令和6年10月25日(金)更新
令和6年10月6日から11日にかけて、幌延深地層研究センター内において気象観測実験を実施しました。本実験は、風の流れに対する大気中のガスの拡散について、建物や地形の影響を考慮したシミュレーション技術の検証用のデータを取得することを目的としています。
地表付近では、昼間には日光により地表面が加熱され、夜間では地表面が冷却されることで、大気が対流し、風の流れは常に変化します。また、建物の影響によって風の流れも複雑になります(図1)。本実験では、リモートセンシング気象観測装置※1による上空の風の流れの観測(写真1)および無人航空機を用いた建物の影響を受けた風の流れの観測(写真2)を行い、東立坑、西立坑および換気立坑の各地上建屋の影響を受けた風の流れに関するデータを取得しました。
なお、本実験は、日本学術振興会の運営する科学研究費助成事業(科研費)の助成を受けて実施しています※2。
本実験で検証される大気拡散シミュレーション技術は、点在する地表のメタンガス濃度の測定(令和5年6月23日掲載記事参照)と組み合わせることで、風の流れを考慮してガス発生源(断層の位置)を特定することに応用できることが期待されます。
※1 大気にレーザー光を発射し、大気中に浮遊している微細な粒子(エアロゾル)からの散乱光を受信することで上空の風向・風速を測定する装置
※2 課題番号:23H00220、研究課題名:原子力緊急時において即時評価が可能な大気放出ガス遠隔監視システムの開発
図1 建物の影響を受けた風の流れのイメージ
写真1 リモートセンシング気象観測装置による上空の風の流れ方の観測
写真2 無人航空機を用いた建物の影響を受けた風の流れの観測
令和6年10月3日(木)更新
令和6年9月24日に、幌延国際共同プロジェクト(HIP)の第4回管理委員会がオンラインで開催されました。
同委員会では、フェーズ1(令和4年度~令和6年度)において各タスクの令和6年度までに得られる成果見込みと、フェーズ2(令和7年度~令和10年度)の研究計画や工程について説明するとともに、今年度末の成果取りまとめに向けたスケジュール等について確認しました。
また、事務局のOECD/NEAより、フェーズ2への参加継続を表明する場合は11月8日までに申し出るよう参加意思の確認がありました。その結果を踏まえてフェーズ2実施に向けた手続きを進めるとともに、令和7年3月に開催予定の第5回管理委員会にて正式に承認を得てフェーズ2の研究開発を実施する予定としています。
令和6年10月3日(木)更新
幌延深地層研究センターでは、地表部(西立坑アクセスルーム)、250m調査坑道および350m調査坑道に地震計を設置し、観測をしています。
令和6年9月24日(火)22時09分頃に、北海道留萌地方中北部を震源とする地震が発生しました。幌延町では震度2を観測しました。
発生日・ 時刻 |
震央の 地名 |
震源の 深さ (km) |
規模 (M※) |
最大震度 | 幌延町の震度 |
---|---|---|---|---|---|
9/24 22:09 |
留萌地方 中北部 |
10 | 3.6 | 天塩町:4 | 2 |
気象庁 震度データベース検索より
※M:マグニチュード
当センターにおいてもこの地震を観測しました。地表部、250m調査坑道および350m調査坑道で取得した東西方向、南北方向、鉛直方向の地震波形を図1に示します。地表に比べて地下では揺れ(震度)が小さくなっていることがわかります。
図1 9月24日 22時09分頃発生した地震における地震波形図
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