独立行政法人日本原子力研究開発機構：JAEAメールマガジン　No.246

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原子力機構における核セキュリティ強化への取り組み

これまで2回（2010年、2012年）の核セキュリティサミットが開催されるなど、9.11同時多発テロを契機に、原子力施設に対する攻撃や放射性物質を利用したテロ行為への対策としての核セキュリティの重要性に対する国際的な認識が高まってきていることは、ご存じのことと思います。我が国においても、平成17年にIAEAの勧告文書「核物質及び原子力施設の物理的防護に関する勧告（INFCIRC/225/Rev.4）」を取り入れる形で核物質及び原子力施設の防護を強化するための法令が改正されました。また、昨年1月に発行されたIAEA勧告文書の改定版（INFCIRC/225/Rev.5）、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓（全交流電源喪失、原子炉施設及び使用済燃料貯蔵槽の冷却機能喪失）、更には、サイバーテロへの対策を盛り込んだ法令改正が本年3月に行われ、原子力機構においてもその対応を行っているところです。
　平成17年の法令改正では、「設計基礎脅威（Design Basis Threat：DBT）の策定と適用」、「守秘義務制度の導入」及び「核物質防護検査の導入」の3つを柱とした核物質防護の強化が規定されました。原子力機構は、法律、指針等に的確に対応すべくハード・ソフトウェアの防護対策の強化措置を実施してまいりました。
　今回の法令改正においては、さらに、(1)立入制限区域の設定、(2)間接的に核物質の漏出に繋がる設備の防護、(3)見張人詰所の強化と機能の冗長化（第2の見張人詰所の設置など）、(4)連絡設備等の不正傍受対策、(5)防護設備/装置の無停電対策、(6)情報システムの防護（サイバーセキュリティ対策）、(7)2人ルール(作業者による不法行為を防止するため、入域を許可された少なくとも2人の作業者の存在が必要とされるルール)の適用、(8)関係法令及び核物質防護規定の遵守のための体制の構築、(9)核セキュリティ文化を醸成するための体制の構築が求められました。(1)～(7)については主にハードの整備を要する防護措置強化対策ですが、(8)及び(9)については、関係者のコンプライアンスや経営責任に関する取組みであります。これらについては、既に原子力安全の分野では行われてきたものですが、新たに核セキュリティについても同様の取組みが行われることになりました。
　原子力機構におきましては、ハードの整備を伴う防護措置の強化を実施するとともに、10月1日に理事長が上記(8)及び(9)に関する以下の活動方針を定め、この方針を基に活動施策、活動計画を策定するなど、当該活動について関係拠点に展開したところです。原子力機構としましては、これからもハード、ソフトの両面において核セキュリティの強化に取り組んでまいります。

セキュリティに係る活動方針
(1)核セキュリティ関係法令等の遵守に係る活動方針
　・法令及びルールを守る。
(2)核セキュリティ文化の醸成に係る活動方針
　・脅威の存在と核セキュリティの重要性を認識する。
　・核セキュリティに対する役割を自覚し、責任を果たす。

（核物質管理科学技術推進部）