第9章 大洗工学センターにおけるATR研究開発![]() |
第 9 章 |
かし、仮にこれらの安全確保対策の機能喪失を想定したシビアアクシデント事象が発生したとしても、ATRの安全裕度が十分確保できていることを立証するため、ATRに特有なシビアアクシデントに関する研究を行った。 (2)試験装置の概要1) 安全性試験装置は、「ふげん」の原子炉冷却系を模擬したループ、ECCSのモックアップ及びその他の付属装置から成っている。ループは、図9.5.1に示すように、炉心に相当する26本の圧力管群と蒸気ドラム、下部ヘッダー、循環ポンプ及びこれらを結ぶ配管で構成されており、保有水量が、「ふげん」の原子炉冷却系1ループのほぼ1/5の規模に相当する。各圧力管は、実寸大でできており、そのうち6本に、電気加熱方式の実寸大模擬燃料集合体が挿入 |
され、残り20本に、圧力損失が等しくなるようにプラグが挿入されている。模擬燃料集合体の燃料ピンは、間接加熱方式のヒータピンが用いられ、熱容量が実際の燃料ピンの値に近く、事故時の燃料温度の急激な過渡変化を模擬できるように設計されている。ATR安全性試験装置を写真9.5.1に示す。 6体の加熱模擬燃料体のうち、5体は200kW出力で崩壊熱出力を模擬できる。残りの1体は、定格運転時の高出力からスクラム後の崩壊熱に至るまでの熱出力変化を、コンピュータによって制御し、模擬することができる。蒸気ドラムは、実機と同じ構造の気水分離器を16基内蔵している。また、下降管、入口管及び主蒸気管は、それぞれ破断を模擬できる設備を設けている。 下降管及び主蒸気管の破断は、新型転換炉安全工学室で開発したアーク破断方式によって模擬する2)。破断時間は、1ミリ秒以内で極めて短く、安全評価で要求される瞬時破断の模擬に適している。入口管の破断は、急速開放弁によって模擬する。これは、図9.5.1に示す配管構成であり、弁の操作により片端放出、両端放出のいずれも摸擬できる。 試験装置は、「ふげん」のECCSを摸擬した急速注水系(APCI)、低圧注水系(LPCI)、高圧注水系(HPCI)を設置している。いずれも、実機と同様に蒸気ドラム圧力、水位等の低下信号によって弁を開き、注水するようになっている。 再循環ポンプは、モータの電源周波数をサイリスタで制御することによって、トリップ後のコーストダウン特性を模擬できるようになっている。 (3)ATRにおける異常時及び事故時の現象解明 ![]() 冷却材喪失事故時の熱流動特性を、( ![]() ![]() ![]() ( ![]() ATR安全性試験装置を用いて、破断位置が下降管、主蒸気管、入口管、圧力管の場合について、破断面積を変えて配管破断実験を行い、ブローダウン時の熱流動特性を解明した。試験状況を写真9.5.2に示す。 (イ)下降管破断 下降管破断試験におけるブローダウン特性の |
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