第12章 国際協力

帯

12


12.3 オンタリオ・ハイドロ社との協力1)
(1)技術協力協定の締結
昭和63(1988)年3月、カナダのオンタリオ・ハイドロ社(オンタリオ州政府電力会社)と動燃は、「重水炉の運転・保守に関する技術協力協定」を締結した。本協定は、重水炉の運転・保守分野における技術情報を交換することによって、相互の運転・保守技術の向上等に活用していくことを目指すものであった。
オンタリオ・ハイドロ社は、当時ピカリング(Pickering)発電所及びブルース(Bruce)発電所に各々8基、合計16基のCANDU炉を運転中で、さらに、ダーリントン(Darlington)発電所に4 基のCANDU炉を建設中であった。同社は、「ふげん」における高い品質保証に基づく運転・保守技術、触媒を使った重水精製技術及び微濃縮燃料利用技術に着目し、一方、動燃は、圧力管や重水系等の圧力管型重水炉特有技術に関する豊富なデータ、重水中のトリチウム除去技術等に注目した。
(2)技術交換会議
 協定を締結した昭和63(1988)年3月以降、平成11(1999)年3 月のオンタリオ・ハイドロ社分割民営化に伴う協定終了までの12年間に、合計6回の技術交換会議を開催した。
 会議は、冒頭に双方が、開発状況、運転・保守状況などの概況について報告するとともに、各回、個別の技術交換テーマを設定し、開発経験、運転・保守経験など最新の技術情報を交換した。特に重水炉特有の圧力管検査技術や重水管理、トリチウム管理などの運転経験は、双方の運転管理技術の高度化に
 
寄与するとともに、若手技術者が国際的な場で、発表の経験を積む機会として有益であった。
また、オンタリオ・ハイドロ社のブルース発電所で米露の解体核兵器から派生したプルトニウムの処分を行う「CANDUオプション」が、国際的な協力の枠組みの中で提案され、平成9(1997)年に日本で開催された第6 回目の会議で、この「CANDUオプション」に関する情報交換を行った。
これを契機として、燃焼度が約38GWd/tの使用済MOX 燃料(実証炉用燃料の開発の一環として「ふげん」で照射した燃料)の照射後試験を実施して、CANDUオプションの検討に、そのデータを活かす国際協力が始められたことも特筆すべき成果である。
会議の実績を表12.3.1に示す。

参考文献
1)動力炉・核燃料開発事業団:“動燃十年史”、P304-313、(1978)



写真12.3.1 敦賀市で開催された
第6回技術交換会議


表12.3.1 動燃-オンタリオ・ハイドロとの会議実績



帯
503

前頁

目次

次頁