第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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図8.5.8 RHR機能喪失時のイベントツリー

補給水系や流量が少ない余熱除去系補給水ポンプによる注水で炉心を冷却することが可能である。
 以上の検討結果と別途作成した系統の待機除外データを基にして成功基準を決定した。
炉心損傷頻度評価方法
プラント状態の分類
 定期検査中や計画停止中のプラントの状態は、崩壊熱の低下や蒸気ドラム内の保有水量の変化のほか、点検に伴う系統・機器の待機除外などによって変化する。このプラント状態の変化に伴って、崩壊熱除去等に対する成功基準、時間余裕及び使用可能な系統・機器組合せが変化する。
 そこで、本評価は、プラント状態により定期検査を10区分、計画停止を4区分に分けて行った。
イベントツリーの作成
 炉心損傷の評価は、起因事象ごとにイベントツリーを作成した。
 例として、余熱除去系機能喪失時のイベントツリー概略図を図8.5.8に示す。
 余熱除去系が停止した場合は、待機中の崩壊熱除去系により除熱が行われる。
 崩壊熱除去系の運転に失敗した場合は、運転員が、余熱除去系の復旧を行う。これらの崩壊熱除去系による除熱に失敗した場合は、補給水系による注水が行われる。
 崩壊熱除去系や補給水系による分岐確率は、各系統ごとにフォルトツリー解析により算出した。また、
復旧失敗、操作失敗等の運転員のリカバリーが必要なものは、運転員の操作に要する時間余裕をもとに算出した。
フォルトツリーの作成
 イベントツリーの各分岐確率を求めるため、各系統に必要とされる機能に基づき、フォルトツリーを作成した。
 なお、停止時PSAは、崩壊熱が低いこと、炉心が大気圧であることにより、常用系の原子炉冷却材浄化系による崩壊熱除去と復水・補給水系による注水が可能である。このため、これらの系統のフォルトツリーを展開した。
データベース
(イ)故障率データ
 故障率データは、出力運転時と同様のものを用いて評価を行った。
(ロ)待機除外データ
 出力運転時は、プラントの安全性に関する系統は、通常2系統とも待機状態となっている。しかし、停止時は、安全設備の点検を行うため、工程に伴って片系統または両系統が使用できない時期がある。そこで、標準工程に基づき、待機除外となる時期を設定した。
(ハ)時間余裕データ
 プラント停止時は、異常事象が発生した場合の緩和操作は、自動化されていないものが多く、運転員の手動操作を伴うものが多い。手動操作



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