釈
この容器は、イオン源、捕集板及び水冷却される内張りを収納するために特に設計され、拡散ポンプ接続部を有し、かつ、これらの内装部品の取り外し及び再取付けのために開閉可能な部分を有する。 - (d) 磁極部分品
- 特に設計し又は製作した磁極部分品であって、直径が2メートルを超え、かつ、1の電磁式同位体分離装置内に一定の磁場を維持し及び隣接する複数の分離装置に磁場を提供するためのもの
5.9.2 高圧電力供給設備
イオン源用に特に設計し又は製作した高圧電力供給設備であって、2万ボルト以上の出力電圧、1アンペア以上の出力電流及び0.01パーセント未満の電圧変動率の電力を8時間を超えて継続的に供給することができるもの
5.9.3 磁力への電力供給設備
特に設計し又は製作した高出力かつ直流の電力を磁極に供給する設備であって、500アンペア以上の電流、100ボルト以上の出力電圧及び0.01パーセント未満の電流又は電圧変動率の電力を8時間を超えて継続的に供給することができるもの
6 重水、重水素及び重水素化合物の生産プラント並びに重水、重水素及び重水素化合物の生産のために特に設計し又は製作した設備
注釈
重水は種々の処理方法により生産することができるが、水・硫化水素交換処理(GS処理)及びアンモニア・水素交換処理が商業上実施可能である旨実証されている。
GS処理は、上部を冷却し及び下部を加熱する一連の交換塔内において、水と硫化水素との間に水素及び重水素の交換が生ずることによって行われる。硫化水素ガスの流れが交換塔内の下部から上部に向け生ずる間、水の流れが下部に向け生ずる。この硫化水素ガスと水との混合を促進するために、一連の多孔板が利用される。重水素は、低温においては水に、高温においては硫化水素に移行する。重水素を濃縮したガス又は水は、加熱部分と冷却部分とが接する箇所において第1段階の交換塔から取り出され、同様の処理がその後の段階の交換塔においても繰り返される。GS処理の最終工程における生産物(重水素の濃度が30パーセントとなった水)は、原子炉級重水(酸化重水素の濃度が99.75パーセントである水)を生産するために蒸留装置に移送される。
アンモニア・水素交換処理は、触媒を用いて合成ガスと液体アンモニアとを接触させることにより、合成ガスから重水素を抽出することによって行われる。合成ガスは、交換塔及びアンモニア転換器に供給される。液体アンモニアの流れが交換塔内の上部から下部に向け生ずる間、合成ガスの流れが下部から上部に向け生ずる。重水素は、アンモニア内で合成ガス中の水素から取り出され、濃縮される。
ガスが交換塔上部のアンモニア転換器に流入する間、アンモニアは交換塔下部のアンモニア分解器に流入する。その後の段階において濃縮が繰り返された後、最終的な蒸留によって原子炉級重水が生産される。合成ガスの原料は、アンモニア工場から供給することができ、また、アンモニア工場をアンモニア・水素交換処理を利用した重水生産プラントと共に建設することもある。アンモニア・水素交換処理においては、重水素の原料として通常の水を利用する場合もある。
GS処理又はアンモニア・水素交換処理を利用した重水生産プラントのための主要な設備(特に、GS処理を利用した小規模の工場のための主要な設備)の多くは、化学工業及び石油工業の種々の部門において必要な設備と共通する。もっとも、大半の設備は、既製品として購入することができない。GS処理及びアンモニア・水素交換処理は、可燃性、腐食性及び毒性を有する大量の流体を高圧下において取り扱う必要がある。このため、これらの処理を利用するプラント及び設備の設計基準及び運転基準を設定するに際しては、高い安全性及び信頼性を伴う長期間の作動を確保するため、材料の選択及びその仕様に関して慎重な考慮を払う必要がある。主として経済的条件と必要性との相関関係によって操業の規模が決定されるため、大半の設備は、顧客の求めに応じて特に製造されることとなる。
最後に、GS処理及びアンモニア・水素交換処理の双方において、重水生産用に特に設計し又は製作した設備ではない個々の設備であっても、当該個々の設備を特に設計し又は製作した重水生産用システムとして組み合わせることが可能であることに留意する必要がある。そのようなシステムの例として、アンモニア・水素交換処理において使用する触媒生産システム及び双方の処理において重水を最終的に濃縮して原子炉級重水とするために使用される水蒸留システムがある。
GS処理又はアンモニア・水素交換処理のいずれかを利用した重水の生産のために特に設計し又は製作した設備には、次の設備を含む。
6.1 水・硫化水素交換塔
水・硫化水素交換処理(GS処理)を利用した重水の生産のために特に設計し又は製作した交換塔であって、アメリカ材料試験協会(ASTM)のA516に該当するような規格の細粒炭素鋼を用いて製造され、直径が6メートル(20フィート)から9メートル(30フィート)までであり、2メガパスカル(300ポンド毎平方インチ)以上の圧力の下において作動可能であり、かつ、寸法上の腐食許容限度が6ミリメートル以上であるもの
6.2 送風機及び圧縮機
単段の、圧力水頭が0.2メガパスカル(30ポンド毎平方インチ)の、かつ、硫化水素を70パーセント以上含む硫化水素ガスの循環用の遠心型送風機又は圧縮機であって、水・硫化水素交換処理を利用した重水の生産のために特に設計し又は製作したもの。この送風機又は圧縮機は、56立方メートル毎秒(12万標準立方フィート毎分)の処理容量及び1.8メガパスカル(260ポンド毎平方インチ)の吸引圧力を有し、かつ、湿性の硫化水素の密封用に設計された構造を有する。
6.3 アンモニア・水素交換塔
高さが35メートル(114.3フィート)以上であり、直径が1.5メートル(4.9フィート)から2.5メートル(8.2フィート)までであり、15メガパスカル(2,225ポンド毎平方インチ)を超える圧力の下においても作動可能な及びアンモニア・水素交換処理を利用した重水の生産のために特に設計し又は製作したアンモニア・水素交換塔。この交換塔は、また、内装物を挿入し又は取り出すために少なくとも1箇所において、交換塔と同一の口径の軸方向に開放されるフランジ付きの開口部を有する。
6.4 交換塔の内装物及び多段接触器用ポンプ
アンモニア・水素交換処理を利用した重水生産用の交換塔のために特に設計し又は製作した内装物及び多段接触器用ポンプ。交換塔の内装物には、気体と液体との接触を促進するために特に設計した多段接触器を含む。多段接触器用ポンプには、多段接触器内において液体アンモニアを循環させるために特に設計した浸せき式ポンプを含む。
6.5 アンモニア分解器
3メガパスカル(450ポンド毎平方インチ)以上の圧力の下においても作動可能なアンモニア・水素交換処理を利用した重水の生産のために特に設計し又は製作したアンモニア分解器
6.6 赤外線吸収分析器
重水素の濃度が90パーセント以上である場合においてプラントの稼働中に水素と重水素との比の分析をすることができる赤外線吸収分析器
6.7 触媒バーナー
アンモニア・水素交換処理を利用した重水の生産のために特に設計し又は製作した触媒バーナーであって濃縮重水素ガスを重水に転換するためのもの
7 ウラン転換プラント及びウランの転換のために特に設計し又は製作した設備
注釈
ウラン転換プラント及びウラン転換システムにおいては、ある化学種のウランから他の化学種のウランヘの1又は2以上の転換(ウラン鉱石の精鉱から三酸化ウランヘの転換、三酸化ウランから二酸化ウランヘの転換、ウラン酸化物から四フッ化ウラン又は六フッ化ウランヘの転換、四フッ化ウランから六フッ化ウランヘの転換、六フッ化ウランから四フッ化ウランヘの転換、四フッ化ウランから金属ウランヘの転換及びウランフッ化物から二酸化ウランヘの転換を含む。)を行うことがある。ウラン転換プラントのための主要な設備の多くは、化学処理工業の種々の部門において必要な設備と共通する。そのような設備には、加熱炉、回転炉、流動床式反応器、燃焼塔、液体遠心分離機、蒸留コラム及び液液抽出コラムを含む。もっとも、大半の設備は、既製品として購入することができず、顧客の求める条件及び仕様に従って製造される。一定の場合には、一部の化学物質(フッ化水素、フッ素、三フッ化塩素及びウランフッ化物)の腐食性に対処するため、特別の設計及び製作上の考慮が必要となる。最後に、ウラン転換用に特に設計し又は製作した設備ではない個々の設備であっても、当該個々の設備を特に設計し又は製作したウラン転換用システムとして組み合わせることが可能であることに留意する必要がある。
7.1 ウラン鉱石の精鉱から三酸化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注釈
ウラン鉱石の精鉱から三酸化ウランヘの転換は、最初に、鉱石を硝酸により溶解し、精製された硝酸ウラニルを燐酸トリブチル等の溶媒を利用して抽出することにより行われる。次に、硝酸ウラニルは、濃縮及び脱硝により又はアンモニアガスを利用した中和から生ずる二ウラン酸アンモニウムをろ過し、乾燥し及びか焼することによって、三酸化ウランに転換される。
7.2 三酸化ウランから六フッ化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注釈
三酸化ウランから六フッ化ウランヘの転換は、フッ化により直接行うことができる。この処理は、フッ素ガス又は三フッ化塩素の供給源を必要とする。
7.3 三酸化ウランから二酸化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注釈
三酸化ウランから二酸化ウランヘの転換は、三酸化ウランを分解アンモニアガス又は水素により還元することにより行うことができる。
7.4 二酸化ウランから四フッ化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注釈
二酸化ウランから四フッ化ウランヘの転換は、300セルシウス度から500セルシウス度までにおいて二酸化ウランをふっ化水素ガスと反応させることにより行うことができる。
7.5 四フッ化ウランから六フッ化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注釈
四フッ化ウランから六フッ化ウランヘの転換は、反応塔内におけるフッ素との発熱反応により行う。反応塔から流出する高温のガスの流れが零下10セルシウス度に冷却したコールドトラップを通過することにより、六フッ化ウランが凝縮される。この処理は、フッ素ガスの供給源を必要とする。
7.6 四フッ化ウランから金属ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注釈
四フッ化ウランから金属ウランヘの転換は、大量の転換を行う場合にはマグネシウムにより又は小量の転換を行う場合にはカルシウムにより還元することにより行う。このような反応は、ウランの融点(1,130セルシウス度)を超える温度において起こる。
7.7 六フッ化ウランから二酸化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注釈
六フッ化ウランから二酸化ウランヘの転換は、3の処理のうちのいずれかにより行うことができる。第1の処理は、六フッ化ウランを、水素及び水蒸気を利用して還元し及び加水分解して二酸化ウランとする。第2の処理は、六フッ化ウランを、水溶液により加水分解し、アンモニアを加えて二ウラン酸アンモニウムを沈殿させ、更に二ウラン酸塩を、820セルシウス度において水素により還元することにより二酸化ウランとする。第3の処理は、ガス状の六フッ化ウラン、二酸化炭素及びアンモニアを水中において化合させて、炭酸ウラニルアンモニウムを沈殿させる。炭酸ウラニルアンモニウムは、500セルシウス度から600セルシウス度までにおいて水蒸気及び水素と化合して二酸化ウランとなる。
六フッ化ウランから二酸化ウランヘの転換は、多くの場合、燃料加工プラントの最初の工程として行われる。
7.8 六フッ化ウランから四フッ化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注釈
六フッ化ウランから四フッ化ウランヘの転換は、水素により還元することにより行う。