独立行政法人日本原子力研究開発機構：JAEAメールマガジン　No.266

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排水処理施設　－那珂核融合研究所－

総延長約9kmの専用排水管を有する那珂核融合研究所の排水処理施設についてご紹介します。
　雨水を除き、那珂核融合研究所構内各所から排出される生活排水（汚水）及び一般排水は排水処理施設で一括して処理された後、専用排水管を経由し、東海村にある原子力科学研究所の排水溝から海洋に放流されます。
　この排水処理施設は、主に汚水処理設備、一般排水処理設備及び排水槽等で構成されており、ゴミや油分の除去、高分子凝集剤を使用した浮遊物質の凝集除去、さらに薬品による処理を行います。このようにして処理された水のPH（水素イオン濃度）、DO（溶存酸素量）、COD（化学的酸素要求量）、SS（浮遊物質量）、油分、水温等が法令（茨城県公害防止条例）で定める排出基準値内であることを水質自動監視装置により常時監視しています。排出基準を十分満たす水質であることが確認された処理水は地下の排水槽に一時蓄えられた後、高さ約27mの排水塔の上部の水槽（標高約52m）にポンプを使って汲み上げられ、自然落差を利用して地中に埋設された約9kmの専用排水管を流れ、原子力科学研究所の第2排水溝を通って太平洋に放流されることになります。

　東日本大震災により排水処理施設では2件の大きな被害を受けました。専用排水管は直径350mmのダクタイル鋳鉄管というものを約1,500本使用して総延長約9kmの管路を形成していますが、地滑りに伴い配管の位置が大きくずれたため接続部が完全に離脱し、漏水が発生しました。専用排水管の大部分は道路（県道）の歩道近辺に埋設されているため、道路の片側を通行止めにして地面の掘削による漏水部の特定、応急措置、本格的な補修工事を順次行うとともに、最後に管内に圧力をかけて専用排水管全体の健全性確認試験等を行い、完全復旧までに約2ヶ月を要しました。また、排水塔は上部に160tonの水槽があり重心が高い位置にあることが原因だと思われますが、地上から2～3mの付近に多数のひび割れが見つかり、被災度区分判定調査を受けたところ、大破と判定されました。そのため、周辺を立入禁止として補修工事を行い、補修後の再判定調査では、無被害の判定となりました。

　排水処理施設は目立たない施設ですが、大変重要な施設です。排水の処理ができなくなると、那珂核融合研究所構内で水が使用できない、実験ができないという事態を招きかねません。施設の安定した運転、不具合に対する迅速な対応を常日頃から心掛けています。

（那珂核融合研究所　管理部　工務課）