第9章 大洗工学センターにおけるATR研究開発![]() |
第 9 章 |
部的に耐食性が低下する問題が生じた。 そこで、更に設計に吟味が加えられ、摺動機能の確保に必要な部分に、カジリ防止部品(ウェアリング)をはめ込むというアイディアが生れた。「ふげん」のシールプラグのウェアリングは、SUS440Cが選定された。このようにシールプラグ設計と耐久試験の間のやりとりを経て、「ふげん」のシールプラグは完成した。 しかし、「ふげん」起動試験の段階で、合成ゴム製(エチレン・プロピレンゴム)の2次シール(Uパッキン)部分の温度が、設計許容温度(150℃)を超えていることが判明した。この問題は、HTLと共同して解決にあたった。CTLのテスト部を使って炉心下部(圧力管集合体下部)の温度分布を調べてみると、入口管から流入する冷却材の一部が、シールプラグ上部にある遮蔽プラグの隙間を通って、下方に流れていることが、下部温度を上昇させた直接の原因であることが判明した。この下方への流れを阻止できれば、温度分布は改善するはずであった。 単純に遮蔽プラグ、シールプラグ、冷却材(水)等の熱伝導では、これほどの温度上昇はないからである。燃料集合体の装荷に差し支えない限度ギリギリに、遮蔽プラグの上端にある円盤の径を大きくして、下方への水の流れを阻止するようにした実験を行い温度上昇が、抑制できることを確認した。この改良によって、圧力管下部延長部の2次シール部の温度を、最終的に90度以下まで低減できた。 これと併せて、2次シールの形状に工夫を加えた。シール部の下方に突起を設け(ダブルリップ型)、シール部にあたる下方からの空気を遮断すれば、シール部付近のゴムの酸化を遅らすことができる。このようにしてゴム自体の耐久性を2倍ほどに伸ばすことができた。2次シールの改良点を図9.6.6に示す。 |
(6)一次冷却系部品機器の流動特性試験![]() CTLのテスト部に燃料集合体を装着して、「ふげん」と同じ高温高圧の下で、水だけの単相流の場合と二相流について流動特性を測定した。スペーサについても流動特性を測定し、単相流を基準にして二相流の圧力損失の増倍係数を測定した結果、流量に関係なく、均質流モデルから導出される二相流の体積増加に基づく増倍係数で、表されることを確認した(図9.6.7参照)。 ![]() ATRにおいては、配管系の正確な圧力損失を知ることは、炉心の流量配分の点から重要である。流れが整定することに十分な助走区間を確保しながら、余分な水頭差を生じないように、配管の水平度を1/1000の精度で保って、圧力損失の測定を行った結果、配管の内面粗さを原因とする誤差を生じていることが分かった。このため、内面粗さの平均値を、7μmの平滑管から10、20、50、200μmの五通りに変えて、更に試験を行った。その結果、二相流圧力損失特性が、内面粗さによって大きく変わることが判明した(図9.6.8参照)。 ![]() 「ふげん」は、チャンネル出力の違いに応じて内側領域(172チャンネル)、外側領域(48チャンネル)、 |
![]() |
479 | ||
![]() |
![]() |
![]() |