開催趣旨
原子力の平和利用を進めるに当たって、原子力安全の確保とともに核不拡散対応及び核セキュリティ対応をしっかりと行うことは極めて重要なことであり、これを普遍化するために2008年の北海道洞爺湖サミットにおいて我が国は3S (Safety, Safeguards, Security)イニシアティブを提唱しています。
核不拡散・核セキュリティを支えるのは、核兵器不拡散条約(NPT)、改正核物質防護条約(CPP NM Amendment)や核テロ防止条約(ICSANT)などの国際枠組みなどの制度であり、この制度は保障措置技術や核物質・放射性物質検知技術により支えられています。
日本原子力研究開発機構(以下、「機構」)では、自らの施設に適用する保障措置技術の開発に約40年にわたって取り組んできており、また、CTBT関連の国際監視制度の運用にも技術的な貢献を果たしてきています。さらには、核セキュリティ・サミットにおいて、核セキュリティに資する核鑑識、核物質の測定及び検知技術開発を推進することをコミットして取り組んできており、我が国は技術でこの分野に貢献を果たしてきております。
機構は、関連する研究者、政策担当者、保障措置関係者等とともに、将来の保障措置あるいは核セキュリティに関する研究開発の方向性を議論するために、このシンポジウムを開催します。
このシンポジウムでは、①核不拡散を支える技術、②核セキュリティに資する研究、③核不拡散・核セキュリティ技術開発のScience communityの形成に向けての3部構成とし、最初の2部においては、関係者からの取組みを紹介しつつ、核不拡散及び核セキュリティ分野における研究開発課題と方向性等を議論するとともに、第3部においては、核不拡散及び核セキュリティ研究開発分野のScience communityの形成に向けてどう取り組むかを議論します。
実施概要
- 開催日時:
- 平成28年2月10日(水) 9:00〜17:45
- 開催場所:
- 時事通信ホール(東京都中央区銀座5-15-8 時事通信ビル2階)
- http://www.jiji.com/hall/access.html
- 主催:
- 国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター
- 入場料:
- 無料(事前申込制)
- 言語:
- 日本語・英語(日英同時通訳有り)
プログラム
※プログラムの一部、パネル討論参加者については変更となる可能性がありますことご了承願います。
開会挨拶 9:00〜9:20
- 持地 敏郎 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN) センター長
- 仙波 秀志 文部科学省 研究開発局研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)
第1部 9:20〜12:40
「核不拡散を支える技術」
保障措置技術開発経験と研究開発
- ①JAEAにおける保障措置技術開発の経験
- 富川 裕文 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)技術開発推進室長
- ②使用済燃料のNDA測定技術開発の現状
- Holly Trellue 米国ロスアラモス国立研究所 主任研究員
- ③中性子アクティブ法を使った核物質の測定技術開発
- Peter Schillebeeckx EC・共同研究センター 標準物質計測研究所(EC/JRC)研究主席
今後の保障措置技術開発のニーズ
- ①米国エネルギー省(DOE)/国家核安全保障庁(NNSA)における長期R&D計画と技術開発ニーズ
- Arden Dougan 米国エネルギー省国家核安全保障庁(DOE/NNSA)上級プログラム管理官
パネル討論:今後の保障措置技術開発の課題と対応
- モデレータ
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- 瀬谷 道夫 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)技術開発推進室
- パネリスト
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- Arden Dougan 米国エネルギー省国家核安全保障庁(DOE/NNSA)上級プログラム管理官
- Mark Fitzpatrick 英国国際戦略研究所(IISS) ワシントン事務所長
- Peter Schillebeeckx EC・共同研究センター 標準物質計測研究所(EC/JRC)研究主席
- 上坂 充 国立大学法人東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻 教授
- 富川 裕文 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)技術開発推進室長
第2部 13:40〜16:30
「核セキュリティ関連技術」
核セキュリティに資する研究開発
- ①ポータブル核物質NDA測定装置の開発計画
- 大垣 英明 国立大学法人京都大学 エネルギー理工学研究所 教授
- ②重遮蔽された核物質検知へのレーザーコンプトン散乱γ線NRFの適用
- 羽島 良一 日本原子力研究開発機構(JAEA) 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター レーザーコンプトンガンマ線研究グループGL
- ③我が国における核鑑識技術開発の現状
- 篠原 伸夫 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)
招待講演
- ①保障措置・核セキュリティ技術の基盤となる核データの課題
- Catherine Romano 米国オークリッジ国立研究所 主任研究員
- ②テロを防ぐ技術開発への期待
- 板橋 功 公益財団法人 公共政策調査会 研究センター長
パネル討論:今後の核セキュリティ技術開発の課題と対応
- モデレータ
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- 直井 洋介 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN) 副センター長
- パネリスト
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- Catherine Romano 米国オークリッジ国立研究所 主任研究員
- 大垣 英明 国立大学法人 京都大学 エネルギー理工学研究所 教授
- 土屋 兼一 警察庁科学警察研究所 法科学第二部物理研究室 主任研究官
- 小泉 光生 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)技術開発推進室 研究主幹
第3部 16:35〜17:35
「核不拡散・核セキュリティ技術開発のScience communityの形成に向けて」
パネル討論:核不拡散・核セキュリティ技術開発のScience communityの形成に向けて
- モデレータ
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- 小田 哲三 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN) 副センター長
- パネリスト
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- 相樂 洋 国立大学法人東京工業大学 原子炉工学研究所 准教授
- 清水 純治 日本原燃株式会社 核物質管理部 燃料製造保障措置グループGL
- 増田 開 国立大学法人京都大学 エネルギー理工学研究所 准教授
- 長谷 竹晃 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核燃料サイクル工学研究所 プルトニウム燃料技術開発センター 技術部 核物質管理課 主査
- 呉田 昌俊 日本原子力研究開発機構(JAEA) 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター 核工学・炉工学ディビジョン 原子力センシング研究グループGL
閉会挨拶 17:35〜17:45
- 直井 洋介 日本原子力研究開発機構(JAEA) 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN) 副センター長