第9章 大洗工学センターにおけるATR研究開発

帯

9



図9.5.5 ATRの冷却材喪失事故解析コードシステム相関図

 再冠水過程の熱流動解析として、FLOODコードを開発した。また、再冠水過程の燃料温度による燃料の発生熱量と流体による対流熱伝達及び輻射熱伝達を考慮し、燃料棒ごとの温度変化を詳細に解析するHEATUPコードを開発した。
 解析コードの検証は、数値解法の検証とモデルの検証からなるが、以下にモデルの検証の結果について説明する。
(ロ)モデルの検証13)
 
安全性試験装置で実施した下降管150mmの口径破断試験と、同じ条件におけるSENHORコードの解析例の比較を以下に示す。
 試験は、並列流路の効果をみるために、3MW熱出力1チャンネルと200kW熱出力2チャンネンルの合計3チャンネルの圧力管及び燃料集合体を用いた。150mmの口径破断は、ATRの大破断に相当する。再循環ポンプは、外部電源喪失を想定して破断と同時にコーストダウンさせた。
 「ふげん」のLOCA解析の目的は、「軽水炉ECCSの性能評価指針」に準じて、被覆管最高温度(PCT)と被覆管の酸化量を評価し、基準を満足することを示すことである20)。PCT及び被覆管の酸化量は、LOCA時に、ECC水が注入された状態における炉心の熱流動条件によって決まるが、熱流動条件は、破断の位置、大きさだけでなく、スクラム及びECCSの作動時期に左右
される。
 したがって、LOCA解析は、PCTを算定する燃料被覆管温度、スクラム信号並びにECCSの作動信号を発する蒸気ドラム圧力及び水位の時間変化を、高い精度で予測することが重要になる。実験値とSENHORコードによる解析値の比較を図9.5.6に示す。いずれも解析コードが、試験結果を高い精度で予測していることが分かる。
プラント過渡変化時の熱流動解析14),15)
解析コードの概要
 FATRACコードは、「ふげん」の過渡変化解析コードとして開発された。起動試験の予測解析に使用され、タービントリップ、給水喪失、外部電源喪失等の試験において、あらかじめ、プラントの過渡応答を、的確に想定した試験計画を作成し、試験を円


図9.5.6 下降管破断時熱水力挙動の解析



帯
471

前頁

目次

次頁