核セキュリティ文化に関するワークショップ
- タイトル
- 核セキュリティ文化に関するワークショップ
- 開催期間
- 2014年11月17日〜11月21日
- 開催場所
- 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN) (東海村)
- 参加者数
- 22名
概要
2014年11月17日-21日、IAEAと共催で、核セキュリティ文化に関するワークショップを開催した。ISCNが本ワークショップを開催するのは、2012年10月に次いで2回目である。本コースは、核セキュリティ文化に関して、支えとなる法的枠組みや普遍的な特徴、評価手法等への理解を広め、また各国の経験・取組を共有することにより、アジア地域の核セキュリティ文化を強化することを目的としている。主としてIAEA 加盟国となっているアジア各国において原子力規制業務に係る政府機関、及びその他政府関係機関を対象としており、11 カ国から22 名が参加した。
ISCNの核セキュリティ人材育成担当者は核セキュリティ文化に関するIAEAガイドライン等策定に貢献し、各国関係者と情報共有を進めてきた経験を有する。この経験を生かして、コースの開発と当日の講義提供等を行った。コースの構成は、クラス全体の講義(座学)に加えて、ケーススタディや少人数に分かれてのグループ演習を行うことにより、参加者の理解を深める設計とした。IAEA作成の講義資料を使用したが、演習問題の開発に積極的に携わり、2012年のコース実施時にISCNが新しく開発した演習問題の改良も行った。また、講義や演習実施時には、参加者が講義で得た知見について自ら考えながら理解を深められるよう、IAEA 講師と共に議論を引き出すことに努めた。
コース前半は、核セキュリティに係る脅威の認識を深めること、核セキュリティ文化とは何か、また良好な核セキュリティ文化を持った組織はどういった特徴を持つか、核セキュリティ文化を構築するために国・規制機関・事業者及び組織の異なる立場の者がどういった役割と責任を有するのかを理解することに重きを置いた内容となっている。IAEAの核セキュリティ文化に関する実施指針(核セキュリティ・シリーズNo.7)の内容に沿って講義を行うとともに、組織や個人のどういった態度や行動に核セキュリティ文化が浸透しているかが現れるかについて議論した。
加えて、コース後半は、文化の浸透度を計る評価手法や文化の醸成方法について考察する内容とした。特に本コースは、IAEAが策定を進める核セキュリティ文化の自己評価手法に関するガイドラインの内容を反映した初めての地域ワークショップであり、研究炉施設で自己評価を実施したインドネシアから講師を招いてその手法や課題について情報共有を行った。最終演習では、文化の醸成方法について検討し、文化醸成のプログラムを策定するといった課題に各グループが取り組んだ。実際の現場で使える知識を培う「参加型」のコース実施を方針とした結果、特に講義中に行うクラス全体の意見交換やグループ演習を通して、参加者自身の職場に持ち帰って役立てることができる知見を得ることができたという評価を多くの参加者から得ることができた。