STAGE2 放射線の歴史と基礎知識

今から100 年以上前、レントゲン博士がX線を発見したのをきっかけに多くの科学者が放射線の性質や応用技術などを研究してきた。このステージでは、20 億年前の天然原子炉の発見、X線やウランの放射能の発見、といった近年の放射線・放射能に関する歴史を縦軸に、放射能と放射線の違いやα線、β線、γ線、中性子線の透過率といった放射線の基礎知識についても紹介する。

放射線の歴史 発見者たち

1895年 最初の放射線「X線」の発見 レントゲン(ドイツ)
レントゲンは、ガラス管の内側を真空にして高電圧をかけると、物質を透過する、目には見えない光のようなものが発生することを発見しました。最初は、その正体がわからなかったために、未知を意味する「X」が名前につけられました。

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1896年放射能の発見 ベクレル(フランス)
蛍光物質の研究をしていたベクレルは、実験用のウラン鉱石と一緒にしまっておいた写真乾板(光に反応するガラス板)が感光していることに気づきました。ウランが自然に放射線を発生する能力、つまり「放射能」を持つことを発見したのです。

ウラン以外の放射能の発見 キュリー夫人(フランス)1898年
キュリー夫人は、夫ピエールとともにウラン以外の元素について調べ、新しい放射性の元素ポロニウム、続いてラジウムを発見しました。
ラジウムは、その後、病気の治療や時計の夜光塗料などにも利用されました。

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1898年アルファ線、ベータ線の発見 ラザフォード(イギリス)
1900年ガンマ線の発見 ヴィラール(フランス)

ラザフォードは、ウランから2種類の放射線が出ていることを発見し、アルファ線とベータ線と名付けました。ヴィラールはエックス線に似た透過性の強い別の放射線を発見し、ラザフォードによってガンマ線と名付けられました。
これらの放射線の正体は、その後明らかにされ、アルファ線はヘリウム原子核が速く飛んでいるもの、ベータ線は電子が速く飛んでいるもの、ガンマ線は見えない光の仲間であることがわかりました。

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1932年中性子の発見 チャドウィック(イギリス)
ラザフォード の弟子チャドウィック は、アルファ線でベリリウムを衝撃した際に発生する放射線「ベリリウム線」の正体が師・ラザフォードが予言した中性子であることを突き止めました。

1938年核分裂の発見 ハーン(ドイツ)、マイトナー(オーストリア)
ドイツのハーンは、中性子をウランに当てるとバリウムが生成されることを見出し、オーストリア出身のマイトナーは、これはウラン原子核がほぼ半分に割れたためであると結論しました。彼らは、中性子によってウランの核分裂が起こることを発見したのです。

参考資料

文部科学省『小学生・中学生・高校生のための放射線副読本』
原子力科学館ホームページ