第9章 大洗工学センターにおけるATR研究開発![]() |
第 9 章 |
等の詳細計算コードを設計コードとして常用していく方針を固めた。この際に問題となる計算時間は、DCAにおいて時間短縮化の改良(WIMS-SP)を進め、約1桁の短縮に成功するとともに、精度に対する有意の影響がないことを確認した。 ( ![]() 燃料体の温度反応度係数測定のため、DCA炉心の中央チャンネルにステンレス製2重管のヘリウム・ガス・ループを設けて、600℃までの昇温実験を行った。この実験においては、昇温チャンネルが、1チャンネルであるために反応度変化が微々たるもの(〜0.0014¢/℃)であること及び熱漏れによる反応度変化のため、測定は、困難を極めた。しかし、まず各温度点で、温度を一定に保ち、そのときの熱漏れによる反応度・時間変化係数を実験的に正確に決定し、この温度依存の係数を逆に使用して、昇温実験の全過程について、熱漏れによる反応度の影響を正確に補正するという巧妙な実験方法を開発し、問題を解決した。 実験は、1.5%、0.7%、0.2%の3種類の濃縮ウランと、被覆管のみの場合の4ケースについて行い、238Uの共鳴吸収、238Uの核分裂、1/v吸収体等の温度係数を分離して評価できるようなデータ・セットを測定した。この実験は、1チャンネルのみの昇温であり、周りのドライバー燃料と1体となった炉心燃料の反応度変化を求めているため、解析手段にも開発要素が大きかった。実験結果とWIMS-ATRによる計算値との比較を図9.3.7に示す。 計算コードによる値(図9.3.7中の値ではなく、全チャンネル昇温としたときの値)は、実験値よりも幾分小さめの負の燃料温度係数を示し、設計が安全側であることを確認した。実際に「ふげん」起動試験の結果も、負の燃料温度係数は、設計値よりも大きく、安定した出力係数に大いに寄与していることが分かった。この結果に基づいて「実証炉」の設計は、詳細計算コードで進められるようになった。 冷却材の温度係数については、中央13チャンネルに温水ループを作り、チャンネル1〜13までの置換法による実験を行い、全炉心に対する温度係数を80℃まで測定した。 重水減速材の温度係数は、地下室にある重水ストレージ・タンク内で重水温度を80℃まで上昇させ、炉心タンクに移し、長時間臨界状態を保つことにより測定した。この間、重水の温度は熱漏れまたは冷却材や構造材への熱移動により刻々変化するが、こ |
の重水温度、冷却材温度の変化の結果で決まる臨界水位を連続測定することにより、同時に、減速材と冷却材の温度係数を決定してしまう方法5)を開発した。この結果、冷却材温度係数は、前記の方法と別の実験方法によっても求められることとなった。
重水減速材温度係数は、WIMS等詳細計算コードによると、温度により値が異なることが予測されていたが、実験的には明らかになっていなかった。DCAで開発された上記の実験方法により、冷却材温度係数の影響が正確に分離された状態で、重水減速
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