第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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8.6 マイクロフォン漏えい検出システムの開発
8.6.1 はじめに
 配管の破断前漏えい(LBB:Leak Before Break)特性を利用して、入口管群における原子炉冷却水の漏えいを早期に検知するため、大洗工学センターにおける一連の実験及び「ふげん」(図8.6.1のAの部分を参照)における実用化研究を行うことにより、耐高温マイクロフォンを用いた漏えい検出法を開発した。
 その後、マイクロフォン漏えい検出システムは、同じ圧力管型炉であるチェルノブイリ型炉(RBMK)の安全性向上の支援策として、ロシアのレニングラード発電所に設置され、適用性評価試験を実施した。RBMK炉においては、使用環境もシステムへの要求機能も「ふげん」と異なっていたが、試験は、非常に良好な結果が得られ、システムの漏えい検出感度は、0.23m3/hまで改善され、漏えい位置の特定及び漏えい規模の評価機能が組み込まれた。対ロシア支
援により蓄積された経験を「ふげん」のシステムに反映させて、「ふげん」の同試験システムを高度化させ、更に、「ふげん」において、漏えい検出感度の向上及び漏えい位置特定のための研究開発を行った。

8.6.2 漏えい検出の研究・開発目標
 「ふげん」の入口管の配管直径は、軽水炉(LWR)の主冷却循環系配管より小さく、き裂付き配管の破断抵抗性が、LWRの主配管よりも低いため、LBB概念の適用においては、より小さな漏えいの早期発見が必要となる。LBBの予備評価により、入口配管(口径2inch)に対する許容漏えい流量を、約1gpm(0.23m3/h)であると評価した。安全率:5を見込み、より微小な漏えい流量である0.2gpm(0.046m3/h)を目標検出能力として選定した。
 また、多本数かつ比較的長い配管群の中において、漏えい箇所の同定も要求され、開発目標を以下のとおり設定した。


図8.6.1 ふげんの配管及びマイクロフォンの配置


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