第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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ーの分岐確率に用いてイベントツリー解析を行った。
 フォールトツリー解析及びイベントツリーの解析については、信頼性評価コード“SETS(The SetEquation Transformation System)”10)による点推定解析と、区間推定解析コード“UNIFORM”11)によるモンテカルロ法を用いた区間推定解析を行った。
(2)レベル1PSA評価結果
炉心損傷頻度評価結果
 フォルトツリー解析で得た結果を基にイベントツリー解析を行い、炉心損傷頻度を求めた結果8.7×10−7/炉年となり、国際原子力機関(IAEA)における炉心損傷発生頻度目標値(既設炉については10−4/炉年未満、新設炉については10−5/炉年未満)に対し、区間推定の上限値を十分に満足するものであることを確認した。
 炉心損傷頻度の算出結果を、図8.5.2に起因事象及びシーケンス別に示す。
 起因事象別の炉心損傷頻度では、45%が外部電源喪失を起因とする事象となっている。これは、外部電源喪失発生初期には、給水系による炉心冷却が期待できないこととともに、除熱系統である原子炉補機冷却系及び格納容器空気再循環系の非信頼度が、起因事象中で最も大きいことが原因となっている。
 シーケンス別の炉心損傷頻度では、過渡事象時の給水系、原子炉補機冷却系格納容器空気再循環系の機能喪失による炉心損傷が37%、また過渡事象時の
給水系、原子炉補機冷却系の機能喪失並びにECCSポンプ注水機能喪失による炉心損傷が15%、スクラム失敗による炉心損傷が21%、LOCA時の低圧注水系機能喪失による炉心損傷頻度が20%となっている。
感度解析結果
 
次に、以下の2ケースについて炉心損傷頻度への影響を確認するため感度解析を行った。
 
「ふげん」運転実績に基づく機器故障率データを用いた場合の評価を行い、プラント固有の機器故障率を用いた場合の効果を確認した。
 
この場合、重水冷却系の制御装置等の一部の機器については、フォールトツリー解析で使用する機器故障率を保守側に設定しているため、設備の非信頼度が増加する結果となったが、ほとんどの設備については非信頼度が低減した。
 
この結果、「ふげん」の機器故障率を用いた炉心損傷頻度は、公開文献値を用いた炉心損傷頻度の約0.2倍程度まで低減することを確認した。
 また、人的過誤率に上限値を用いた評価を行い、「ふげん」の炉心損傷頻度への人的過誤率の影響を確認した。その結果、上限値(10倍)を用いた場合の炉心損傷頻度は、約1.5倍となり、あまり感度をもたないことが分かった。「ふげん」では、運転員等の人的過誤への依存度が小さいものと考えられた。
AM策有効性評価
 
既に実運用されているAM策は、で評価した炉


図8.5.2 炉心損傷頻度算出結果


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