経済産業省資源エネルギー庁委託事業 高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業 地質環境長期安定性評価確証技術開発

研究概要

事業の目的

わが国の高レベル放射性廃棄物の地層処分計画を円滑に進めていくためには,地層処分の技術的信頼性をさらに高め,国民の理解と信頼を得ていくと同時に,処分事業や安全規制の基盤となる技術を整備・強化していくための研究開発を着実に行っていく必要があります。地層処分とは人工バリアと天然の地層を適切に組み合わせたシステムによって,数万年以上にも及ぶ極めて長い時間スケールの安全を確保しようとするものです。このため,地層処分システムの長期的な変化をモデル計算によって予測・評価しつつ,その結果に基づいてシステムの性能や安全性の判断が行われることになります。一方,日本列島は変動帯に位置していることから,諸外国に比べて地殻変動や火成活動などが活発です。そのため,将来の自然現象に伴う地質環境の変動スケールやそのレジリアンス(復元性)を把握しておくことが特に重要となります。今後,地層処分の技術的信頼性をさらに高めていく上でも,実際の地質環境を構成する様々な要素についての過去の変動の履歴や現象プロセスなどを把握するための調査技術を整備するとともに,これらの科学的知見を統合しつつ,三次元的に表現できる数値モデルを開発することは極めて有効となります。このため,本事業では,将来の自然現象に伴う超長期の地質環境の変動を考慮できる数値モデル及びその解析評価に必要な調査技術を整備することを目的としています。

事業の概要
技術開発に係る全体フレーム

本事業では,百万年以上に及ぶ時間スケールで過去から現在までの地質環境の長期変動を評価する技術を確立するため,これまでに個別に進めてきた地形・地質モデル,水理モデル,地球化学モデル,地表環境モデルを統合化した三次元地質環境長期変動モデルを開発するとともに,これらに必要な可視化・数値化技術や不確実性の評価手法などの開発を行います。また,個別モデルの精度・確度の高度化や統合モデルの信頼性向上に用いるデータの取得に必要となる新たな要素技術の開発を進めていきます。本事業では,これらをそれぞれ「地質環境長期変動モデルの開発」と「革新的要素技術の開発」と呼び,研究開発を進めます。これらの研究開発で得られた科学的知見や方法論については,これまでに日本原子力研究開発機構が開発してきた「次世代型サイト特性調査情報統合システム」によって効率的かつ体系的に統合するとともに,このシステムの情報などを活用しつつモデルの開発を進めます。