令和5年6月23日(金)更新
幌延深地層研究センターは、公益財団法人深田地質研究所および国立大学法人東京大学との共同研究の一環として、地表のメタンガスの濃度分布からその移行経路となる断層の位置を推定する技術の適用性を確認するため、令和2年度より、新しい分析技術*1を用いて地表でのガス測定調査を実施してきています。令和5年度は、5月29日から6月2日の日程で、幌延町内において地表でのガス測定調査を実施しました。
大気中にはメタンガスが約2 ppm*2含まれます。地下から断層を移行して地表に出てくるメタンガスの濃度は0.1 ppm以下と僅かです。このため、メタンガスの移行経路となる断層の分布を効率的に把握するには、ごく僅かなメタンガスの濃度変化を地表で迅速に捉える分析技術が必要になります。
昨年度までの調査でメタンガス濃度の変化が検出された河川沿いなどの箇所で、可搬型の分析装置を背負いながら再調査を実施し、メタンガスを捕集しました(写真)。今後は、捕集したガスの組成を詳しく分析することで、メタンガスの起源を調べる予定です。
*1 : 新しい分析技術とは
メタンガスが、ある特定の波長の光を吸収する特性を利用しています。メタンガスを含んだ気体試料に光を当てると、メタンガスの量に応じて試料を通過した光の明るさが変化します。新しい分析技術では、ガス吸引口から取り込んだ試料を光が通過する距離を長くする工夫をして、分析感度を大きく向上させています。
*2 : ppmとは
濃度の単位。百万分率を意味する。
0.1ppmは、1,000,000mL(1,000L)の空気中に0.1 mLのメタンガスがある状態。
写真 河川沿いにおけるガス測定の様子