The Radiation Odyssey

STAGE5 放射線の利用

放射線を利用した最新のがん治療

がん細胞に強い放射線を照射すると、DNAが損傷して細胞分裂できなくなり、消滅します。この性質を利用してがん細胞に放射線を照射してがん細胞を死滅させる治療が放射線療法です。 放射線療法は、機能と形態の欠損が少ない、全身への影響が少ない、治療中の身体的負担が少ない、などの特徴があるため、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を維持できるところです。

現在放射線療法にはX線、ガンマ線、電子線が使われています。
放射線を正常細胞にもがん細胞と同じように照射すると、正常細胞も死んでしまいますが、がんだけを狙って強い放射線を当てることができれば、正常細胞への影響は少なく、がん細胞だけを死滅させることができます。現在、がん細胞だけに効果をより集中させる放射線治療として、重粒子線治療やホウ素中性子捕捉療法などが研究されています。

重粒子線を使用したがん治療は、加速器から得られる陽子や重粒子の粒子放射線のビームを病巣に照射する放射線治療法です。用いられている粒子は、陽子と炭素の2つです。従来使われていたガンマ線、エックス線、電子線では体表から癌までの正常細胞にもある程度のダメージ与えてしまいましたが、荷電重粒子線は一定の深さ以上には進まないということと、ある深さにおいて最も強く作用があるため、がん病巣にその効果を集中させることができます。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、がん細胞にホウ素という物質を取り込ませて中性子線を人体に影響が少ない低エネルギーで照射することで、がん細胞だけを選んで破壊することができる治療法として注目されています。

参考資料

■公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団 ホームページ
■東京都市大学原子力研究所 ホームページ
■京都大学原子炉実験所 『中性子捕捉療法の現状と計画』

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