第12章 国際協力

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図12.5.1 LNPPのマルチチャンネル漏洩検出試験システム

RBMKへの適用性を評価するための適用性評価試験が実施された。
実施内容
 本国際協力事業は、科学技術庁の委託により平成5(1993)年〜平成10(1998)年にかけて、「旧ソ連型原子炉に対するマイクロフォンによる運転中異常検知システム適用性試験」として実施された。動燃は、技術者の派遣、開発成果の提供、大洗工学センターの試験施設での試験の実施等の協力を行った。
 漏洩検出システムに関する使用条件、要求機能は、「ふげん」とRBMKでかなり異なる点があった。マイクロフォンを設置する配管室の状態は、ふげんの出入口配管は、保温ボックスで断熱され、配管室(格納容器)内は約40℃であるのに対し、RBMKの出入口管は保温がなく、配管室内は約270℃であることからマイクロフォンと信号ケーブルは、耐熱性の構造・材質にする必要があった。また漏洩検出システムの機能として1gpm(0.23m3/h)を5分以内に検出し、かつ漏洩位置(約±1m以内の精度)と漏洩量の推定ができることが要求された。
 このため、動燃が開発した高温マイクロフォンを用いた漏洩検出システムの技術を基に、RBMKに適用可能なマイクロフォンと検出手法の改良を行い、大洗工学センター及びロシア動力エネルギー研究所(NIKIET)における漏洩音測定試験、レニングラード原子力発電所におけるシングルチャンネル試験と
 
最終的なシステム適用性実証試験としてのマルチチャンネル試験を段階的に進めた。マルチチャンネル試験では、約40本のマイクを入口配管室及び出口配管室に配置し、空気式模擬音源だけでなく、入口分配ヘッダーに取り付けた冷却水漏洩装置により実際の冷却水を漏洩させる漏洩検出の実証試験を行い、約0.2m3/hの漏洩を±約1m以内の精度で検出できることを確認した。マルチチャネル試験装置のシステム構成を図12.5.1に示す。また、マルチチャンネル試験装置制御盤を写真12.5.1、LNPP の原子炉入口配管室内を写真12.5.2に示す。



写真12.5.1 LNPPに設置したマルチチャンネル
試験システムの制御盤



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