RESEARCH
研究紹介

RESEARCH-01

凍らせて、溶かすだけ、高機能性セルロースゲル材料の開発

氷が凍結する現象を利用したゲル材料を活用して資源回収、資源循環、 CO2分離、環境浄化などを目的にした研究を展開

  • 高い圧縮回復性があり、効率的に吸収・回収が可能
  • 再利用が可能なため、大幅なコストを削減

氷が凍結する現象を利用して, 凍らせて, 溶かすだけ, という極めて簡易な方法で, 食べられるほど無害で特異な性質を持つスポンジ状のゲル材料を開発しました。このゲル材料を活用して資源回収, 資源循環, CO2分離, 環境浄化などを目的にした研究を展開しています。

セルロース等の溶質を含む水溶液を0℃以下にして凍らせると,氷結晶と溶質の相分離構造が形成します。この現象をハイドロゲルの架橋反応に利用することで, 高い水分含有量(95%以上),わずかな圧縮で水を吐き出し,脱圧するとすぐに水を吸水しながら形がもどる高い圧縮回復性をもつ,スポンジ状の特異な性質を持つゲル材料を作り出すことに成功しました。この架橋方法を凍結架橋法と名付けました。セルロースナノファイバーなど,様々な天然・合成高分子で凍結架橋ゲルが形成することがわかってきました。凍結架橋ゲルの組成を変えることで元素や分子の吸着性能を付与することや, 内部での反応性を制御することも可能です。これらの性質を活かして幅広い研究を実施しています。

RESEARCH-02

食品廃棄骨を活用した高機能性吸着剤の開発

食品廃棄物の豚骨を原料に有害重金属を高効率に吸着する高機能吸着剤を簡易合成する技術を開発し持続可能な資源循環型材料の実現を目指す研究

  • 廃棄豚骨を再利用した資源循環型材料
  • 放射性ストロンチウムやカドミウムを高効率吸着
  • 天然鉱物系吸着剤より高性能
  • 組成・合成法の改良で対象元素を拡張可能

食品廃棄物の豚骨等を原料にして、高効率に有害重金属を吸着する吸着剤を簡易な方法で作り出せる技術を開発しました。従来の天然鉱物ベースの吸着剤よりも放射性ストロンチウムやカドミウムなどを高効率に吸着する性質があることがわかっています。
最近では, 組成や材料合成法を工夫することで, 他の元素や分子も高効率に吸着可能な材料開発を行っています。
廃棄物を原料にして高機能性材料を作り出し、多角的なアプローチで持続可能な資源循環技術の構築を目指しています。

研究紹介(廃棄豚骨)

RESEARCH-03

希土類金属を使った新たな配位高分子(MOF)材料の開発

ランタノイド収縮を利用して原子半径の差をナノメートル以下で反映させ孔径を精密制御できる多孔質配位高分子(MOF)材料を開発し選択的吸着分離や資源循環応用を目指す研究

  • ランタノイド収縮を孔径制御に応用
  • ナノメートル以下で精密なサイズ制御を実現
  • 性質が類似した元素の選択的吸着・分離が可能
  • 資源循環やセンシング技術への展開を視野に研究開発

周期表の中に、ランタノイド(lanthanoid)と呼ばれる元素群(原子番号57?71)があります。この元素群では、「原子半径が、原子番号が進むと同時に減少する現象」が見られます。
これをランタノイド収縮と呼びます。この現象を利用して、ナノメートル以下の範囲で孔のサイズを制御できる新たな多孔質の配位高分子(MOF)材料を開発しました。
各ランタノイドを多孔質材料の骨格に組み込むことで、原子半径が減少するランタノイド収縮減少をサイズ制御に活用することに成功しました。
孔のサイズを制御したMOF材料によって、性質が似た元素を選択して吸着・分離できることが明らかになりました。より高機能性のMOF材料の開発とMOFを活用した資源循環やセンシング技術の研究開発を行っています。

研究紹介(MOF材料)

― Reference ―

RESEARCH-04

黒漆がなぜ黒いのかを解明:伝統技術を最先端技術へ

鉄粉添加により生じる黒漆の黒色発現機構を放射光や中性子などの量子ビーム解析で解明し漆のナノ構造と色の起源を明らかにした研究

  • 縄文時代から残る漆の高い安定性に着目
  • 量子ビーム解析により内部ナノ構造を可視化
  • 黒漆の黒色発現メカニズムを解明
  • 統技術の科学的理解と高度材料応用へ展開可能

漆は縄文時代の遺跡から分解されずに出てくるほど高い安定性を持つ、古来のスーパー塗料です。日本の伝統工芸品として馴染みのある漆は、鉄粉を添加することで、「漆黒」と呼ばれる美しく深い黒色を持った黒漆になります。しかし,なぜ漆が黒色になるのか、黒漆の構造はどうなっているのか、天然由来の複雑な構造を持った漆の謎は現代でもほとんど解明されていません。本研究では放射光や中性子、X線等の「量子ビーム」を駆使することで、可視光では透過できない漆のナノ構造を解明することに成功しました。その結果から、長年の謎であった黒漆の黒色の起源を明らかにしました。

研究紹介(漆)

― Reference ―

  • Langmuir. 40, 5725-5730 (2024).
  • 色材協会誌 98, 2-6 (2025).