The Radiation Odyssey

STAGE4 宇宙と放射線

宇宙の放射線 超新星爆発・宇宙放射線・太陽風・オーロラ

超新星爆発
超新星爆発は質量の大きい星が崩壊する時に発生する現象です。太陽より8~10倍以上の質量を持つ星は、内部で核融合の材料となる物質を使い果たすと、「星を支えていた圧力よりも重力が大きい状態」になってしまいます。すると中心部が一気に崩壊し、大爆発をおこすのです。

超新星爆発の衝撃波からはX線や高いエネルギーのガンマ線が放射されます。このような、星の大爆発によって放出されるエネルギーを、超新星残骸といいます。超新星の爆発自体はほんの数秒ですが、超新星残骸は10万年以上、宇宙空間に存在します。またこの過程で、恒星内で核融合によって発生した元素や、超新星爆発の高エネルギー環境で核融合されて誕生した鉄より重い元素がばら撒かれ、後に新しい星の材料になります。
一方、太陽のように比較的質量の軽い恒星が寿命を迎えると、自らを構成していた物質を放出し始め白色矮星を残し、惑星状星雲になります。

宇宙放射線
宇宙放射線は1912年にオーストリアの物理学者ヴィクトール・フランツ・ヘスの気球による観測で発見されました。
宇宙放射線には、太陽系外から超新星爆発などによって加速されて飛んできた「銀河宇宙線」と、太陽のコロナから噴出した太陽風や太陽フレア粒子の「太陽宇宙線」があります。宇宙放射線の大部分は陽子を始めとする各種原子核ですが、そのほかに、ガンマ線 、ニュートリノ、反陽子など、様々なものがあります。

宇宙放射線は、人体や機器に障害を及ぼすので、ISS「きぼう」実験棟に搭載されているSEDA-APでは、これらの現象に関するデータ収集を行なっています。
宇宙に長期滞在する宇宙飛行士には生涯での累積線量の数値目標が定められています。地上で日常生活をおくる中での被ばく線量は、「約2.4mSv/年」ですがISS滞在中の宇宙飛行士の被ばく線量は「1mSv/日」程度被ばくしています。ISS滞在中の1日当たりの放射線量は、地上生活での約半年分に相当するのです。

太陽風
太陽は中心で核融合反応を起こしているプラズマのかたまりです。
この太陽から噴き出しているプラズマの流れは太陽風と呼ばれ、太陽系全体に広がって太陽圏を形成しています。
太陽風は太陽のコロナなどの活動によって放出され、地球に到達するときは約秒速300~900km/secもの速さになっています。

この太陽風には太陽由来の水素やヘリウムなどの物質の原子が含まれています。太陽風の粒子は、電波通信を妨害して衛星放送の中断や電力システムの破壊を引き起こすこともあります。
また、人工衛星や宇宙飛行士には太陽風粒子が直接ぶつかるので、その影響を正しく評価し、適切な対策を講じることが求められます。

オーロラ
太陽から放出され噴き出されたプラズマが、地球の地磁気に捕まり、磁力線に沿って加速され、大気と衝突して発光する現象です。
地球の磁力線は極地域に集まっていますので、オーロラは北極や南極の周辺(オーロラ帯と呼ばれる地磁気緯度65度から70度のドーナツ状の領域)で見られます。オーロラが出現するには大気と磁場が必要です。大気と磁場をもっている惑星では、オーロラがつくられている可能性があります。

参考資料

■宇宙航空研究開発機構JAXA ホームページ
■自然科学研究機構 国立天文台 ホームページ
■藤高 和信・保田 浩志・福田 俊『宇宙からヒトを眺めて―宇宙放射線の人体への影響』

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