8.7.3 「ふげん」における実証試験及び開発実績
「ふげん」の炉心状態を模擬したテストチャンネルを、JMTRに設置して、試作検出器の照射特性試験を実施した。JMTRと「ふげん」の中性子スペクトルの違いによる影響及び長期間照射による特性把握のため、「ふげん」の起動試験初期から、比較的熱中性子束の高い炉心中央部に、2チャンネル計8個の長寿命型中性子検出器を装荷した。運転開始から定格出力にいたる各出力段階において、通常型及び長寿命型中性子検出器の電圧−電流特性、出力直線性は、良好な結果を示した。各出力における電圧−電流特性の測定結果を図8.7.3に示してあるが、使用条件である100ボルトバイアスで、十分に余裕を持って飽和領域で動作している。昭和53(1978)年3月の初臨界以来、約3年にわたって、種々の条件下で、「ふげん」に装荷した長寿命型検出器の詳細な特性を測定した。中性子感度変化は、「ふげん」の中性子スペクトル下において、図8.7.4に示すように通常型中性子検出器に比べて、長寿命型の感度劣化が少ないことを確認した3),4)。
234Uを添加すれば、 235Uの照射に伴う減少が抑制されるため、核的には 234U添加量を増加すればするほど感度劣化が抑制されることとなる。しかし、UO2量を増加すると、検出器内陰極面に塗布したUO2の付着強度と安定性に影響を与えるため、無制限に234U添加量を増加することはできない。そこで、その点を考慮して、234Uの添加量を増加し、234U/235U =4とした組成変更長寿命型中性子検出器の開発に着手した。平成元(1989)年から実証試験を「ふげん」において開始した。
現在は、すべての中性子検出器が、組成変更長寿命型中性子検出器となっている。通常型、長寿命型及び組成変更長寿命型中性子検出器の照射特性及び使用実績を表8.7.1及び図8.7.5に示す。現在までに、図8.7.5に示すように通常型、長寿命型及び組成変更長寿命型中性子検出器集合体を各々31、38及び33体装荷しており、着実にデータを蓄積してきている。これらの「ふげん」における使用実績による照射特性から、表8.7.1に示すとおり、組成変更長寿命型中性子検出器が、従来型の中性子検出器の3倍の寿命延長が図れることを実証した。
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図8.7.3 長寿命型中性子検出器の電圧‐電流特性

図8.7.4 中性子感度変化特性
表8.7.1 各中性子検出器の照射特性

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