第9章 大洗工学センターにおけるATR研究開発![]() |
第 9 章 |
表9.3.3 DCAが中心になって開発整備した計算コード![]() |
ウム格子における熱中性子束微細分布のボイド率依存性を図9.3.11に示す。 プルトニウム燃料棒中のミクロパラメータの測定法は、DCA建設前の段階における住友2領域実験9),10)において、開発されたものを継承発展させ、大量のデータ集積に成功した。また、4因子等への組立ても行われ11),12)、多彩な比較検討を可能にした。 実験結果は、設計コード、詳細計算コードの計算値と比較検討された1),2),4)。計算値との差違は、総合的な炉物理量である臨界量(物質バックリング)と、分析的な炉物理量である格子パラメータの両面から検討され、対応関係が究明された。 (4)解析コードの開発 まず、DCAの実験値との比較検討を基に、開発整備した計算コードの一覧を表9.3.3に示す。国家プロジェクトとしてATRが発足した当時の方針は、「必要があれば新しく設計コードを作成する」であったが、日本原子力研究所(以下、「原研」という)は、アトラスコードシステム、(株)日立製作所は、クラスター ![]() ![]() 基本的な考え方は、まず実験値によって「ふげん」型炉の炉物理の現象解明を行い、これに基づいて実機も含めたいろいろな体系の核特性を、定量的に高精度で記述する手段を開発するということである。改良型のWIMS-ATRと厳密な詳細解析コードMESSIAHがDCAでのコード開発の中心となった。 ![]() ATRの核特性の解析精度を向上させるため、英国より導入されたWIMSコードを用いて、前節で述べ |
た種々、大量の実験解析を行い、ATRの炉物理現象に即した解析手法を案出し、独自のコードに発展させた。これをWIMS-ATRと呼んでいる。以下に主な改良点と新手法を述べる。 ( ![]() 既設の最大69群の断面積縮約構造のうち、プルトニウム燃料特有の複雑な断面積を評価できるようにするため、共鳴吸収断面積の部分をはさむ群構造をサーベイして、熱中性子領域を7群とし、熱外中性子領域と合せた合計14群の群構造を基本とした。 ( ![]() 冷却材ボイド率が0%または100%の場合においては、クラスター型燃料格子特有の非均質性により、クラスター中に浸透する中性子の平均自由行程が、微妙に変化する。特に0%ボイド率の場合、軽水の減速効果により領域のメッシュ数に敏感となる。この効果をサーベイし、圧力管内を20分割とした合計31分割の領域メッシュを基本とした。 ( ![]() 従来のWIMSコードによる拡散係数の計算モデルは、格子内領域を燃料、構造材(圧力管、断熱層、カランドリア管)及び減速材の3領域を、同心円状に均質化して算出する簡易的手法を取っており、クラスター型燃料特有の非均質性の効果を取り入れたモデルになっていない。そこで、衝突確率法を用いたBenoistモデルによる厳密解法を導入して、格子内の燃料領域(第1、第2、第3リングに分割)を含めた各領域に関するコードの改良を図った。この改良によって、特にスペクトルが硬化する、100%ボイド率格子の高速中性子の拡散係数を正確に算出できるようになり、解析精度の向上に役立てられた。 ( ![]() 臨界計算に用いるスペクトルが、臨界状態のもの |
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