第9章 大洗工学センターにおけるATR研究開発

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図9.6.8 ニ相流圧力損失に及ぼす内面粗さの影響


及び特殊燃料(4チャンネル)の3つの流量配分領域を有しており、下部ヘッダーからの入口管下降部に流量配分オリフィスが設置されている。最初の試作品は、板厚6mmの平板に0.1mmの面取りが施されていた。最初の頃、データにバラツキが大きく、面取りを詳細に調べる必要があった。その結果、面取りの製造管理が不十分であり、その値のバラツキが大きくなっていることが分かった。精密に加工して、面取りを0.1mmずつ増やしながら、圧力損失係数を



図9.6.9 面取りの圧損係数への影響

測定していくと、面取りの増加とともにほぼ直線的に減少すること、面取りが0.5mmを超えると圧力損失係数は、ほとんど変わらなくなることなどが明らかになった。長い年月にわたって使用するものであるから、エロージョンなどによる面取りの形状変化にも影響を受けないように、面取りを0.5mmにすることとなった(図9.6.9参照)。
流動解析コード(HAPI)開発と流量配分解析
 原研で開発されたVENUS-IIコードを基本に、「ふげん」の系統構成に適合した流量配分解析コードHAPIを開発した。
「ふげん」炉心流量配分の測定
 「ふげん」の炉心入口管の任意の場所に、HTLで開発した超音波流量計18個を設置して、出力10%〜100%の範囲で炉心流量配分を測定した。HAPIコードによる予測値は±3%RMS以内で一致することを確認した。
(7)出口管二相流エロージョンの研究開発
 CTLのテスト部出口に、二相流エロージョンテスト部を設置し、薄板状の小試験片を配管材から電気絶縁した状態で取り付け、無用な電気化学的影響を遮断して、エロージョン・コロージョン試験を行った。長時間の間、高温高圧の二相流を流して、試験前後の小試験片の重量変化でエロージョン・コロージョン量を求めた。試験片は、配管の直管部及び曲管部に設置して、蒸気相の流速10〜50m/secの範囲で、200〜3,500時間の試験を実施した。蒸気重量率は、主に15%を中心に、参考として60%、100%(蒸気のみ)、0%(水のみ)についても測定した。
 その結果、出口管のエロージョン量は、3,500時間で、配管壁の面積100cm2当たり60mg程度と非常



図9.6.10 二相流エロージョン試験結果



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