研究所・RI使用施設などから発生する廃棄物中のγ線放出核種分布を測定するためには、単純に複数の検出器を並べた構成を組むことが一般的です。ただし、この場合には多くの測定系(モジュール、電子回路など)が必要で取り扱いが煩雑なシステムとなります。当課では、1本の長軸NaI(Tl)シンチレーション検出器で放射能分布情報をえることができる検出器を開発しました。
図1:6.35cm x 6.35cmの断面をもつ71.12cm長の角柱NaI(Tl)シンチレータ検出器.
検出器へのγ線の入射位置は、長軸検出器の両端に取り付けた2つの光電子増倍管の信号出力を比較することによって行います。
検出器の長さ方向に5cm間隔で、60Co線源からのビームを照射したときの2パラメータ分析システムによる測定結果を示します。一本一本の緑の線が60Coによるスペクトルを表しています。図の横軸と縦軸は、検出器両端の信号出力の大きさをパラメータとしています。表面近傍の汚染に対しては、3~4cmの位置分解能で測定できることがわかりました。なお、汚染が離れたところにあるときには、放射線の拡がりを鉛により抑えて位置測定を行います。
図2:2パラメータ分析システムによる入射位置応答の測定例