第12章 国際協力

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され、協力事業が開始された。
実施内容
本国際協力事業は、平成9(1997)年〜平成12(2000)年に、ロシアとの国際協力と同様に科学技術庁からの委託により、「RBMK 炉への運転管理等に関するシステムの適用性試験」として、以下の項目について実施された。この協力事業に対して、動燃は、技術者の派遣、「ふげん」の技術成果の提供等を行った。
)データサーバーシステムに関する協力
 INPPの運転管理に関係するデータは、TITANと呼ばれる計算機システムで収集されているが、運転履歴等のデータは適切に保存されていなかった。このため、「ふげん」で使用されていたプラントデータサーバーシステムを基に、INPPのプラント安全運転・保守管理に利用できるように、各種プラントデータ・技術情報を大容量記憶装置へ取り込み、運転管理者等が必要とする情報を容易に提供できるようにしたプラントデータサーバーシステムを構築して、提供した。平成10(1998)年にこのシステムを、INPPに、設置し、各種データの収集・保存を行い、プラントの安全管理をする上で重要な役割を果している。
)圧力管健全性の管理システムに関する協力
 INPPの圧力管(燃料チャンネル)腐食の問題に関して、圧力管材料データ、水質データ、運転条件等を調査し、圧力管の腐食状況の調査、分析評価を行うとともに、動燃で開発した渦電流式センサーを用いた圧力管酸化膜厚さ測定の非破壊検査技術を基に、INPPの燃料チャンネル用の酸化膜厚さ測定装置を製作し、腐食量の評価を行った。
 燃料チャンネルの酸化膜厚さ測定に関して、平成9(1997)年から写真12.5.3に示す酸化膜厚さ測定装置を設計・製作し、平成11(1999)年2月にINPPに設置した。同年4月、本装置を用いて、原子炉内の燃料チャンネル5本について酸化膜厚さ測定を行い、これらのデータを基に燃料チャンネルの腐食状況を評価した。本測定装置は、燃料チャンネルを切断・引抜くことなしに、燃料チャンネルの酸化膜厚さ(腐食量)を計測して評価できるため、定期検査時に使用され、大いに役立っている。
 また、原子炉冷却材の水質測定に関して、イオンクロマトグラフィと溶存酸素計等を提供した。これにより、従来の測定装置で得られたデータに比べると格段に精度の高いデータが得られるようになり、原子炉冷却水の水質管理を適切に行うことができるようになった。
 
)給水制御運転支援システムに関する協力
 平成12(2000)年度の協力事業として、INPP の給水制御運転支援システムに関する協力が行われた。INPP では、運転員が、手動で給水調整弁の開度調整をすることにより、原子炉の低出力時に蒸気ドラムの水位を保つ操作を行っているが、制御が難しく、運転員の負担になっている。
 これに対して、「ふげん」で開発した低出力時のファジィ式給水制御システムの開発経験を基に、INPP の低出力時の給水制御運転の際に、運転員が必要とする給水流量、蒸気流量、ドラム水位の計算値等の情報を、運転員に提供し、その運転を支援する給水制御運転支援システムを構築した。この支援システムについて、INPP のフルスコープ運転訓練シミュレータで適用性試験を実施し、運転訓練に適用可能と評価され、初期運転員訓練等に活用されている(写真12.5.4)。



写真12.5.4 INPPシミュレータでの給水制御
運転支援システムの試験状況

参考文献
1)H. Mochizuki, et al., :“Development of Leak Detection System for Piping using High Temperature Microphone −(1)Development of System”, ICONE−8, 8526 (2000).
2)S. Shimanskiy, et al.,:“Development of Leak Detection System for Piping using High Temperature Microphone−(2)Multichannel Test”, ICONE−8, 8527 (2000).



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