第9章 大洗工学センターにおけるATR研究開発

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図9.5.2 下降管大破断ブローダウン時流動特性



写真9.5.2 ブローダウン試験

一例を図9.5.2に示す。
 破断が発生すると蒸気ドラムの圧力と水位は、急激に低下する。また、破断と同時に再循環ポンプがトリップするので、圧力管内の流量が低下し、燃料温度は上昇する。しばらくして蒸

気ドラム水位低下等の信号によって炉心がスクラムし、出力が崩壊熱出力になること及び下部ヘッダー内の冷却材の減圧沸騰によって、炉心流量が回復して、燃料温度は下がり始める。
 系内の冷却材の放出が進み、再び炉心流量が低下すると、燃料温度は再び上昇し始める。その後、蒸気ドラム圧力及び蒸気ドラム水位の低信号によってAPCIが作動する。
(ロ)主蒸気管破断
 主蒸気管破断の場合は、放出流体が気体であるため、減圧速度が下降管破断より速く、減圧沸騰によって、冷却材が、蒸気ドラム内に流入するため水位が上昇することが明らかになった。
 「ふげん」のECCS作動信号は、「主蒸気流量高」に加えて、蒸気ドラム圧力と下降管差圧の低信号を用いる。炉心部の冷却材が、系内の減圧沸騰によって減少するため、燃料温度は上昇するが、炉心スクラムによって温度上昇は緩やかになり、やがてOK水注入に至る。
(ハ) 入口管破断
 入口管ギロチン破断が発生すると、圧力管内の流れは、直ちに逆流になり、燃料はドライアウトするが、激しい逆流によって冷却され、すぐにクエンチする。炉心は、蒸気ドラムの水位が低下するとスクラムし、燃料の熱出力は、崩壊熱出力になる。蒸気ドラム内の冷却材の水位が、上昇管ノズル位置まで低下すると、圧力管を経由して放出される冷却材は、蒸気流となり、燃料温度は上昇し、減圧速度が速くなる。さらに、水位が低下して、下部ヘッダーの入口管ノズル位置よりも低くなると、入口管を経由して放出される冷却材が二相流となるため、より以上減圧速度が速くなる。HPCIが、下降管水位低の信号で作動して、APCI及びLPCIに引き継ぎ、長期炉心冷却を達成する。
再水浸過程
 ECCSが作動し、OK水が注水され、炉心が再水浸する過程は、大破断時と小破断時では異なる。大破断時は、水位の低下とともに圧力も低下するため、APCIによる冷却水が、下部ヘッダーに注水され、炉心が再水浸する。一方、小破断時は、水位が低下しても圧力が高いので、まず、蒸気ドラムにHPCIによる冷却水をスプレイ状に注入し、蒸気を凝縮して減圧を促進する。
 続いて、APCIによる冷却水が、下部ヘッダーに


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