第12章 国際協力

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12.4 UKAEAとの国際協力1)-3)
(1) 技術情報の購入
 動力炉開発臨時推進本部の評価を基に、「ふげん」の設計と開発に効果的な下記の技術情報を、昭和42(1967)年にUKAEAより購入した。これらの情報は、DCAにおける実験解析、HTLの大型熱ループ試験装置の設計に活用された。
核設計コードの関係報告書
臨界実験データ
大型熱ループ試験データ
大型熱ループ設計図面(試験部を含む)
(2)PNC-UKAEAの国際協力
PNC-UKAEA国際協力の始まりと書簡交換
 UKAEAとのATRの開発に関する国際協力は、昭和45(1970)年初め、安藤良夫東大教授が、UKAEA-Culcheth研究所のDr.Nichols副所長に「Zr-Nb合金に関する開発」について、国際協力を打診したことに始まった。PNC-UKAEA の国際協力は、昭和46(1971)年10月14日と11月24日に、UKAEAのMoore理事とPNCの清成副理事長の間で協力に関する書簡交換が行われ、公式に実施されることになった。
Zr合金専門家会議の開催
 Zr合金専門家会議は、圧力管に使用されるZr合金に関する情報交換を行うことを目的とし、昭和46(1971)年11月以降、公式の国際協力になり、UKAEAのRisley研究所で下記のとおり開催された。
第1回Zr合金専門家会議 昭和46(1971)年9月
第2回Zr合金専門家会議 昭和49(1974)年6月
第3回Zr合金専門家会議 昭和51(1976)年9月
Winfrith研究所等への研究員の派遣
 動燃の研究員が、“Research Associate”として、Winfrith研究所等やRisley研究所の熱工学研究室、



写真12.4.1 SGHWR (100MWe)

 
水化学研究室、原子炉システム解析室に派遣されて研究等を行った。
SGHWRにおけるATR燃料集合体照射試験
 SGHWR において、昭和49(1974)年〜昭和53(1978)年にわたり、「ふげん」の28本燃料集合体の先行照射試験として、燃料照射試験が行われた。その後、昭和59(1984)年〜平成2(1990)年に実証炉用36本燃料集合体の照射試験・照射後試験が行われた(写真12.4.1参照)。
その他、SGHWRと「ふげん」の間で運転管理に関する情報交換等の協力が行われた。

参考文献
1)動力炉・核燃料開発事業団:“動燃十年史”  P304-313,(1978)
2)動力炉・核燃料開発事業団:“動燃二十年史” p422-432,(1988)
3)動力炉・核燃料開発事業団:“動燃三十年史” p579-587,(1998)


12.5 ロシア・リトアニアへの安全性向上支援
 動燃は、ATRで開発された技術、ノウハウ、「ふげん」の運転経験を基に、ロシアとリトアニアの黒鉛減速沸騰軽水冷却圧力管型炉(RBMK)の安全性向上を支援する国際協力を行った。この協力は、文部科学省(旧科学技術庁)の旧ソ連・東欧諸国の原子力安全に関する協力事業の一環として行われた。
 以下に、これらの国際協力の概要を示す。
(1)ロシアとの国際協力
経緯
 昭和61(1986)年、旧ソ連において発生したチェルノブイル事故は、世界の原子力利用の推進に大きな影響を与えた。旧ソ連型原子炉(RBMK及びロシア型PWR(VVER))の安全性向上は緊急の課題とされ、1992年のミュンヘンサミットにおいて、旧ソ連・東欧の原子力安全性向上のために国際支援を行うことが合意された。旧ソ連のRBMKの安全性に関しては、IAEAにおける専門家会議等で改善が必要と指摘された項目が多くあった。その改善勧告の中で、RBMKは、原子炉冷却系配管の破断事故が生じ、冷却水が漏洩した場合に対する安全対策は十分とはいえないため、原子炉配管からの冷却材漏洩を破断に至る前に、早期に検知する漏洩検出システムの設置が必要との指摘がなされた。
 この勧告に対する日本国からの支援策として、科学技術庁は、動燃が、ATR用に開発した耐高温マイクロフォンを用いた漏洩検出システムをもって支援することとした。このため、レニングラード原子力


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