この議定書と保障措置協定との関係
第1条
保障措置協定の規定は、この議定書の規定に関連し及び両立する限度において、この議定書について準用する。保障措置協定の規定とこの議定書の規定とが抵触する場合には、この議定書の規定を適用する。
情報の提供
第2条
- a.
- 日本国政府は、次の情報を含む報告を機関に行う。
- (i)
- 核物質を伴わない核燃料サイクル関連の研究開発活動であって、場所のいかんを問わず行われ、かつ、日本国政府により資金が供与され、特に認められ若しくは管理され又は日本国政府のために行われているものの概要及び当該研究開発活動が行われる場所を示す情報
- (ii)
- 施設及び施設外の場所における保障措置関連の操業活動に関する情報であって、実効性の強化又は効率の改善において有用であることが期待されるものとして機関が特定し、かつ、日本国政府が同意する情報
- (iii)
- 各サイトの個々の建物の概要(建物の使用方法についての記述及び、建物の概要が当該記述のみからでは明らかとならない場合には、当該建物内にある物についての記述を含む。)。この概要には、当該サイトの地図を含む。
- (iv)
- 附属書Iに掲げる活動が行われる各場所における操業の規模に関する記述。
- (v)
- ウランの鉱山及び製錬プラント並びにトリウムの製錬プラントについて、これらの場所、操業状況及び推定年間生産能力を示す情報並びに日本国全体についてこれらの鉱山及び製錬プラントの現在の年間総生産量を示す情報。日本国政府は、機関が要請するときは、個々の鉱山又は製錬プラントごとの現在の年間生産量を示す情報を提供する。これらの情報の提供に当たっては、核物質の詳細な計量は要しない。
- (vi)
- 原料物質(燃料加工又は同位体の濃縮に適する組成及び純度を有する原料物質を除く。)に関する次の情報。ただし、非原子力活動に使用するための原料物質がその最終用途として当該活動に使用される形状である場合又はそのような形状となった場合には、当該原料物質に関する情報を提供する必要はないことが了解される。
- (a)
- 10メートル・トンを超える量のウラン又は20メートル・トンを超える量のトリウムが存在する日本国内の各場所について、これらの原料物質の量、化学的組成及び現在の又は予定される使用状況(原子力活動のための使用であるか非原子力活動のための使用であるかを問わない。)に関する情報。ただし、他の場所に1メートル・トンを超える量のこれらの原料物質が存在する場合には、日本国全体のそれらの総量がウランについては10メートル・トン又はトリウムについては20メートル・トンを超えるときに限って、当該総量に関する情報を提供するものとする。これらの情報の提供に当たっては、核物質の詳細な計量は要しない。
- (b)
- 原料物質が次の量を超えて、かつ、明らかに非原子力目的で日本国から輸出される場合、当該原料物質の量、化学的組成及び仕向地
- (1)
- ウランについては、10メートル・トン(日本国から1の国に対しウランを2回以上にわたって輸出する場合に、個々の輸出量が10メートル・トン未満の量であっても、年間の輸出総量が10メートル・トンを超える場合を含む。)
- (2)
- トリウムについては20メートル・トン(日本国から1の国に対しトリウムを2回以上にわたって輸出する場合に、個々の輸出量が20メートル・トン未満の量であっても、年間の輸出総量が20メートル・トンを超える場合を含む。)
- (c)
- 原料物質が次の量を超えて、かつ、明らかに非原子力目的で日本国に輸入される場合、当該原料物質の量、化学的組成、現在の所在箇所及び現在の又は予定される使用状況
- (1)
- ウランについては、10メートル・トン(日本国にウランを2回以上にわたって輸入する場合に、個々の輸入量が10メートル・トン未満の量であっても、年間の輸入総量が10メートル・トンを超える場合を含む。)
- (2)
- トリウムについては、20メートル・トン(日本国にトリウムを2回以上にわたって輸入する場合に、個々の輸入量が20メートル・トン未満の量であっても、年間の輸入総量が20メートル・トンを超える場合を含む。)
- (vii)
-
- (a)
- 保障措置協定第37条に従って保障措置の適用が免除された核物質の量、使用状況及び所在箇所に関する情報
- (b)
- 保障措置協定第36条(b)に従って保障措置の適用が免除された核物質のうち、その最終用途として非原子力活動に使用される形状に達しておらず、かつ、保障措置協定第37条に定める量を超える量のものについて、個々の所在箇所ごとの当該核物質の量(推定される量によることもできる。)及び使用状況に関する情報。この情報の提供に当たっては、核物質の詳細な計量は要しない。
- (viii)
- 保障措置協定第11条に従って保障措置の適用が終了したプルトニウム、高濃縮ウラン若しくはウラン233を含む中レベル放射性廃棄物若しくは高レベル放射性廃棄物の所在箇所又はこれらの廃棄物に対して新たに行う処理に関する情報。この(viii)の適用上、「新たに行う処理」には、廃棄物を重ねて容器に収納又は元素の分離を伴わずに更に調整する処理であって、貯蔵又は処分のために行われるものを含まない。
- (ix)
- 設備及び核物質ではない資材であって、附属書IIに特定の設備及び資材として揚げるものに関する次の情報
- (a)
- 日本国から輸出される設備又は資材の特定、量、受領国において予定される使用場所及び輸出の日又はその予定日
- (b)
- 機関が特に要請するときは、設備又は資材の日本国への輸出に関し他の国が機関に提供した情報についての日本国政府による輸入国としての確認
- (x)
- 核燃料サイクルの開発に関連する今後10年間の全般的な計画(核燃料サイクル関連の研究開発活動の計画を含む。)であって、日本国の適当な当局によって承認されたもの
- b.
- 日本国政府は、次の情報を機関に提供するためにあらゆる合理的な努力を払う。
- (i)
- 核物質を伴わない核燃料サイクル関連の研究開発活動であって、場所のいかんを問わず日本国内で行われ、かつ、濃縮、核燃料の再処理又はプルトニウム、高濃縮ウラン若しくはウラン233を含む中レベル放射性廃棄物若しくは高レベル放射性廃棄物の処理に特に関連するもの(日本国政府により資金が供与され、特に認められ若しくは管理され又は日本国政府のために行われるものを除く。)の概要及び当該研究開発活動が行われる場所を示す情報。この(i)の適用上、中レベル放射性廃棄物又は高レベル放射性廃棄物の「処理」には、廃棄物を重ねて容器に収納し又は元素の分離を伴わずに調整する処理であって、貯蔵又は処分のために行われるものを含まない。
- (ii)
- サイトの活動に機能的に関連し得る場所として機関が特定するサイト外の場所における活動の概要及び当該活動を行う個人又は団体の特定する事項。この情報の提供は、機関から特に要請があることを条件として、かつ、機関と協議の上、適時に行う。
- c.
- 日本国政府は、機関が要請するときは、保障措置の目的に関連する範囲内で、この条に従って提供する情報について更に詳細な又は明確な説明を行う。
第3条
- a.
- 日本国政府は、前条aの(i)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)(a)、(vii)及び(x)並びに前条b(i)の情報をこの議定書の効力発生から180日以内に機関に提供する。
- b.
- 日本国政府は、毎年、直前の暦年についてaに規定する情報を更新し、5月15日までに、機関に提供する。日本国政府は、前回までに提供した情報に変更がない場合にはその旨を明示する。
- c.
- 日本国政府は、毎年、直前の暦年について前条a(vi)(b)及び(vi)(c)に規定する情報を5月15日までに機関に提供する。
- d.
- 日本国政府は、各四半期について前条a(ix)(a)に規定する情報を、当該各4半期の終了から60日以内に機関に提供する。
- e.
- 日本国政府は、前条a(viii)に規定する「新たに行う処理」についての情報を当該「新たに行う処理」の実施の180日前までに機関に提供する。また、毎年、直前の暦年について前条a(viii)に規定する所在箇所に生じた変更に関する情報を5月15日までに機関に提供する。
- f.
- 日本国政府及び機関は、前条a(ii)に規定する情報を提供する時期及び頻度に関し合意する。
- g.
- 日本国政府は、前条a(ix)(b)の規定に基づく情報を、機関からの要請があった時から60日以内に機関に提供する。
補完的なアクセス
第4条
次の規定は、次条に基づく補完的なアクセスの実施に関して適用する。
- a.
- 機関は、第2条に規定する情報の検認を機械的又は系統的に行おうとしてはならない。
- ただし、機関は、次のアクセスを実施することができるものとする。
- (i)
- 次条aの(i)又は(ii)に規定する場所へのアクセスであって、申告されていない核物質が存在せず又はそのような原子力活動が行われていないことを確認するために選択的に行われるもの
- (ii)
- 次条b又はcに規定する場所へのアクセスであって、第2条に従って提供される情報の正確性及び完全性に関する疑義を解消し又は当該情報の整合性に関する問題を解決するために行われるもの
- (iii)
- 次条a(iii)に規定する場所へのアクセスであって、施設又は核物質がかつて通常使用されていた施設外の場所についてとられた廃止措置の状況に関して日本国政府が行った申告に関し、機関が保障措置の目的で確認を行うために必要な限度において行うもの
- b.
- (i)
- 機関は、(ii)に規定する場合を除くほか、アクセスの実施に先立ち少なくとも24時間前までに日本国政府に対し事前の通告を行う。
- (ii)
- 機関は、サイト内の場所について、当該サイト内で行う設計情報の検認のための訪問、特定査察又は通常査察との関連においてアクセスを必要とする場合には、日本国政府に対し特に要請を行うことを条件として、遅くとも2時間前までの事前の通告によって当該アクセスを実施することができる。ただし、例外的な状況においては、2時間以内の事前の通告によることもできる。
- c.
- 事前通告は、書面によるものとし、アクセスを求める理由及びそのアクセスにおいて行われる活動を特定する。
- d.
- 機関は、情報に関する疑義又は整合性に関する問題が生じた場合には、当該疑義又は問題について説明し及び解決を促進するための機会を日本国政府に与える。そのような機会は、アクセスを求める目的の達成がアクセスの遅延により阻害されるおそれがあると機関が認める場合を除くほか、アクセスの要請に先立って与えられるものとする。機関は、いかなる場合であっても、そのような機会が現に日本国政府に与えるまでの間、関連する疑義又は問題に関しいかなる結論も導き出してはならない。
- e.
- アクセスは、日本国政府が同意する場合を除くほか、通常の労働時間内においてのみ実施する。
- f.
- 日本国政府は、機関の査察員の職務の遂行を遅滞させず、かつ、妨げないことを条件として、機関の査察員によるアクセスの実施の間を通じて日本国政府の代表を同行させる権利を有する。
第5条
日本国政府は、機関に対し次の場所へのアクセスを認める。
- a.
- (i)
- サイト内の場所
- (ii)
- 第2条aの(v)から(viii)までに従って日本国政府が申告した場所
- (iii)
- 廃止措置のとられた施設又は廃止措置のとられた施設外の場所であって核物質がかつて通常使用されていた場所
- b.
- 第2条aの(i)、(iv)若しくは(ix)(b)又は第2条bに従って日本国政府が申告した場所(a(i)に規定する場所を除く。)。ただし、日本国政府は、そのアクセスを実際に確保することが不可能な場合には、他の方法により遅滞なく機関の要求を満たすためにあらゆる合理的な努力を払う。
- c.
- 特定の場所における環境試料の採取を行うために機関が指定する場所(a 及びbに規定する場所を除く。)。ただし、日本国政府は、そのアクセスを実際に確保することが不可能な場合には、近接する場所において又は他の方法により遅滞なく機関の要求を満たすためにあらゆる合理的な努力を払う。
第6条
機関は、前条の適用上、次の活動を行うことができる。
- a.
- 前条aの(i)又は(iii)の規定に従って実施するアクセスについては、観察、環境試料の採取、放射線の検出及び測定用装置の利用、補助取決めに定める封印の実施その他の同定装置及び開封表示装置の利用並びに技術的に可能であることが証明されている他の客観的な措置であって機関の理事会(以下「理事会」という。)が同意し、かつ、日本国政府と機関との間の協議が行われるものの適用
- b.
- 前条a(ii)の規定に従って実施するアクセスについては、観察、核物質の員数勘定、非破壊測定及び採取、放射線の検出及び測定用の装置の利用、核物質の量、原産地及び処理に関する記録の検討、環境試料の採取並びに技術的に可能であることが証明されている他の客観的な措置であって理事会が合意し、かつ、日本国政府と機関との間の協議が行われるものの適用
- c.
- 前条bの規定に従って実施するアクセスについては、観察、環境試料の採取、放射線の検出及び測定用の装置の利用、保障措置に関連する生産及び積送の記録の検討並びに技術的に可能であることが証明されている他の客観的な措置であって理事会が合意し、かつ、日本国政府と機関との間の協議が行われるものの適用
- d.
- 前条cの規定に従って実施するアクセスについては、環境試料の採取並びに、前条cに従って機関が指定する場所における当該採取によっても情報に関する疑義の解消又は情報の整合性に関する問題の解決が得られない場合には、当該場所における観察、放射線の検出及び測定用の装置の利用並びに客観的な措置であって日本国政府及び機関が合意するものの適用
第7条
- a.
- 日本国政府及び機関は、日本国政府が要請する場合には、核不拡散上機微な情報の普及を防止し、安全上若しくは防護上の要件を満たし又は財産的価値を有する情報若しくは商業上機微な情報を保護するため、この議定書の下で実施する管理されたアクセスについての取決めを作成する。この取決めは、機関が、関連の場所において申告されていない核物質が存在せず又はそのような原子力活動が行われていないことについての確証を得る上で必要な活動(第2条に規定する情報の正確性及び完全性に関する疑義を解消し又は情報の整合性に関する問題を解決する上で必要な活動を含む。)を行うことを妨げるものであってはならない。
- b.
- 日本国政府は、第2条に規定する情報を提供する時に、管理されたアクセスによる可能性のあるサイト内その他の場所を機関に通報することができる。
- c.
- 日本国政府は、必要な補助取決めの効力発生までの間においても、a の規定に沿って、管理されたアクセスを援用することができる。
第8条
この議定書はいかなる規定も、日本国政府が第5条及び次条に規定する場所以外の場所に対するアクセスの実施又は特定の場所において検認活動の実施を機関に要請することを妨げるものではない。機関は、そのような要請に応じて行動するために、遅滞なく、あらゆる合理的な努力を払う。
第9条
日本国政府は、広域的な環境試料の採取のために機関が指定する場所へのアクセス認める。ただし、日本国政府は、このアクセスを実際に確保することが不可能な場合には、他の場所において機関の要求を満たすためにあらゆる合理的な努力を払う。機関は、広域的な環境試料の採取の実施及び必要な手続上の措置を理事会が承認し、かつ、日本国政府及び機関が協議を行うまでの間においては、このアクセスを求めることができない。
第10条
機関は、次のことについて日本国政府に通報する。
- a.
- この議定書に基づいて行った活動(情報に関する疑義又は情報の整合性に関する問題として機関が日本国政府の注意を喚起したものに係る活動を含む。)この通報は、当該活動の実施から60日以内に行う。
- b.
- 情報に関する疑義又は情報の整合性に関する問題として機関が日本国政府の注意を喚起したものに係る活動の結果。この通報は、できる限り速やかに、ただし、いかなる場合にも機関による当該結果の確定から30日以内に行う。
- c.
- この議定書に基づいて行った活動から導き出した結論。この通報は、毎年行う。
機関の査察員の指名
第11条
- a.
- (i)
- 機関の事務局長(以下「事務局長」という。)は、理事会が機関のいずれかの職員を保障措置の査察員として承認した場合には、当該承認について日本国政府に通告を行う。当該通告に係る職員は、その者を日本国に派遣する査察員とすることにつてい拒否する旨を日本国政府が当該通告の受領から3ヶ月以内に事務局長に通報しない限り、日本国に派遣する査察員として指名されたものとみなす。
- (ii)
- 事務局長は、日本国政府からの要請に応じて又は自己の発意により行った日本国に派遣する査察員の指名の撤回を直ちに日本国政府に通報する。
- b.
- aに規定する通告は、日本国政府に対する機関の通告の書留郵便による送付の日の後7日で日本国政府により受領されたものとみなす。
査証
第12条
日本国政府は、機関からの要請において特定される査察員に対し、査証を必要とする場合には、当該査察員が職務を遂行する目的で日本国の領域内に入国し及び滞在することができるように、適当な数次の出入国査証又は通過査証を要請の受領から1ヶ月以内与える。
査証は、少なくとも1 年間は有効なものとし、日本国に派遣される査察員である期間を通じて有効となるよう必要に応じて更新される。
補助取決め
第13条
- a.
- 日本国政府及び機関は、いずれか一方がこの議定書に定める措置の具体的な適用に関し補助取決めにおいて規定する必要がある旨を提起した場合には、この議定書の効力発生から90日以内にその補助取決めについて合意する。また、この議定書の効力発生の後に補助取決めの必要性が提起された場合には、当該必要性が提起された日から90日以内に合意する。
- b.
- 機関は、必要な補助取決めの効力を生じていない間であっても、、この議定書に定める措置を適用する権利を有する。
通信システム
第14条
- a.
- 日本国政府は、日本国内の機関の査察員と機関の本部又は地域事務所との間で機関が公の目的のために行う自由な通信を認め、かつ、これを保護する。この自由な通信には、封じ込め、監視又は測定用の機関の装置を通じて得られる情報の送信(それらの装置から自動的に行われる送信を含む。)を含む。機関は、日本国政府と協議の上、国際的かつ一般的に利用されている直接通信の制度であって日本国内において一般に利用されていないもの(衛星通信その他の形態の電気通信を含む。)を使用する権利を有する。日本国政府又は機関が要請する場合には、このa に規定する封じ込め、監視又は測定用の機関の装置を通じて得られる情報の送信(それらの装置から自動的に行われる送信を含む)の実施に関する詳細を補助取決めに規定する。
- b.
- aに規定する通信及び情報の送信に当たっては、財産的価値を有する情報、商業上機微な情報又は日本国政府が特に機微であるとみなす設計情報を保護する必要性に十分な考慮を払う。
秘密情報の保護
第15条
- a.
- 機関は、自己の知るに至った商業上、技術上及び産業上の秘密その他の秘密情報(この議定書の実施を通じて知るに至った秘密情報を含む。)の開示から効果的に保護することを確保するために厳重な制度を維持する。
- b.
- aに規定する制度には、特に、次の事項に関する規定の作成を含む。
- (i)
- 秘密情報の取扱いに関する一般原則及び関連の措置
- (ii)
- 秘密情報の保護に関連する職員の雇用の条件
- (iii)
- 秘密の扱いに関する違反又は当該違反の疑いがある場合の手続
- c.
- 理事会は、aに規定する制度を承認し及び定期的に検討する。
附属書
第16条
- a.
- 附属書は、この議定書の不可分の一部を成す。付属書のみについて行う改正に係る場合を除き、この議定書の適用上、「この議定書」とは、この議定書及び付属書をいう。
- b.
- 附属書Iに掲げる活動の一覧表並びに附属書IIに掲げる設備及び資材の一覧表は、理事会が設置する専門家業部会(機関のすべての加盟国が参加することができるものとする)による助言に基づいて理事会が改正することができる。その改正は、理事会による採択の後4ヶ月で効力を生ずる
効力発生
第17条
- a.
- この議定書は、機関が、日本国政府から、効力発生のための日本国の法律上及び憲法上の要件を満たした旨の書面による通告を受領する日に効力を生ずる。
- b.
- 事務局長は、この議定書の効力発生を機関のすべての加盟国に速やかに通報する。
定義
第18条
この議定書の適用上、
- a.
- 「核燃料サイクル関連の研究開発活動」とは、次の工程又はシステムの開発に特に関連する活動をいう。ただし、理論的又は基礎科学的研究関連の活動を含まず、また、放射性同位元素の工業利用に関する研究開発並びに医学上、水文学上及び農業上の応用、健康及び環境に対する影響並びに保守の改善に関する研究開発関連の活動も含まない。
- 核物質の転換
- 核物質の濃縮
- 核燃料加工
- 原子炉
- 臨界実験施設
- 核燃料の再処理
- プルトニウム、高濃縮ウラン又はウラン233を含む中レベル放射性廃棄物又は高レベル放射性廃棄物の処理(廃棄物を重ねて容器に収納し又は元素の分離を伴わずに調整する処理であって、貯蔵又は処分のために行われるものをを含まない。)
- b.
- 「サイト」とは、施設(閉鎖された施設を含む。)に関する設計情報及び施設外の場所(閉鎖された施設外の場所のうち核物質がかつて通常使用されていた場所であり、かつ、ホットセルを有するか又は転換、濃縮、燃料加工若しくは再処理がかつて行われていた場所を含む。)に関する情報において、日本国政府がその境界を定めた区域をいう。また、「サイト」には、そのような施設又は場所と共に配置され、かつ、当該施設又は場所のために不可欠な機能を果たしているすべての構築物(核物質を含まない照射された物質を処理するためのホットセル、廃棄物の取扱い、貯蔵及び処分のための構築物並びに第2条a(iv)に従って日本国政府が申告した活動に関連する建物を含む。)を含むものとする。
- c.
- 「廃止措置のとられた施設」又は「廃止措置のとられた施設外の場所」とは、施設又は施設外の場所の利用において不可欠な構造物及び設備が既に撤去され又は使用し得ない状態となっているため、現に核物質の貯蔵のために使用されておらず、かつ、核物質の取扱い、処理又は利用のために使用することのできない構築物又は場所をいう。
- d.
- 「閉鎖された施設」又は「閉鎖された施設外の場所」とは、既に操業が停止され、かつ、核物質が撤去されているが、廃止措置がとられていない構築物又は場所をいう。
- e.
- 「高濃縮ウラン」とは、同位元素ウラン235を20パーセント以上含有しているウランをいう。
- f.
- 「特定の場所における環境試料の採取」とは、機関が指定する場所又はその近傍における空気、水、植物、土壌、付着物等の環境試料の採取であって、当該場所において申告されていない核物質が存在せず又はそのような原子力活動が行われていないことについて機関による結論を導き出す目的で行われるものをいう。
- g.
- 「広域的な環境試料の採取」とは、機関の指定する複数の場所における空気、水、植物、土壌、付着物等の環境試料の採取であって、広域にわたって申告されていない核物質が存在せず又はそのような原子力活動が行われていないことについて機関による結論を導き出す目的で行われるものをいう。
- h.
- 「核物質」とは、国際原子力機関憲章第20条に定義する原料物質及び特殊核分裂性物質をいう。ただし、この原料物質には、鉱石及び鉱石の残さいは含まない。理事会が、この議定書の効力発生の後、同条の規定に基づき、原料物質又は特殊核分裂性物質とされる物質を追加する決定を行う場合には、その決定は、日本国政府が同意した後においてのみ、この議定書の適用上効力を有する。
- i.
- 「施設」とは、次のものをいう。
- (i)
- 原子炉、臨界実験施設、転換プラント、加工プラント、再処理プラント、同位体分離プラント又は独立の貯蔵施設
- (ii)
- 1実効キログラムを超える量の核物質が通常使用される場所
- j.
- 「施設外の場所」とは、1実効キログラム以下の量の核物質が通常使用される構築物又は場所であって施設に当たらないものをいう。