第9章 大洗工学センターにおけるATR研究開発

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び過熱器として機能)等から構成されている。
 その主要性能は次のとおりである。
最高運転圧力:84.5kg/cm2
最高運転温度:297℃
最大流量(水):64t/h
最大流量(蒸気):15t/h
蒸気圧縮機:片吸込単段ターボ圧縮機
蒸気流量:22t/h
昇 圧 :12kg/cm2
回転数 :16,500rpm(歯車増速)
ボイラー
最大蒸発量:3 t/h
最高過熱蒸気温度:310 ℃
テスト部基数
燃料集合体テスト部:1基
オリフィステスト部:1基
配管部品機器テスト部:1基
圧力管集合体テスト部:1基
シールプラグテスト部:10基
 いずれのテスト部も、「ふげん」と同一の形状、構造で製造されている。運転を開始した初期の頃、CTLは、純水にヒドラジンを添加して脱酸していたが、後に中性水質下で、溶存酸素、伝導度、pH等をコントロールして「ふげん」と同じ水質条件でエロージョンテストなどを行うことができるようになった。
 CTLは、HTLとほとんど同じ時期〔昭和44(1969)年6月〕に建設を開始し、CTLは10月末に組立てを完了し、11月上旬に火入れを行い、12月9日に完成した。
(3)燃料集合体の耐久試験4),5),6)
 最初の耐久試験の対象は、「ふげん」の標準燃料(28本クラスター:図9.6.2)及び圧力管材料照射用の特殊燃料(異径36本クラスター)である。
 燃料集合体の耐久試験における着目点は、燃料棒(燃料要素ともいう)を支えるスペーサの接触点と燃料棒被覆管表面と間において、二相流に揺さぶられて生じる被覆管表面の摩耗瑕(フレッティング瑕)の深さである。設計の許容限界は、設計の余裕を見込み、被覆管肉厚(0.8mm)の10分の1(0.08mm)である。つまり、炉内滞在期間(約4年間、約28,000時間)にフレッティング瑕(写真9.6.2)の深さがこれを超えないように設計しなければならない。
 試験開始直後は、わずか数百時間の耐久試験で、この設計許容値を上回るフレッティング瑕が観測さ
れた。燃料被覆管と接するスペーサの接触点を含むスプリングディンプルのバネが、早期にそのバネ力を失い、燃料被覆管との間に隙間を生じて、被覆管表面を激しく叩くことが原因と考えられた。
 この耐久試験と併行して、空気中で電磁石による燃料棒加振試験を行い、スプリングディンプルの保持力と瑕深さの関係を調べた結果、保持力が0.3〜5kgの範囲で



図9.6.2 「ふげん」標準燃料集合体



写真9.6.2 フレッティング瑕



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