The Radiation Odyssey

STAGE4 宇宙と放射線

PADLESとマトリョーシカプロジェクト

スペースシャトルや国際宇宙ステーションが飛行する地上から400km前後の高度では、銀河宇宙線などのエネルギーが非常に高い粒子がいつも降り注いでいます。高いエネルギーの放射線はスペースシャトルや国際宇宙ステーションの船体をも突き抜けてくるため、飛行中の宇宙飛行士や生物試料は、宇宙放射線による被ばくを避けることができません。そのため、宇宙環境において実際に宇宙放射線を計測し、線量を監視する一方、研究として宇宙における生物の放射線の影響を解明したり、人間が長期にわたって宇宙に滞在するためのリスク評価を行うことも重要となります。

JAXA宇宙環境利用センターでは、ライフサイエンス宇宙実験のための受動積算型宇宙放射線計測技術PADLES(Passive Dosimeter for Lifescience Experiments in Space)を開発し、2008年から「きぼう」日本実験棟の船内において宇宙放射線計測を開始しました。

「きぼう」日本実験棟船内では、PADLES線量計を用いて「きぼう」船内の定点放射線環境モニタリング 、ライフサイエンス実験で使用される生物試料の被ばく線量計測 、日本人宇宙飛行士の個人被ばく線量計測 、そしてISSパートナーと実施する国際協力線量計測実験を行なっています。

マトリョーシカ実験は、JAXA(日本)、ESA(ヨーロッパ)、ROSCOSMOS(ロシア)の3機関が合同で実施した初めての国際協力線量計測実験です。
この実験では、ファントムと呼ばれる人体模型の体内にPADLES線量計を組み込んで「きぼう」船内に長期間設置しています。宇宙放射線が人体内にどのような影響を及ぼすのかを知るために、被ばく線量を正確に評価することを目的としています。

参考資料

■宇宙航空研究開発機構JAXA ホームページ

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