令和3年12月17日(金)更新
350m試験坑道2では、坑道の掘削時に坑道周辺全体で応力分布が変化することにより生じた掘削損傷領域が物質の移行経路になることを防止する技術を開発するための試験を実施しています。
掘削損傷領域では、坑道に沿った割れ目ができることで、実際の地層処分場において閉鎖後に物質の移行経路になる可能性があることから、それを防止するため対策として止水プラグ*1を設置することが考えられています。止水プラグは、掘削損傷領域の幅を上回るように岩盤に切欠き*2(図1)を設けてベントナイトなどの水を通しにくい粘土系材料を設置することにより、坑道周辺の移行経路を遮断する構造が検討されています。
そこで、坑道の切欠きにベントナイトを吹付けることにより止水プラグを設置する方法の適用性を確認するための試験を、350m試験坑道2で実施しています。今回は、試験の準備として、試験坑道2の側方の壁面(写真1)を掘削して岩盤に切欠き部を設けました(写真2)。今後、吹付けの手順の確認や、吹付けた後の乾燥密度や含水比といったベントナイトの状態を調べることにより、施工品質を検証する予定です。
*1 プラグとは坑道断面を閉塞する壁のことで、地層処分場の閉鎖時に坑道に設置されます。
*2 切欠きは岩盤を凹型にくり抜いて施工します。この切欠きの施工では坑道の一部を掘削することとなりますが、当該部分への施工による応力分布への影響は小さいことから、施工方法を工夫することで掘削損傷領域の拡大を防ぐことが可能となります。
図1 切欠き部の模式図
写真1 岩盤掘削前の試験坑道2の様子
写真2 掘削完了後の岩盤の様子
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令和3年12月17日(金)更新
令和3年11月16日に、北海道大学の国際原子力人材育成イニシアティブ事業*の一環として、6つの大学から14名の学生および4名の教員等が幌延深地層研究センターを来訪されました。
「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」に基づく必須の課題として取り組んでいる、「人工バリア性能確認試験」及び「地下水の流れが非常に遅い領域を調査・評価する技術の高度化」について、当センターの若手研究者が、資料を用いて解説するとともに実際の研究現場で説明を行いました。
参加された方々からは多くの質問があり、活発な議論が交わされ、有意義なイベントとなりました。
当センターは今後も原子力人材育成に協力していきます。
* 国際原子力人材育成イニシアティブ事業:公益財団法人原子力安全研究協会による原子力分野の幅広い人材育成を目的とした公募事業
公益財団法人原子力安全研究協会:https://jinzai-initiative.jp/index.html
北海道大学:https://nuclear-infrastructure.hokkaido.university/nucl-pj/index.html
写真1 250m調査坑道での様子
写真2 ゆめ地創館での様子
写真3 人工バリア性能確認試験に関する説明の様子
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令和3年12月10日(金)更新
「地下水の流れが非常に遅い領域を調査・評価する技術の高度化」では、物理探査*1とボーリング調査により地下水の流れが非常に遅いと推定される化石海水*2が存在する領域を調査・評価する技術の検証に取り組んでいます。令和2年度は物理探査を実施(令和2年10月23日ホームページ掲載、令和2年11月27日ホームページ掲載)し、地下深部における化石海水の三次元分布を推定しました。令和3年度は、この推定結果および推定手法の妥当性を評価するために、幌延町北進地区においてボーリング調査を実施することとしており(写真1、令和3年10月26日プレスリリース)、令和3年11月15日より、ボーリング調査のための敷地工事を開始し、孔口付近を保護するための鋼管の挿入(写真2)などを行いました。敷地工事終了後は、ボーリング孔掘削の準備工事を行い、掘削に必要な櫓の組み立て(写真3)などを行いました。12月16日ごろより掘削工事を行う予定で、採取した円柱状の岩石サンプル(コア)を使用して、割れ目の特徴の観察、岩石の化学分析および岩石の間隙に含まれる地下水の化学組成や地下水年代に関する調査研究を行います。
*1 人工的に発生させた地震波や電磁波などを利用して、空中、地上、水上などから地下の状況を間接的に調査する方法のことです。
*2 地層の堆積時に地層中に取り込まれ、非常に長い時間をかけて変質した古い海水のこと。
写真1:ボーリング調査現場の様子(令和3年12月7日、ゆめ地創館展望階より撮影)
写真2:敷地工事における鋼管の挿入の様子
振動式杭打機で振動を与えながら深度20mまで鋼管を挿入しました。
写真3:掘削準備工事において組み立てた櫓の様子
高さ25mの櫓を使用して、ボーリング孔の掘削を行います。
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