第12章 国際協力

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 本協力は、第2回JUICE会議の席で合意された、Zr-Nb合金圧力管の“Critical Crack Length(限界亀裂長さ)”の試験に関するもので、昭和48(1973)年11月から開始し、各々がこれに必要な費用を負担した。
CANDU-BLWでのプルトニウム利用技術評価に参加
 天然ウラン専焼のGentilly-1は、大きな冷却材ボイド反応度のため、炉制御と安全性に問題があり、その解決策は「ふげん」と同様にプルトニウム燃料を炉心に装荷することであった。CANDU-BLWでのプルトニウム利用技術評価、特にMOX 燃料装荷炉心の技術評価を共同で実施するため、昭和48(1973)年9月〜昭和49(1974)年5月に、動燃から1 名の炉物理専門家が派遣された。また、昭和52(1977)年に、圧力管型重水炉のLOCA 時過渡現象解析の開発のため、安全研究専門家が、White shell研究所に派遣された。
重水炉発電所運転訓練
「ふげん」の建設が進み、総合機能試験、臨界・起動試験、運転管理に備え、これらを担当する「ふげん」の中核となる技術者を育成するため、動燃プロパー6名、電力出身者7名の若手技術者をカナダの原子力発電所(NPD:25MWeの動力研究炉)に派遣し、重水炉の運転・管理等に関する訓練を受けた(写真12.2.2)。この研修派遣は、昭和49(1974)年10月〜昭和50(1975)年7月と昭和50(1975)年4月〜昭和51(1976)年1月の2回に分けて行われ、オン



写真12.2.2 運転訓練を受けたNPD発電所

 
タリオ・ハイロド社の訓練センターで重水炉基礎講座を受けたあと、NPDの運転直に配属されて実地研修をした。ここで研修を受けた技術者は、帰国後、「ふげん」の系統試験〜本格運転初期に運転及び保守のリーダーとしてその任にあたった。
重水炉の安全論理確立に関するPNC-AECL共同研究
 昭和60(1985)年6月、動燃は、重水炉のシビアアクシデントとスクラム失敗に伴う過渡事象(ATWS)の対応の安全論理(安全シナリオ)を、PNC-AECLが協力して確立することを提案した。これを受けて昭和60(1985)年11月13日、東京において会議を行い、実施方法について基本合意に達した。そして、昭和62(1987)年6月、第1回専門家会議が開催された。また、AECLのChalk River 研究所の研究炉NRUにおけるBTF(Blow-down Test Facility)プログラムに参加した。この計画は、炉心燃料溶融時のFP移行挙動に関する実験であり、そのデータをATRのシビアアクシデント時のソースターム評価に反映した。
その他の協力
 AECLとのその他の協力として、Zr圧力管に関する次の試験等に参加した。
・NPDの閉鎖に伴うZr-2.5Nb合金圧力管の照射後試験
・圧力管に関する情報交換会議〔平成2(1990)年11月〕
 なお、AECLが大型バーンアウト試験装置を所有していなかったため、昭和54(1979)年に、AECLから、大洗のHTLを用いたCANDU炉燃料の熱除去試験の打診があったが、金額が折り合わず、実施に至らなかった。

参考文献
1)動力炉・核燃料開発事業団 :“動燃十年史” 、 p304-313、(1978)
2)動力炉・核燃料開発事業団 : “動燃二十年史”、 p422-432、(1988)
3)動力炉・核燃料開発事業団 : “動燃三十年史”、 p579-587、(1998)



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